dockerでLaravel環境構築


はじめに

dockerによってLaravelの環境構築を行います。できるだけシンプルな構成を目指します。laradockは使いません。

自分は以前laradockを使っていましたが、
・プロジェクトが必要以上に大きくなる
・dockerの知識がほとんどなくても環境構築できでしまう
これらの点からlaradockを使わない方法を試していきます。

laradockはとりあえずdockerでLaravelを立ち上げたい方、知識が全くない方は使うとよいかもしれません。

以前にlaradockによるlaravelの環境構築の記事を書きましたので、laradockを使いたい方はこちらを→https://qiita.com/rope19181/items/da31dc2cd6097315fa10

環境・仕様

・nginx上でPHP実行環境を構築し、Laravel新規プロジェクト作成。
・mysqlとwebGUIとしてphpmyadminも使えるようにします。

・環境、仕様は以下の通りです。
Docker version 19.03.5
docker-compose version 1.24.1
php 7.2-fpm
mysql 5.7

構成

最終的にこのような構成となります。

project
├ docker
│  ├ db
│  │ ├ data
│  │ ├ my.conf
│  │ └ sql
│  │
│  ├ nginx
│  │  └ default.conf
│  │  
│  └ php
│   ├ Dockerfile
│   └ php.ini  
├ myapp
└ docker-compose.yml

今回はprojectをルートディレクトリとしています。

./myappはlaravelのプロジェクトを置くディレクトリとなります。

docker-compose.ymlの作成

docker-composeでは複数のコンテナを管理、構築するためにdocker-compose.ymlに各コンテナの環境設定を定義します。

docker-compose.yml

version: '3'

services:
  php:
    container_name: php
    build: ./docker/php
    volumes:
      - ./myapp/:/var/www

  nginx:
    image: nginx
    container_name: nginx
    ports:
    - 80:80
    volumes:
    - ./myapp/:/var/www
    - ./docker/nginx/default.conf:/etc/nginx/conf.d/default.conf
    depends_on:
    - php

  db:
    image: mysql:5.7
    container_name: db-host
    environment:
      MYSQL_ROOT_PASSWORD: root
      MYSQL_DATABASE: database
      MYSQL_USER: docker
      MYSQL_PASSWORD: docker
      TZ: 'Asia/Tokyo'
    command: mysqld --character-set-server=utf8mb4 --collation-server=utf8mb4_unicode_ci
    volumes:
    - ./docker/db/data:/var/lib/mysql
    - ./docker/db/my.cnf:/etc/mysql/conf.d/my.cnf
    - ./docker/db/sql:/docker-entrypoint-initdb.d
    ports:
    - 3306:3306

  phpmyadmin:
    image: phpmyadmin/phpmyadmin
    container_name: phpmyadmin
    environment:
      - PMA_ARBITRARY=1
      - PMA_HOST=db-host
      - PMA_USER=docker
      - PMA_PASSWORD=docker
    links:
      - db
    ports:
      - 8080:80
    volumes:
      - /sessions

各項目について簡単に説明します。
詳しくは公式リファレンスを見てみましょう。https://docs.docker.com/compose/compose-file/

image

ローカルやリモートにあるイメージを指定します。ローカルにない場合リモートからpullされます。

今回はnginx、mysql、phpmyadminはリモートのイメージを指定しています。

build

イメージをbuildする際に参照するファイルを指定します。
要はイメージを構築する場合はこちらを使うわけです。またbuildとimageを両方指定することはできません。

今回はphpコンテナの構築でDockerfileを使うため、そのディレクトリのパスを指定しています。

volumes

ボリュームとしてマウントするパスを指定します。ホスト:コンテナまたアクセスモードを読み取り専用する場合ホスト:コンテナ:roとします。

今回はアクセスモードを指定しないためrwとなり、書き込みもできるボリュームです。

ports

公開(expose)するポートをします。ホスト:コンテナとします。

ポートが被る場合はここを変更します。

links

コンテナにリンクさせるサービス名を指定します。
注)コンテナ名(container_name)ではなくサービス名

今回はphpmyadminのコンテナにてdb-hostコンテナのサービス名であるdbを指定しています。

phpのDockerfileの作成

phpコンテナではLaravelの実行のためにcomposerのインストールします。
公式(https://getcomposer.org/download/) から下の部分を#Composer installのところに貼り付けます。

