WSLからWindows側にショートカットファイルを作る
TL;DR
WSLのUbuntu側でファイルを指定して、Windowsのデスクトップにショートカットファイルを作るシェルスクリプト関数wln
を作った。wln filename
として実行すると、そのファイルのショートカットがWindowsデスクトップに作成される。
wln test.txt
実装は以下の通り。
function wln() {
temp_ps1=`mktemp`.ps1
cat <<'EOD' > $temp_ps1
Param($targetfile)
$filename = [System.IO.Path]::GetFileName($targetfile)
$WshShell = New-Object -comObject WScript.Shell
$shortcutfile = "$Home\Desktop\" + $filename + ".lnk"
$Shortcut = $WshShell.CreateShortcut($shortcutfile)
$Shortcut.TargetPath = $targetfile
$Shortcut.Save()
EOD
targetfile=$(wslpath -w $1)
ps1file=$(wslpath -w $temp_ps1)
powershell.exe $ps1file $targetfile
rm -f $temp_ps1
}
Zshでしか確認していないが、Bash系なら動くと思う。
これを実行する前に、PowerShell側でスクリプトのセキュリティポリシーをBypass
かUnrestricted
にしておく必要がある。
Set-ExecutionPolicy -ExecutionPolicy Bypass -Scope CurrentUser
もしくは
Set-ExecutionPolicy -ExecutionPolicy Unrestricted -Scope CurrentUser
はじめに
Windowsを使っていて、ほぼ全ての作業をWSLのUbuntuで行っている人は多いのではないかと思う。特に、Ubuntu上のGitでファイルを管理していると、必要なファイルが全てWSL側にあることになる。そのファイルをWindows側で開きたい時、例えばopenコマンドを用意して開いても良いが、たまにショートカットファイルをデスクトップに作りたい時がある(例えばウェブ会議していて、複数のPDFファイルを順番に共有したいときとか)。というわけで、そんなコマンドwln
を作りたい。
ショートカットの作成
Windowsのショートカットファイルを作るのにはいくつか方法があるが、一番簡単なのはCOMでWScript.Shell
オブジェクトを作ってCreateShortcut
メソッドを叩くことだ。
例えばPowerShell上で以下を実行すると、$HOME\test.txt
へのショートカットをデスクトップ上に作ることができる。
$WshShell = New-Object -comObject WScript.Shell
$Shortcut = $WshShell.CreateShortcut("$Home\Desktop\test.txt.lnk")
$Shortcut.TargetPath = "$Home\test.txt"
$Shortcut.Save()
順番に
- COMを叩いて
WScript.Shell
オブジェクトを作り - ショートカットファイル名を指定してショートカットオブジェクトを作り
- ショートカットオブジェクトにターゲットパスを指定して* 保存する
ということをしているだけだ。
スクリプトのセキュリティポリシー
上記はPowerShell上で一行ずつ実行したが、これを例えばtest.ps1
というファイルに保存してスクリプトファイルとして実行すると怒られる。
$ ./test.ps1
./test.ps1 : このシステムではスクリプトの実行が無効になっているため、ファイル C:\Users\username\test.ps1 を読み込むこと
ができません。詳細については、「about_Execution_Policies」(https://go.microsoft.com/fwlink/?LinkID=135170) を参照してく
ださい。
発生場所 行:1 文字:1
+ ./test.ps1
+ ~~~~~~~~~~
+ CategoryInfo : セキュリティ エラー: (: ) []、PSSecurityException
+ FullyQualifiedErrorId : UnauthorizedAccess
これは、デフォルトでPowerShellスクリプトの実行ポリシーが「Restricted(禁止)」になっているからだ。現在の実行ポリシーはGet-ExecutionPolicy -List
で得ることができる。
$ Get-ExecutionPolicy -List
Scope ExecutionPolicy
----- ---------------
MachinePolicy Undefined
UserPolicy Undefined
Process Undefined
CurrentUser Undefined
LocalMachine Undefined
過去に何も設定していなければUndefined
になっているはず。そしてUndefined
の場合はデフォルトでRestricted
が適用され、スクリプトの実行ができない。
セキュリティポリシーにはいくつか種類があるが、例えばRemoteSigned
にすると、リモートのスクリプトは署名付きのみ、ローカルはそのまま実行できるようになる。
Set-ExecutionPolicy -ExecutionPolicy RemoteSigned -Scope CurrentUser
これで先ほどのスクリプトはそのまま実行できるようになる。
後はこれをWSLのUbuntu側でPowerShellに食わせて実行すればよいのだが、セキュリティポリシーRemoteSigned
では実行できない。
以下をUbuntu側で実行してみる。
$ echo "echo Hello" > test.ps1
$ powershell.exe ./test.ps1
./test.ps1 : ファイル \\wsl.localhost\Ubuntu\home\username\test.ps1 を読み込めません。ファイル \\wsl.localhost\Ubuntu\home\username\test.ps1 はデ
ジタル署名されていません。このスクリプトは現在のシステムでは実行できません。スクリプトの実行および実行ポリシーの設定の詳細については、「about_Exe
cution_Policies」(https://go.microsoft.com/fwlink/?LinkID=135170) を参照してください。
発生場所 行:1 文字:1
+ ./test.ps1
+ ~~~~~~~~~~
+ CategoryInfo : セキュリティ エラー: (: ) []、PSSecurityException
+ FullyQualifiedErrorId : UnauthorizedAccess
これはWSLがリモート扱いだからだ。セキュリティポリシーをBypass
にすると、全てのスクリプトを確認なしで実行できるようにする。
以下をPowerShell側で実行する。
Set-ExecutionPolicy -ExecutionPolicy Bypass -Scope CurrentUser
すると、WSL側でPowerShellスクリプトを実行できるようになる。
$ powershell.exe ./test.ps1
Hello
セキュリティポリシーUnrestricted
にすると、毎回確認が入る。
$ powershell.exe ./test.ps1
セキュリティ警告
信頼するスクリプトのみを実行してください。インターネットから入手したスクリプトは便利ですが、コンピューターに危害を及ぼす可能性があります。このス
クリプトを信頼する場合は、この警告メッセージが表示されないように、Unblock-File
コマンドレットを使用して、スクリプトの実行を許可してください。\\wsl.localhost\Ubuntu\home\watanabe\test.ps1 を実行しますか?
