プルリクエストによる翻訳作業のやり方
はじめに
ObsidianというソフトウェアのUIとヘルプドキュメントの翻訳と保守を有志で行っています。翻訳作業を通してプルリクエストのやり方を学び、いい機会だと思ったのでgitとgithubの使い方からプルリクエストによって共同で翻訳作業をしていく方法を紹介していこうと思います。初学者の観点からgitの概念やつまずいたところやコマンドの使い方、プルリクエストまでの流れなどをまとめています。次のような記事もあるので、翻訳作業を通してgitの使い方をマスターするのは結構おすすめだと思います。
次のようなOSS(オープンソースコミュニティ)へのプルリクエストに関する記事なども参考になりますが、翻訳での継続的なプルリクエスト(二回目、三回目~)についての全体の流れがわかる記事はあまり見たことがありませんでしたので主にその点について書いてみました。
【超図解】OSSにPull Requestを出す時の備忘録 - Qiita
ドキュメントの翻訳作業をしてみたいが、やり方がよく分からないという方、git初心者に役立てばよいなと思います。
また、UIではなくヘルプドキュメントの翻訳作業を念頭において書いています。というのもヘルプドキュメントは大量のファイルを扱うので、Github上ではなくローカル環境でしっかりと作業を行う必要があります。ローカルでの翻訳作業からプルリクエスト作成を通してgitやGithubの基本的な使い方がマスターできます。翻訳作業そのものに関しては素人なので注意してください。
実際に翻訳されたヘルプドキュメントがObsidianの公式サイトで公開されています。↓
上のドキュメントで表現の向上(こうしたほうがよい)や誤訳、タイポなどを見つけた場合には公式リポジトリやForkしたリポジトリでもいいのでissueかプルリクエストを作成してください。↓
obsidianmd/obsidian-docs: Help documentation for Obsidian
最低限必要な知識や事前に必要なもの
作業を始めるのに次の最低限必要な知識やアプリケーションなどは準備するようにしてください。
- CLIの使い方の基本
- gitのインストール
- githubのアカウント作成
- vscodeなどのテキストエディタ
主なソース
-
エンジニアのためのGitの教科書
- 薄くてわかりやすいのでおすすめです。わからなくなったら読むといいです。
-
Github で Fork してから Pull Request をするまでの流れ
- 最初のプルリクエストの流れが分かりやい記事ですが、二回目以降については言及がなかったので補足します。また
rebase
やpush -f
など初心者が使わない方がよいです。
- 最初のプルリクエストの流れが分かりやい記事ですが、二回目以降については言及がなかったので補足します。また
-
初めてのPull Request(プルリクエスト)
- OSSでのプルリクエストについての記事で、図はないですが細かく、分かりやすいです。
つまずきポイントメモ
箇条書きですが、初心者がつまずきやすいポイントややらかさないようにする注意点などを前もって書いておきます。
- リポジトリ(箱)とブランチ(枝)とコミット(点)の概念の理解
- 概念を理解していないと予期しない操作をしてしまう
- upstreamとoriginとlocalがごっちゃになるのでリポジトリが3つあることを理解する
- プルリクエスト承認後のながれ(2回目以降のプルリクエスト)がわからない
- cloneとforkの違い
- プルリクエストはGithub上で作成する(ターミナルからはやらない)
- pullは使わないでfetchしてmergeする
- checkoutする前にブランチ状態を確認する
- addはファイルごとフォルダごとに行う
- コミットのハッシュ値は最初の数行のみ扱えば良い
- masterブランチは触らずに、なにかするときは作業ブランチを作成してそこで行う
- 強制プッシュは行わない
- rebaseはしない(rebaseしてほしいと言われたときのみ行う)
- mergeには種類があることを理解(ファストフォワードとリカーシブを理解)して使い分ける
- mergeやfetchする際にはどこのブランチにいるか確認してから行う
- Githubでプルリクエストのボタンが消えたときの対処
- 別のブランチにpushしないように気をつける
- アカウントプライバシーを設定してから作業する
やらかしたときはネットで調べまくりましょう。
Gitでやらかした時に使える19個の奥義 - Qiita
周辺概念
最初に概念の説明をしておこうと思います。長くなってしまったので概念が理解できている方はこのセクションはとばしてください。
リポジトリとは雑にいうとフォルダです。gitを使うとそのリポジトリ内部(フォルダ)でさまざまな変更を行い特定の時点の状態そのものをある点(commit)として保存管理することができます。プルリクエストとはそのように自身のリポジトリ内にて行った変更を、Github上(ウェブ上)にある他のリポジトリに対して統合(merge)するように申請する仕組みです。