Dockerfile
FROM php:7.2-fpm
COPY php.ini /usr/local/etc/php/

RUN apt-get update \
  && apt-get install -y zlib1g-dev mariadb-client \
  && docker-php-ext-install zip pdo_mysql

#Composer install
RUN php -r "copy('https://getcomposer.org/installer', 'composer-setup.php');"
RUN php -r "if (hash_file('sha384', 'composer-setup.php') === 'c5b9b6d368201a9db6f74e2611495f369991b72d9c8cbd3ffbc63edff210eb73d46ffbfce88669ad33695ef77dc76976') { echo 'Installer verified'; } else { echo 'Installer corrupt'; unlink('composer-setup.php'); } echo PHP_EOL;"
RUN php composer-setup.php
RUN php -r "unlink('composer-setup.php');"
RUN mv composer.phar /usr/local/bin/composer

ENV COMPOSER_ALLOW_SUPERUSER 1

ENV COMPOSER_HOME /composer

ENV PATH $PATH:/composer/vendor/bin


WORKDIR /var/www

RUN composer global require "laravel/installer"

PHP設定ファイルの作成

docker/php/にphp.iniを作成します。

php.ini

[Date]
date.timezone = "Asia/Tokyo"
[mbstring]
mbstring.internal_encoding = "UTF-8"
mbstring.language = "Japanese"

nginxの設定ファイルの作成

docker/nginxにdefault.confを作成します。

default.conf

server {
  listen 80;
    index index.php index.html;
    root /var/www/public;

  location / {
    root /var/www/public;
    index  index.html index.php;
    }

  location ~ \.php$ {

    try_files $uri =404;
    fastcgi_split_path_info ^(.+\.php)(/.+)$;
    fastcgi_pass php:9000;
    fastcgi_index index.php;
    include fastcgi_params;
      fastcgi_param SCRIPT_FILENAME $document_root$fastcgi_script_name;
      fastcgi_param PATH_INFO $fastcgi_path_info;
  }
 }

dockerの起動

下記コマンドでdockerを起動させます。初回は結構時間がかかります。
docker-composeではupによってイメージの構築、コンテナの起動を行いますが、初回はキャッシュがないため--buildをつけます。-dオプションによってバックグラウンドで起動させます。


$ docker-compose up -d --build

laravelプロジェクトの作成

まずはphpコンテナに入ります。コンテナに入る場合はexecコマンドを実行します。


$ docker-compose exec php bash

laravelの新規プロジェクトを作成します。


composer create-project --prefer-dist laravel/laravel=5.8.* .

バージョンはなるべく指定するようにしましょう。

laravelプロジェクトの環境設定

laravelプロジェクト内の.envやconfig/detabase.phpのデータベースの設定を変更します。
DB名、ユーザ名、パスワードなどを先ほどdocker-compose.ymlに設定した値に変更しましょう。

動作確認

nginx、php

http://localhost にアクセスしlaravelのホームページが表示されればOK。

mysql、phpmyadmin

phpコンテナに入り、migrateします。


$ docker-compose exec php bash

$ php artisan migrate

http://localhost:8080 にアクセスし、phpmyadminが立ち上がりDB内に2つのテーブルが作成されていれば成功。

docker-composeコマンド小まとめ

よく使うものをまとめます。

up

コンテナの構築、起動をします。

似たものとしてイメージの構築のみを行うbuild、コンテナの起動のみを行うstartなどがありますが、docker-composeではとりあえずupをしとけばいいと思います。
Dockerfileを更新した時などはbuildしましょう。

$ docker-compose up -d  
$ docker-compose up -d --build #初回の起動などbuildもしたいとき

down

upで作られたものを削除します。downだけだとコンテナとネットワークの削除を行います。オプションによってその範囲を指定します。

$ docker-compose down

コンテナ、イメージ、ボリュームそしてネットワークすべてを削除したい場合は

$ docker-compose down --rmi all --volumes

exec

起動中のコンテナでコマンドを実行


$ docker-compose exec コンテナ名 実行するコマンド

$ docker-compose exec コンテナ名 bash #コンテナに入る場合

最後に

laradockも簡単にできますが、少しの知識があればこちらの方法のほうがシンプルで分かりやすいと思います。

laradockを使いたい方はこちら→https://qiita.com/rope19181/items/da31dc2cd6097315fa10