NFTの可能性について考える(ポエム)


昨今話題のNFTですが、MINT(発行)とかすごく簡単にできますね。以下、Node.js での発行手順です。

以上で技術的な説明は終わりです。

以下、ポエム(妄言)です。

NFTの可能性について考える

モノを所有する魅力とは?

未来永劫所有しつづける必要があるモノはほぼ無くて、不要になるまでの期間は様々ですが、大半のモノはいつか不要になります。

例えば、

  • パソコン・スマホ: ハードウェア・ソフトウェアの耐久限界になると不要になる
  • ゲーム機: 新世代のゲーム機が登場したら不要になる(スマホでOK)
  • フィットネスマシン: 割とすぐに飽きるのですぐに不要になる(ジムに通えばOK)
  • 家・マンション: ライフスタイルが変化したら不要になる(賃貸でOK)

など。

例えば、スマホは実質サブスクです。私がスマホを使い始めた2011年頃は、だいたい3〜4万円ぐらいのAndroidを1〜2年スパンで機種交換していました。なので、年間1.5〜4万円、月額1,250〜3,334円のサブスクです。初代iPhoneSEが出た時(2016年)にiPhoneに乗り換えましたが、新品のiPhoneなら5年使うことができ、Appleストアでの購入価格はだいたい5万円ぐらいだったので月額800〜900円程度のサブスクです。

新たにモノを所有すべきか判断する時、「不要になったら手放すことが簡単か?」「不要になるまでの期間を加味した支出額が妥当か?」の2点あたりが重要なチェックポイントになると思われます。

もちろん、一度所有したモノを生涯愛で続け、死後も使えるように棺桶に入れて欲しいケースも例外的にあるかもしれませんが、基本的にかなりレアケースだと思われます。大半のモノは、「所有」することそのものの必要性を突き詰めて考えると何もありません。

恐らく、モノを所有することの魅力とは、所有欲や独占欲を満足させることができる 程度のものしかありません。要するに合理的なものではなく、趣味趣向の類のものだろうと思われます。

例えば、カラスはキラキラ光る役立たないモノを巣に貯め込んだりすることがありますが、これは一種の趣味のようなものらしいです。つまり、野生動物ですら趣味で所有を行っているので、これはプリミティブな欲求かもしれません。

NFTの魅力とは?

デジタル商品には、アナログ商品に無い特徴が幾つかあります。

  1. 物理コスト(輸送・保管・破棄コスト)がほぼ掛からない
  2. 品質が劣化しない(錆びたり腐ったりといった経年劣化がない)
  3. 複製が簡単

NFT は通常のデジタル商品から「複製が簡単」という特徴の一部を制限したものだと考えられます。「排除」ではなく「一部制限」です。NFT も所詮はデジタル商品なので、他のデジタル商品と同様簡単に複製できます。ただし、ブロックチェーンにより所有権の所在と移転経路が明確になる特徴があります。

これで本当に「所有欲」を満たせるものかと問われると少し疑問が残ります。複製が簡単である以上、少なくとも「独占欲」は満たせないと思われます。

そこに一体、どのような魅力があるのか?

例えば、NFTがお金やモノと交換可能ならとても魅力的かもしれません。

所有権を持つことそのもののメリットは皆無ですが、ブロックチェーンにより所有権の移転がほぼノーコストで出来る点が NFT の最大の強みなので、何らかのモノと 交換 ができるようになって初めて価値が発生する...というのが私見です。

交換とは?

モノと別のモノの交換(物々交換)は難しいです。
物々交換が難しくなった原因は、お金が発明されたためです。
お金は誰でも簡単にモノと交換できます。
しかし、モノをお金と交換するのは若干の技術(投資スキル or 商人スキル)が必要になります。

お金との交換が容易なモノとして、流動性が高い債権や株など、金融関連の商品が最初に思いつきます。ただし、流動性が低いモノは売りたくても売れないことがあり、流動性は外的な要因を含む様々なパラメタに影響して時々刻々と変化します。そして、その各種パラメタを見極めるには投資スキルが必要になります。

金融関連を除外すると、リサイクルショップ類(ハードオフ、ブックオフ、メルカリなど)で取引可能な商品なら比較的簡単にお金と交換できそうです。ただし、実際に妥当な値段がつくか否かは商品自体の人気や希少価値に加え、売却時点の品質など複数のパラメタに影響して変わってきます。それらパラメタを見極めて「安く仕入れて高く売る」ためには商人スキルが必要です。

その他には、パチンコの文鎮(特殊景品)なら誰でも簡単にお金と交換できます。

パチンコの特殊景品は、一切のパラメタに影響されることなく(スキル無しで) 確実に定量を定額のお金と交換できるかなり異質な特徴を持つ商品といえます。

パチンコとは?