プルリクエストを作成してマージ(変更の統合)を行うまでの流れには、計3つのリポジトリを使用します。この3つというのがなぜ必要なのかが最初分かりづらかったので注意してください。
必要なリポジトリとして、1つ目は公式のリポジトリ(オリジナルのリポジトリ)で、これをupstreamという名前で便宜的に識別します。2つ目はGithubの自分のアカウント上にupstreamの複製リポジトリを作成します。この行為をforkすると呼びます。このforkによって作成されたリポジトリをoriginとして識別します。originやupstreamはリポジトリの名前として考えてください。このoriginとupstreamはユーザーにとってはオンライン上に存在するので「リモートリポジトリ」と呼びます。
3つ目は、自分のPC上での作業のためにoriginリポジトリから更にローカル環境に複製リポジトリを作成(clone)します。cloneによる複製とforkによる複製の違いに注意してください。基本的には、この複製されたリポジトリで編集作業を行っていきます。ローカル環境上にあるリポジトリなので先程のリモートリポジトリに対して「ローカルリポジトリ」と呼びます。このリポジトリをoriginやupstreamと同様にlocalという名前で識別します。この3つのリポジトリを使ってプルリクエストによる共同編集を行います。
upstreamは自分が管理するリポジトリではなく、他者が管理するオリジナルのリポジトリです。originはupstreamから複製された自分が管理するリポジトリなので自由に編集することができます。しかし、実際に触るのはoriginではなく「ローカル上のリポジトリであるlocal」です。このあたりが紛らわしいのですが、オンライン上で作業するよりもローカルで作業するほうが軽く、常にネット接続している必要もありません。ゆえにリポジトリlocalで編集作業を行い、その変更をもとのリポジトリupstreamに統合することによって共同で翻訳作業を行っていくわけです。ですがlocalからいきなりupstreamに対して変更を申請することはできません。localから自分の管理するリモートリポジトリoriginに一度変更を反映させる必要があります。その後、originからupstreamに対して変更の統合を申請するというのがプルリクエストの流れになります。
このように、リポジトリの複製の流れや内容変更の反映の流れが複雑になるのでつまづきポイントが結構あります。下でそれぞれの流れを図示しているので参考にしてください。
まとめると
リポジトリの識別名 | リポジトリの内容 | 備考 |
---|---|---|
upstream | オリジナルのリモートリポジトリ | 他人が管理 |
origin | forkして複製した自分のアカウントにあるリモートリポジトリ | 自分が管理 |
local | 自分のローカルマシンにcloneしたローカルリポジトリ | 自分が管理、ここで編集を行う |
ここにブランチという概念がさらに追加されます。リポジトリでは特定の時点の情報の状態をコミットという形で保存しています。このコミットからさらに変更を加えて意味ある形で再びコミットを作成していくと、コミットが時系列によって連結されたブランチ(枝)ができあがります。枝のある点から全く別の点を派生させることで枝を分岐させることができます。
イメージでまとめると、箱(リポジトリ)の中に点(コミット)が時系列に連結した枝(ブランチ)が存在しているような感じです。分岐して存在する複数の枝の先端の点は枝そのものの名前として扱われます。masterブランチやそこから派生させてつくった作業ブランチなどです。イメージで言うと、プルリクエストというのはリポジトリupstreamの主要な枝(masterブランチ)の先頭に自分が編集した変更情報を点として(コミットとして)連結する操作です。
ブランチは各リポジトリごとに存在します。つまり、upstreamのmasterブランチ、originのmasterブランチ、localのmasterブランチというような感じで重複した名前のブランチが存在しますが、それぞれは別のものなので注意してください。
結局のところ、翻訳作業で実際に触るのはリポジトリlocalですが、localのmasterブランチは基本的には触りません、masterブランチから派生させた作業ブランチ(自分で名前をつける)上で編集を行います。
結局、言葉で説明しても限界があるので検索して図などで理解するのがよいと思います。また実際にgitを使ってブランチ操作をやってみるとわかってくると思います。
参考: マンガでわかるGit 12話「本家リポジトリに追従する方法」
では、実際にプルリクエスト作成までの流れを説明していきます。最初に流れを時系列順に並べます。その後に具体的な操作について説明していきます(ブラウザ上での操作とターミナル上での操作があることに気をつけてください)。
(1) 最初のプルリクエストまでの流れ
- Githubのアカウントプライバシーを設定し、gitで日本語ファイルが文字化けをしないように設定する
- 公式リポジトリから自分のアカウントのリポジトリにforkする
- ローカル環境にforkしたリポジトリをcloneする
