求められる品質とは何なのか


はじめに

初めまして。カオナビでは3年少々、前職を含めると10数年QAを行っているhoooooooです。
Qiitaは前職で何かを書いたと思うのですが、何を書いたかもアカウントも覚えていないので初Qiitaの気分でいきたいと思います!
内容は今年の春くらいに社内の勉強会(勤務時間外)で話をしたものをより一般的な内容に焼き直しをしたものになります。「へぇー」「ふーん」くらいの気持ちで読んでいただけると幸いです。

品質とは何なのか

長くなりそうなので先に結論を書きます。

求められる品質は人や立場、時(市場や製品の成熟度)によって変わる。
固定された基準ではなく、複合的な視点から特に求められている品質を見極めてみよう。

という内容です。テストに関する手法などには触れませんのでご了承ください。

人によって求められる品質が変わるという話

狩野モデルをベースに記載していきたいと思います。狩野モデルについてはイベントやQiitaでもしばしば目にすることができるので詳しく知りたいという方は調べてみると良いかもしれません。
Wiki
ついでにみんな大好き JSTQBでおなじみの日科技連のHPにもあるのでリンクを張っておきます。
日科技連

狩野モデル図

項目      内容 例(スマホ)
魅力品質 不充足でも仕方がない(不満には思わない)が、充足されれば満足 ハイレゾ音源(あれば良いが、なくても不満ではない)、曲面液晶など
一元的品質 不充足だと不満、充足されると満足 バッテリーの持ち(稼働時間が長ければ満足、短いと不満)、重量など
当たり前品質 不充足だと不満、充足されて当たり前 通話音声(音が良くて当たり前、聞き取りづらいと不満)

日科技連HPより引用

Wikiには5つの項目、日科技連には3つの項目があります。5つの項目を示したグラフもあるのでそちらも紹介します。

https://goworkship.com/magazine/kano-model-analysis/ より引用

こちらの画像に合わせて表も5つの項目にしてみます。

項目      内容 例(スマホ)
魅力品質
(Attractive)
不充足でも仕方がない(不満には思わない)が、充足されれば満足 ハイレゾ音源(あれば良いが、なくても不満ではない)、曲面液晶など
一元的品質
(One-dimensional)
不充足だと不満、充足されると満足 バッテリーの持ち(稼働時間が長ければ満足、短いと不満)、重量など
当たり前品質
(Must-Be)
不充足だと不満、充足されて当たり前 通話音声(音が良くて当たり前、聞き取りづらいと不満)
無関心品質
(Indiffrent)
不充足でも充足されてても満足度に差はない ホームやロック画面の壁紙(自分で好きなものを用意する、何でも良い)
逆品質
(Reverse)
不充足だと満足、充足されると不満 プリインアプリ(使わないので削除するアプリ)

例は日科技連HPからのものが3つ、私が書いたもの2つあります。
皆さんはこの例に同意していただけたでしょうか?

なんか違うんだよな・・・

という方もいらっしゃいませんか??

ワインバーグ
品質とは誰かにとっての価値である

この言葉の通り、人によって品質の捉え方は変わります。
先のスマホの例では通話音声が当たり前品質に上がっていますが、VoLTEなどの開発をした方から見ると魅力品質かもしれませんよね。

つまり

人や立場が変われば品質に求める基準や評価が変わる

ということが言えそうです。
XX機能は魅力、XX機能は当たり前という普遍的なものは無いということですね。

ちなみに社内の勉強会の資料ではこんな感じで説明しました。

時(市場や製品の成熟度)によって求められる品質が変わるという話

魅力品質であったものが時間経過と共に一元的品質や当たり前品質に変わってくるという話です。最新の製品やサービスは最新のテクノロージーを駆使したものが多いですが、これらも普及と共に当たり前のものとしてとらえられてくるようになります。
例によってスマホで例えるなら液晶やカメラ、バッテリーなど年々良いものになってきているのでひと昔前の高画質や大容量は今は当たり前ですよね。今だと5Gが使えると魅力に感じるかもしれませんが数年後には当たり前に使っていることでしょう。

周りの変化や時間経過によって求められる価値が変わる

こちらは社内ではこんな感じで説明しました(発表時はスマホのカメラの部分はカオナビの機能でした)

自分たちの製品は何を求められているのか

今度はイノベーター理論というものをベースに記載していきたいと思います。マーケティング用語なのであまりなじみが無いかもしれませんが簡単に言うと (深くは知らない) 製品の普及の過程を5グループに分類したものです。


https://www.onemarketing.jp/lab/btob-marketing/innovation-theory_195 より引用

ここでマーケティングの話と狩野モデルを混ぜてそれぞれのグループがどんなグループなのかをサルでもわかる~のノリで表にしてみます。

グループ イメージ像 重視する品質
イノベーター 新しいもの大好き 魅力品質
アーリーアダプター ちょっと意識高い系 魅力品質
一元的品質
アーリーマジョリティ ビッグウェーブに乗りたい系 一元的品質
当たり前品質
レイトマジョリティ 周りが使っているので乗りたい系 当たり前品質
逆品質
ラガード 出来れば使いたくない保守派 逆品質

※無関心品質はどのグループも無関心なのでこの表には含めていません

上記の図と表を合わせるとこのような図になります。

これで市場や製品の成熟度と求められる品質が一体となりました。

例えばカオナビが属する HR Tech や Fin Tech 、 Ed Tech など XX Tech 業界はグラフの左側に属することが多いのではないでしょうか。

現在のXX Techであれば
導入しない理由(逆品質)
の排除よりも
これまで出来なかった何かができる!(魅力品質や一元的品質)
ことを重視したほうがより求められている期待に応えているという見方になります。

客観的に今求められている品質は何なのかを知る

社内ではここも図を使って説明をしたのですが、残念ながら非公開とさせて頂きます。

最後に

品質とは何だろう?
ユーザー目線?
QA目線?

これらは正解が無いものだと思っています。
この記事はまったく知識のないマーケティングと多少知っているQAの知識を組み合わせて品質について考えてみたものです。知識の無いマーケティングはどこから出てきたのかというと、何かのミーティングで話を聞いたことから始まります。

ユーザー目線ではA、QA目線ではBという一方からの目線での議論ではなく、それぞれの目線を組み合わせてみると意外な発見や関連性に気付けるかもしれません。システム開発とは関係無さそうな心理学や教育理論などと組み合わせてもいいでしょう。
いつものメンバーやいつものルーティン以外の刺激を受ける機会を意図的に設けてみると面白い結果がを得られるかもしれませんね!!