パチンコとは、パチンコ店でパチンコ玉という課金アイテムを買い、その玉を使って抽選ボックスに入れることを目的としたピンボール(玉弾き)ゲームを遊べるお店です。私も15年ぐらい前の2006年ごろ、大阪出張に前泊で行った際の空き時間に遊んだことがあるので、少しだけ知っています。

パチンコは、抽選の結果アタリを引くと玉が増えます。

ここまでならラウンドワンのメダルゲームと同じですが、 玉を特殊景品と呼ばれる景品と交換することができる点がラウンドワンと異なります。

ちなみに、普通景品(玩具やお菓子など単価1万円以下の商品)もありますが、パチンコ店内で出玉を景品と交換する時、ほぼ自動的に特殊景品に交換されるので、今はどうなっているか知りませんが少なくとも15年前は、特殊景品の方が普通の景品でした。

特殊景品は、パチンコ店の近くにある交換所という店(※パチンコ点とは別の店)でお金と交換できるので、運が良ければ結果的にお金を増やすことができます。

私が大阪で遊んだ時は、終始当たり続けて獲得した出玉を交換したところ、両手で持ちきれないぐらいの量の機械部品のようなモノ(特殊景品)を貰うことができました。それを最寄りの交換所に持っていったところ、だいたい20万円ぐらいで売れました。

特殊景品は、景品問屋と呼ばれる店からパチンコ店が仕入れているようです。

パチンコのシステム(三店方式)をシーケンス図にすると、次のようになります。

これは、素人目には刑法185条で禁じられている賭博だと思うのですが、法的には賭博(ギャンブル)ではなく単なる遊戯(ゲーム)と解釈されているようです。

特殊景品は恐らく、現金または高額商品でなければどのようなモノであっても問題無いと思われますが、容易に複製可能なモノだと交換所から無限にお金をゲットできることになりマズイので、高度な偽造防止処置が必要だと考えられます。

実際、私が大阪のパチンコ店で入手した特殊景品(機械部品)にも、複雑なシリアルコードを仕込むなどして偽造防止処置が施されていたものと思われます。

特殊景品は、NFTの使い所として、これ以上無い最適なモノ のように思えます。

というのも、特殊景品がNFTだったら、私がかつて大阪で経験したように持ちきれない特殊景品をボロボロ落とし、まるで乞食のように拾いながら交換所へ行くマヌケな姿を晒さずに済んだ筈なので。

ついでに、偽造防止って意外とコストが掛かる筈です。

ただし、パチンコは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風俗営業法)の二条一項四合(まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業)に該当するので、色々な規制項目をクリアしなければ営業できないようです。そして、以下の記事によると提供できる景品にも制限があるらしく、デジタル商品を景品として提供することは NG らしいです。

つまり、風営法の縛りを受ける物理店舗での採用は(今のところ)NGだと思いますが、全部オンライン化してしまえばすべて解決しそうに思えます。

というより、パチンコ自体全部オンラインの方が良いのではないだろうか?

全部オンライン化できれば、店舗家賃、人件費、遊技機のリプレースコストなどを大幅に削ることができ、ついでに感染対策云々の面でもパーフェクトになります。また、風営法の営業時間の縛りも無くなるので機会損失も減る筈です。良いことづくめですね。

その全部が既得権益の塊みたいなものだから難しいというか、あまり表で騒いでほしくないからやりたくないのでしょうけど。

NFTの可能性について考える

昨今、NFTゲームなるものが存在し、ゲーム内で獲得したアイテムをNFTとして所有することができるとのことですが、「所有した先に何ができるのか」という点を突き詰めるとRMTという解にしか行き着きません。つまり、結局それはパチンコの文鎮NFTと同じギャンブルです。そこには、モンスター集めなのかピンボールなのかという遊戯内容の違いしかありません。

文鎮NFT以外の可能性は何か無いものか?

ブロックチェーンには「所有権の移転の履歴を記録できる」「現時点の所有権を証明できる」という特徴があるので、それを利用した認証システムとしての利用価値はありそうだ...というのが、今回 NFT についてざっくり調べてみた(※)限りでの私見です。

実のところ、現時点では全然調べてなくて、ブロックチェーンのトークンとファイルのSHA-256なりを紐付けた感じかな?みたいな適当な理解しかしていない状態ですw(将来性があるなら後で技術的にkwsk調べよう...と、思っているところ)

そう考えると、かなり色々な用途がありそうです。

例えば契約書とか。

契約を交わした双方が発行(MINT)したNFT契約書を相互交換することで法的に有効な契約が成立する筈です。当然ハンコも要らないし、サーバを介する必要が無い点がクラウドサインと比べて有利です。

契約書については、紛失リスクを考えると相互所有よりも中央管理(つまり、クラウドサインとか)の方がベターだと思います。ただ、「大切な契約書を雲の上なんかに置けるか!」という経営者にとって、NFT契約書は有用かも...と一瞬思ったのですが、クラウドサインに理解を示さない御老体が理解するとは到底思えないので、多分ビジネス的には成り立たない(クラウドサインに勝てない)かなと。

病院の処方箋なんかでも使えそうですね。診察を受けるとNFT処方箋が発行され、それを薬局に持っていけば薬を買えるようなユースケースが考えられます。確か、病院と薬局は別の機関?(二店方式?)じゃないとダメな筈なので、従来のクラウド集中管理だと実現が難しかったかもしれませんが、NFTで疎連携する形なら実現できるようになりそうな気がします。

文鎮NFTが実現可能性や倫理的なことはとりあえず置いておいて「いいね!」と思えたのは、文鎮NFTも「景品問屋が発行(MINT)してパチンコ店に移転後、客に移転したこと」を簡単確実に証明できる認証システムとしての特徴を、三店(景品問屋、パチンコ屋、交換所)で疎連携できる点(つまり、オンライン三店方式が実現可能になる点)です。

あとは、画家や音楽家のパトロン用途としても有用かも...と一瞬思いましたが、それならYouTube Liveの投げ銭で十分だから不要かな。

まとめ

  • NFT のニーズは「連携が難しいシステム同士の疎連携インタフェース」という点にあり、そこそこ幅広い分野で実用性(将来性)が高そうな技術である
  • ただし、普通のクラウド集中管理で問題ないケースが大半なので「どんな分野でも」という訳ではない