- コーディングスタイルを確認
- 作業ブランチを作成してチェックアウト
- 作業ブランチにて翻訳開始
- ある程度の作業まとまりでadd/commitする
- orginにpushする
- Githubにてプルリクエストを作成し、承認を待つ
- プルリクエストに修正があれば修正後originに再びpushする
実際のやり方
上の0~9までの流れを説明していきます。
共同で編集を行うということで、まずGithubのアカウントプライバシーの設定を行います。デフォルトの状態だとPCのユーザー名とGithubで登録してアカウントがcommit logに表示されてしまいます。このままプルリクエストを出して承認されてしまうと面倒です(表示されてもよいという方はやらなくて結構です)。
参考: GitHubにホストされているGitからの個人情報流出を防ぐために - ツレヅレナルママニ
次にgitで日本語ファイルの文字化けを回避するためにコマンドを打ちます。
git config --global core.quotepath false
それでは最低限準備したので、本格的に作業を開始します。まずupstreamをforkしてoriginを作成します。Githubのリポジトリページから右上のforkボタンをクリックすると自分のアカウントにリポジトリが複製されます。
ここまでGithubでできたら、ターミナルを開き、作業ディレクトリを作成しフォークした自分のアカウントにあるリポジトリをクローンします。
git clone リポジトリのURL
git clone https://github.com/yo-goto/obsidian-docs.git
# ローカルにリポジトリをclone
git branch translation
# 作業ブランチtranslationの作成
git checkout translation
# 作業ブランチにチェックアウトする
git branch -a
# ブランチの確認
作業ブランチにチェックアウトしたらObsidianやVSCodeでレポジトリを開き実際に翻訳作業を開始します。編集するフォルダは日本語用のフォルダのみとして他の言語フォルダを編集しないよう注意してください。
翻訳作業が一通り終わったらgit add
でステージングして、git commit
して保存します。日本語のフォルダのみ変更を加えるためaddするのは日本語フォルダ(Obsidianの場合だとja
)以下となります。つまりフォルダごとにaddする場合にはgit add ja/FolderName
と打つようになります。git add -A
などのコマンドを利用してしまうと他の言語フォルダを間違って編集してしまった場合にそれらの間違った変更も追加してしまうことになるのでgit add -A
などは使わずにフォルダ単位、ファイル単位でaddを行うように気をつけてください。
git add ja/folderName_1
git add ja/folderName_2
# ファイルごと、フォルダごとにaddする
git committ -m "ja: update"
# コミットメッセージを添えてコミット
git push origin translation
# originの作業ブランチtranslationにpush
origin(リモートリポジトリ)の作業ブランチにpushしたらGithubにてプルリクエストを作成し送信します。masterブランチではなく作業ブランチtranslationからプルリクエストを作成する点に注意してください。「Compare & pull request」ボタンを押して、内容に関するコメントを適度に書き承認を待ちます。
masterではなくpushした作業ブランチになっていることを確認してください。作業ブランチになっていれば「Compare & pull request」ボタンをクリックしてください。更新内容について簡単に説明コメントを記載して「Create pull request」ボタンを作成すればプルリクエストの作成完了となります。
プルリクエストが承認されるまでは次のようなページが表示され「open」状態になります。リポジトリの管理者や他のコントリビューターからプルリクエストについてのコメントがあれば下に表示されます。
あとは承認される(マージされる)のを待ちつつ作業するか、作業を中断します。
git push
した後、時間がたってしまうと「Compare & pull request」が非表示になる場合があります。これであわててしまうことがあるので注意してください。非表示になっている場合には「Pull requests」のセクションに進み、右側にある「New pull request」ボタンをクリックしてください。
フォークを利用したプルリクエストを作成する場合にはデフォルトの状態ではできないので、「compaer across forks」のリンクをクリックして、比較するブランチをupstreamではなくoriginの作業ブランチにします。
ここまでやって「Create pull request」ボタンをクリックすることでプルリクエストが作成することができるようになります。