[D] 実行しない(D) [R] 一度だけ実行する(R) [S] 中断(S) [?] ヘルプ (既定値は "D"): r
Hello
こっちの方が安全。
ファイル名の処理
WSL側からPowerShellスクリプトが実行できるようになれば、あとはショートカットを作りたいファイルをPowerShellスクリプトに渡すだけだ。
使い方としては
wln filename
としよう。このfilename
はWSL側のパスになっているのでwslpath -w
でWindows側のパスに修正して渡してやればよい。ショートカットファイル作成スクリプトをmakelnk.ps1
とすると、wln
は内部で
powershell.exe makelnk.ps1 $(wslpath -w $1)
としてPowerShellを呼び出せば良い。
PowerShell側で引数の受け取り方はいくつかあるが、Param
で受け取るのが良いと思う。
Param($targetfile)
ショートカットファイル名を作るために、まずはフルパスからファイル名を分離する。
$filename = [System.IO.Path]::GetFileName($targetfile)
デスクトップにファイルを作りたいので、$HOME\Desktop\
を追加。さらに、拡張子は.lnk
でなくてはならないので、それも追加する。
$shortcutfile = "$Home\Desktop\" + $filename + ".lnk"
あとは先ほどの例と同様にショートカットオブジェクトを作って保存すればよい。以上から、引数を受け取ってデスクトップにショートカットファイルを作成するPowerShellスクリプトmakelnk.ps1
はこうなる。
Param($targetfile)
$filename = [System.IO.Path]::GetFileName($targetfile)
$WshShell = New-Object -comObject WScript.Shell
$shortcutfile = "$Home\Desktop\" + $filename + ".lnk"
$Shortcut = $WshShell.CreateShortcut($shortcutfile)
$Shortcut.TargetPath = $targetfile
$Shortcut.Save()
このmakelnk.ps1
をどこかパスが通った場所においても良いのだが、対して大きくないので毎回テンポラリファイルとして作ってしまおう。mktemp
でファイル名を作成し、拡張子.ps1
をつけて保存する。
temp_ps1=`mktemp`.ps1
cat <<'EOD' > $temp_ps1
Param($targetfile)
$filename = [System.IO.Path]::GetFileName($targetfile)
$WshShell = New-Object -comObject WScript.Shell
$shortcutfile = "$Home\Desktop\" + $filename + ".lnk"
$Shortcut = $WshShell.CreateShortcut($shortcutfile)
$Shortcut.TargetPath = $targetfile
$Shortcut.Save()
EOD
テンポラリファイル名はWSL側のパスなので、Windows側のパスに直して食わせる必要がある。ターゲットファイルも同様なので、
targetfile=$(wslpath -w $1)
ps1file=$(wslpath -w $temp_ps1)
powershell.exe $ps1file $targetfile
rm -f $temp_ps1
以上をまとめると冒頭のスクリプトになる。
まとめ
WSL側からPowerShellスクリプトを介してWindowsのデスクトップショートカットファイルを作る方法を紹介した。デフォルトではPowerShellスクリプトがそのまま実行できないので、セキュリティポリシーを変更する必要がある。他にもWindows側にRubyなりなんなりを入れて、そちらからCOMを叩くというのも考えたが、やりたいことのわりに面倒な気がする。
PowerShellスクリプトを使うなら、本当はちゃんと署名して、Allsigned
もしくはRemoteSigned
ポリシーで実行できるようにしたほうが良いのだが、署名しようとしてなかなかうまくいかなかった(今後の課題)。wln
を実行するたびにスクリプトの許可の実行を求められるが、あまり利用頻度は高くないし、とりあえずUnrestricted
ポリシーで運用しようと思う。
Author And Source
この問題について(WSLからWindows側にショートカットファイルを作る), 我々は、より多くの情報をここで見つけました https://zenn.dev/kaityo256/articles/make_shortcut_from_wls著者帰属:元の著者の情報は、元のURLに含まれています。著作権は原作者に属する。
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