初心者必見! 「最小限の知識と手間で実現」既存システムの AWS 移行 その2 【移行ツール 編】


既存システムのバックアップデータを利用し、最小限の知識と手間 で AWS 上へ AMI 変換により移行を実現する方法、4話中の 2回目となります。

はじめに

今回は「AWS 移行ツール」の詳細についてふれてまいります。合わせて「AWS 移行」の元となる Veritas System Recovery による「バックアップ」の方法と AMI 変換に必須となる「仮想イメージ」への変換方法についてもご紹介してまいります。

ご訪問が初めての方

こちらのご訪問が初めての方は、まずは以下初回の「移行概要 編」からご覧いただくことをおすすめいたします。AWS 移行に、なぜ「バックアップ」や「仮想イメージ」が必要なのか忘れてしまった方もご覧下さい。

初心者必見! 「最小限の知識と手間で実現」既存システムの AWS 移行 その1【移行概要 編】

最終回までご覧いただくと、バックアップ から AMI 変換完了 まで の手順を ステップ by ステップ で解説した 『実機確認済み の AWS 移行手順書』を入手いただけます!

AWS 移行ツールとは

Veritas System Recovery で取得したバックアップデータを、最小限の知識と手間で AMI(Amazon Machine Image)に変換し AWS へ移行できる 「PowerShell ベース」のスクリプトです。

対話形式で必要事項の入力を促してくれるため、具体的な手順や知識を把握していなくても移行作業を行うことができます。

AMI:Amazon Machine Image

インスタンス作成の元となるベースイメージ。ハードウェア環境に相当する各種インスタンスタイプやストレージタイプなどを AMI に割り当てることにより、効率的にインスタンスを作成できる。

Windows 用 Amazon EC2 の基本インフラストラクチャ(AWS サイト)

内部動作

「AWS 移行ツール」は内部的に、AWS CLI(コマンドラインインターフェース)の AMI 変換コマンド vmimport を実行します。
vmimport では「仮想イメージ」を元に AMI 変換を行なうため、Veritas System Recovery の「AWS 移行ツール」では、まず取得した「バックアップデータ」を vmimport でサポートする「仮想イメージ」の形式に変換します。その後「仮想イメージ」を S3 へアップロードし、vmimport コマンドにより AMI 変換を実行します。

「AWS 移行ツール」実行環境の要件

  • Veritas System Recovery 18 SP1 以降でサポートされる Windows 環境
  • PowerShell 環境
  • AWS .Net SDK および AWS CLI のインストール
  • .sv2i ファイルが作成されたバックアップデータ .sv2i ファイルは、システムディスクを含んだバックアップ実行時のみ作成、または更新され、最新の 1つのみを保持します。
    ※ データボリュームのみのバックアップでは作成されません。
  • バックアップデータ、および .sv2i ファイルの配置 作業マシンのローカルディスク、または CIFS アクセス可能なネットワークファイル共有上に保存されている必要があります。
    ※ クラウドストレージに保存されている場合は、オンプレミス環境にダウンロードしておく必要があります。

使い方

「AWS 移行ツール」のスクリプトは、Veritas System Recoveryインストールメディアに包含されています。
以下のパス "PowershellScripts" フォルダ配下から移行作業環境に 2つのスクリプトをコピーしておきます。

<スクリプトの場所> “DVD ドライブ:\Docs\Automation\PowershellScripts”
- CREATE_AMI_IN_AWS.ps1 ・・・・・・・ 実行用スクリプト
- QUERY_AMI_CREATION_STATUS.ps1 ・・ AMI 変換ステータス確認スクリプト

"CREATE_AMI_IN_AWS.ps1" スクリプトを実行し、対話形式で表示される「選択肢」や「必要項目」の入力が完了すると移行作業が開始されます。

実施ステップ

対話形式の「入力」は、以下の 4つのステップで構成されています。

① 仮想イメージ形式の確定
AMI 変換対象となる「仮想イメージ」の形式を選択します。
② 仮想変換の必要性の確認
バックアップデータの仮想イメージ変換が完了していない場合、スクリプト内で「仮想イメージ」に変換します。
③ アップロードの必要性の確認
移行作業環境から「仮想イメージ」を S3 へ「アップロードする」か、2度目以降の実行などで「アップロード不要」かのいずれかを選択します。
④ 既存バケット/フォルダの指定か新規作成かの確認
「仮想イメージ」を S3 にアップロードする場所として、既に作成済みのバケット/フォルダを利用する場合と、新規に作成する場合のいずれかを選択し、アップロード先の S3 バケット名、およびフォルダ名を入力します。

Veritas System Recovery によるバックアップ

Veritas System Recovery でのバックアップは、ウイザードに従い簡単に設定、実行が行えます。
主な設定項目は、以下になります。

・バックアップ対象ドライブの選択
・バックアップ先を指定

バックアップデータ未取得の場合は「ワンタイムバックアップ」の利用が便利です。
※ AWS 移行用のバックアップデータは、移行対象データドライブと OS ドライブを含むシステム全体を対象にしたバックアップデータが必要です。

[ワンタイムバックアップの主な設定画面]

・ワンタイムバックアップを選択

・バックアップ対象ドライブを選択

・バックアップ先を指定

・ウイザードの完了

バックアップ完了後、AWS 変換に必要なシステム全体のバックアップデータとして、以下のファイルが作成されていることを確認します。

sv2i ファイル
OS ドライブを含んだバックアップのメタ情報を含んだファイル

v2i ファイル
イメージ形式のバックアップデータ
※ フルバックアップの拡張子は .v2i、増分バックアップの拡張子は .iv2i

バックアップデータから仮想イメージへの変換

「仮想イメージ」への変換は、Veritas System Recovery の GUI メニューでも「AWS 変換ツール」のスクリプトでも可能ですが、あらかじめ GUI メニューで「仮想イメージ」変換を完了しておいた方がスクリプトの実行をスムーズに行えます。
主な設定項目は、以下になります。

・仮想イメージ形式の選択(vhd または vhdx)
・仮想変換元のバックアップの指定
・仮想イメージの変換先を指定

[ワンタイム仮想変換の主な設定画面]

・ワンタイム仮想変換を選択

・仮想イメージの形式を選択

・仮想変換元となるバックアップ対象を指定

・仮想イメージの保存先を指定

・ウイザードの完了

指定した仮想イメージ形式のファイルが、指定した保存先に作成されていることを確認できます。

おわりに

いかがだったでしょうか?
Veritas System Recovery の「AWS 移行ツール」を利用すれば、AWS に関する具体的な手順や知識を把握していなくても、移行作業を 4ステップの入力で実施できることがおわかりいただけたかと思います。

また移行に必要となる「バックアップデータ」の取得方法や「仮想イメージ」への変換方法についても、おおよその流れをイメージいただけたのではないでしょうか? 詳細手順は『実機確認済み の AWS 移行手順書』にて "ステップ by ステップ" でご案内しておりますので、是非最終回までおつきあい下さい。

次回は、第3弾として【移行準備 編】をお届けいたします!

【まとめ記事】ベリタステクノロジーズ 全記事へのリンク集もよろしくお願いいたします。

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