プルリクエスト作成後に内容を修正する場合には、そのままの状態でローカルで修正を加えた後で同様にadd/commitしてoriginの作業ブランチtranslationに再びpushします
git add ja/修正を加えたフォルダやファイル名
git commit -m "コミットメッセージ"
git push origin translation
# originの作業ブランチに再度pushする
これによってプルリクエストの内容が自動修正されます。
プルリクエストが承認されたら(マージされたら)、公式のオリジナルのリポジトリ(upstream)のmasterブランチが自分の作成したプルリクエストの内容がマージされた状態となります。
基本的にはこの流れで作業終了となりますが、ヘルプドキュメントでは更新は定期的にあるため、時間が経過したら再び翻訳内容が追加され、再び翻訳作業をしプルリクエストを作成することになります。2回目以降はいままで流れと若干異なり、ローカルのブランチを更新する作業がでてくるので注意してください。
(2) 2回目以降のプルリクエストの流れ
- upstreamの追加と確認
- ローカルのmasterブランチをupstereamの最新に追いつかせる
- originのmasterにpush
- (a)masterの最新内容を前の作業ブランチにmergeして反映してからチェックアウト、または (b)要らない作業ブランチを削除し作業ブランチを作り直しチェックアウト
- 更新された内容との差分を確認しながら翻訳再開する
- add/commmitした後にoriginにpushする
- Githubにてプルリクエストを作成し、承認を待つ
- プルリクエストに修正があれば修正後originに再びpushする
実際のやり方
上の9~16までの流れを説明していきます。
翻訳作業再開するまで
作業を再開するために、ローカルリポジトリ(local)のmasterブランチの内容をこのオリジナルのリモートリポジトリ(upstream)のmasterブランチの状態に追いつかせる必要があります。
まずremoteの設定を確認し、upstreamとして追加します。次のコマンドでupstreamという名前でオリジナルのリモートリポジトリを追加します。この作業は3回目以降のプルリクエストからは必要ありません。
git remote -v
# fork元の公式オリジナルのリモートリポジトリがremoteのupstreamとして設定しているか確認する。
git remote add upstream fork元のURL
# upstreamとして設定する
git remote add upstream https://github.com/obsidianmd/obsidian-docs.git
upstreamから最新をfetchしてlocalのmasterブランチにマージしてあげます。localのmasterブランチが最新になったら自分のリモートブランチ(origin)のmasterにpushして反映させます。上で提示した9~16までの流れの12(a)になります。
git checkout master
# masterブランチにチェックアウトする
git fetch upstream
# upstreamから更新情報をとりよせる
# 更新情報は upstream/master に
git merge --ff-only upstream/master
# ファストフォワードマージを行い、リポジトリlocalのmasterブランチを最新にする
git push origin master
# 自分のリモートリポジトリ(origin)のmasterブランチにその最新内容を反映させる
git mrege
コマンドでは、オプション--ff-only
をつけることでファストフォワードマージでマージを実行します。
翻訳作業再開
git checkout translation
# 作業ブランチにチェックアウトする
git status
# 作業ブランチに変更がないか調べる(もしなにかあればコミットしたり、stashしたりして退避させる)
git log --all decorate --graph --oneline
# グラフを出してコミットのハッシュ値を確認できる。作業ブランチtranslationのハッシュ値をしらべる。冒頭の数桁のみでよい
git show HEAD
# これでも最新のコミットのハッシュがわかる(あとでハッシュ値を使う)
git merge --no-ff master
# 最新内容であるlocalのmasterを作業ブランチにリカーシブマージさせる(これを行うとマージメッセージの入力画面がvimモードででるので適当なメッセージを書いて終了)
マージを--no-ff
オプションで行うとリカーシブマージになります。これを行うとVimが立ち上がりマージコミットのメッセージを書くことになります。Vimの使い方(挿入モードや保存終了の方法)を簡単に調べておくとよいです。
前回から更新された内容を確認するため差分を表示させます。上で調べた前回コミットのハッシュ値とmasterブランチとの差分を確認します。
git diff ハッシュ値 master
# これでも差分を確認できる。ハッシュ値は冒頭の数桁の数字をいれればよい
git diff 78d63a7 master en/
# masterブランチとコミット78d63a7間でenフォルダについての差分を確認できる
git diff 78d63a7 master en/Pulgins/
# Pluginフォルダの内容だけ差分を見る
git diff 78d63a7 master en/Pulgins/test.md
# test.mdのファイルの差分を見る
git diff 作業ブランチ master en/
# ブランチで比較
更新内容が複数のファイルや追加内容が多い場合にはターミナルでdiffを使うよりもGithubのcompare機能やVSCodeなどの差分表示機能(特にGItLensなどの拡張機能)を使った方がよいですが、なれるまではgit diff
を使ってひとつずつやる方が後学のためになると思います。
差分を確認しながら作業ブランチにて追加内容分の翻訳作業をすすめていきます。ターミナル上でgit diff
を使って差分表示させると修正前と修正後が赤と緑で表示されるので、その内容をみながら日本語版での内容を追加修正していきます。Obsidianの場合、英文(原文)のドキュメントフォルダ(en/)と日本語などの他言語用のフォルダ(ja/など)は別れています。なのでdiffを使うときには英語のドキュメントフォルダを対象に差分を見ます。その差分から追加された部分を見て、翻訳を開始します。
なるべくマージしないで作業する方法
作業ブランチにmasterをマージするのではなく、作業ブランチを毎回新しく作りなおす方法を行ったほうがわかりやすいことがあります。個人的に慣れるまではこの方法を行っていたので、マージの意味がよくわかっていない場合には、こちらの方法をとるのがよいです。上で提示した9~16までの流れの12(b)です。(a)を行わない代わりに(b)をやるという感じですね。
プルリクエスト承認後、git merge --no-ff master
をやらずに次の操作を行います。
git checkout master
# masterにチェックアウト
git branch -d translation
# プルリクエストが承認されたので作業ブランチを削除してしまう
git branch -a
# ブランチが削除されたことを確認
git branch translation
# 作業ブランチを最新のmasterから作り直す(分岐させる)
git checkout translation
# これで最新内容になった作業ブランチで作業再開できる
マージの意味が理解できたら、いちいち作業ブランチを破棄して作り直す方法をとらずに、マージによって作業ブランチの内容を最新にすればよいです。
作業終了後にプルリクエスト作成
初回のプルリクエストまでの流れと同じくadd/commit後に自分のリモートリポジトリ(origin)の作業ブランチにpushします。
git add ja/folderName_1
git add ja/folderName_2
# ファイルごと、フォルダごとにaddする
git committ -m "ja: update"
# コミットメッセージを添えてコミット
git push origin translation
# originの作業ブランチtranslationにpush
pushを終えたら同じようにGithubで作業ブランチtranslationからプルリクエストを作成し承認を待ちます。
流れのまとめ
シーケンス図でのまとめです。
(3) 慣れたらやってみること
プルリクエストの分割
別々の意図でプルリクエストを分割することができる。ローカルブランチを複数きって別々にgit push
を行い、それぞれでプルリクエストを作成することでプルリクエストの分割を行えます。内容追加と修正でプルリクエストを分割するなどができるようになります。
git clientの利用
Working Copyなどのgit clientを利用してモバイルで作業すると暇なときに翻訳作業を行うことができます。こちらでもメールアドレスをGithubで設定した同一のもにする必要があります。
vscodeの拡張機能で作業効率アップ
GitLensやGitGraphなどの拡張機能を入れることで作業効率を上げることができます。
GitLensを利用すればブランチ間(コミット間)の差分を簡単に確認しながら翻訳作業を行えます。更新された部分のみを見ながら翻訳を追加できます。
他によく使うコマンドの概説
git checkout -b branchName
# ブランチを新規作成した上でチェックアウトする
git merge --no-ff branchName
# non fast-forward(recursiveマージ)
git merge --ff-only branchName
# fast-forwardマージできるならマージする、できない場合にはマージしない
git rm fileName
# git監視下でファイル削除
git mv 旧ファイル名 新ファイル名
# ファイルの名称変更
git mv fileName folderpath
# ファイルの移動
git config --global list
# globalのconfig確認(ユーザー情報などの確認)
git log --graph --oneline
# ログをグラフとして簡易表示
リモートブランチ関連
git push --delete origin branchName
# リモートブランチの削除
git checkout -b branchName origin/branchName
# リモートブランチをローカルにcheckout
翻訳そのものについて
自由にやると結構楽しい
翻訳の厳密性はプロジェクトごとに色々あると思いますが有志の翻訳であれば、ある程度のゆるさがあっても大丈夫だと思います。あまり気にしすぎずに挑戦してみるとよいと思います。分からない表現や専門用語はどんどんネットで検索しましょう。自分の場合には、不自然な日本語になるくらないなら解釈から相当する自然な言い回しを優先しています。文も切ったりつなげたり、結構自由にやっています。参加者の少ない日本語翻訳のプロジェクトの場合、このように自分の好きなようにできるのも利点だと思います。一方、人数が少ないと校正や、表現性の向上、誤訳やタイポなどの修正があまりできないのが難点です(textlintを使うのがいいかもしれません)。
Obsidianの翻訳プロジェクトでは、翻訳に問題や修正、追加内容があれば誰でもプルリクエストやissueをGithubに作成できるスタイルでやっているので翻訳作業自体は結構はやいスピードで進みます。もちろんニッチなソフトウェアのベータ版という開発途中のもの故にこのような自由な事ができるわけで、他のメジャーなソフトウェアやサービスではなかなか難しいのではないでしょうか。
他の翻訳プロジェクトってどうやってやっているのかと思って他のサービスなどちょっと調べてみました(スケールによって結構違いますねやはり)。
- Notion Community Translation Guide
- Hugo Docs Japanese | Hugo Documentation の和訳・日本語翻訳プロジェクト
- yohamta/typescript-book-jp: TypeScript Bookの日本語訳です。
日本語表現が難しい
英文の解釈よりも日本語の表現が難しいです。英語で理解できても日本語自体の表現や語彙のストックがないので(笑)、どうしても直訳っぽくなってしまい、他のアプリケーションやサービスのドキュメントの日本語訳版などを参考にすることもありました。また、他の言語翻訳者がどのように翻訳しているのかGoogle翻訳などを使って見ていました(例えばイタリア語やロシア語など)。
実際のところ、まだ稚拙な表現が多いかもしれませんが、現在は「とりあえず翻訳を完成すること」を念頭にプルリクエストで修正点や校正などをはさみつつクオリティを上げていくようにしています。
UIとヘルプドキュメントの一貫性
また、自分の場合はヘルプドキュメントから翻訳をはじめましたが途中からUIとの整合性を図るためにヘルプドキュメントではUIをベースとした説明文になるように注力しました。UIの翻訳ではjsonファイルの文字列を翻訳していく形でしたが、英文の文字列を見てもどういった操作なのかわからないことが多いので、実際にObsidianの画面を出してどの部分の文字列なのか確認しながらやらないといけませんでした。
ObsidianはElectronベースで開発されているのでdeveloper toolが使えます。翻訳であやしい部分があればUIにあっているか、developer toolで実際に変えてみて合うかどうかを確認しています。
他に、特段注意すべきことは、句読点やスペースや半角全角などの表記ルールや語彙対応表などを早いうちから作成しておくと良いです。あとから整合性を整えるのは面倒なので最初から表現や単語のルールを統一しておきましょう。UIとの整合性もを考える上で重要です。といってもいきなりルールを想定することはできません。その場合は翻訳しているうちに必要なルールがどんどんでてきますので、その都度はやめに追加していくのがよいです。表記のスタイルについてはWrodpressの翻訳スタイルガイドやJTF(日本翻訳連盟)の翻訳スタイルガイドなどが参考になります。ルールを新たに追加する際には既存のドキュメントに対してルールを追加するためテキストエディタの検索と置換機能を駆使して全体に適応します(これもtextlintでできそうです。プリセットルールでJTF-styleなるものが存在します)。
→ [[textlintの使い方]]
他参考サイト
Gitをインストールしたら真っ先にやっておくべき初期設定 - Qiita
Author And Source
この問題について(プルリクエストによる翻訳作業のやり方), 我々は、より多くの情報をここで見つけました https://zenn.dev/estra/articles/translate-with-gitandgithub著者帰属:元の著者の情報は、元のURLに含まれています。著作権は原作者に属する。
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