【既卒】【未経験】テックキャンプ受講から内定までの感想


 「テックキャンプ」は日本最大級のプログラミングスクールです。今受講すべきかどうか悩んでいる方もいらっしゃることでしょう。またプログラミング教育に携わる方にとっても、テックキャンプの実態は気になるのではないでしょうか。

 そこでテックキャンプ卒業生の生の声を記事にしたいと思います。

 先に簡潔な感想を述べるなら、テックキャンプは、アプリ開発の流れを短期間で効率的に学べる点で優れた環境です。一方で受講生の立場によっては受講料が割に合わない部分もあると言えます。
 ではその理由を以下の流れでこれから掘り下げていきたいと思います。

  1. 僕の経歴
  2. テックキャンプの学習内容
  3. テックキャンプカリキュラムの難易度
  4. テックキャンプのメリット
  5. テックキャンプのデメリット
  6. 僕の実績
  7. まとめ

 まずどういう人物の生の声なのかを明確にしないと、情報の受け取り方が変わってくると思いますので、僕の経歴を書いておきましょう。
 気になる方以外は読み飛ばしてください。

1. 僕の経歴

・この記事の目線

 僕は社会人経験なし(既卒)、学歴なし、プログラミング未経験という立場からの受講となります。ということで僕の意見は、学力が優秀ではない若い人物の目線になります。

・プログラミングを始めた理由

 そんな僕がプログラミングを始めることにした理由は、食いっぱぐれにくいスキルを保有しておきたいと考えるようになったからです。

 学歴なしということですが、僕は最も受験難易度の易しい公立大学に通っていました。高校時代の僕は受験勉強と並行しつつ、複数のやりたいことに時間を割いていました。やりたいことが複数あったことから専門大学へ行く決断はできず、受験勉強にあまり時間を割かなかったことから難関大学に行けるラインにも到達できず、ひとまず学費のかからない公立大学へ通うことにした形です。

 そしてやりたいことの1つが「漫画」であり、在学中に2度、週刊少年ジャンプに自作の漫画を投稿しました。その時に痛感したのが、漫画で経済的に自立するには10年はかかるということでした。

 よく考えてみれば、Amazonが消費者にとってコスパの良いサービスを提供できるのは、AWSという利益率の高い事業を手がけているからであり、サイバーエージェントが赤字のABEMAに先行投資し続けられるのも、インターネット広告事業やゲーム事業といった収益基盤があるからです。
 だとすれば僕もリスクを取る前に、確実に経済的に自立した方が賢明だと考えるようになり、漫画制作と類似しているプログラミングを始めることにしました。プログラマーも年々希少価値は無くなっていくと感じていたからこそ、複数の分野に手を出しておいた方が、人生100年時代を楽しめるかなとも考えていました。

 これが正直な理由です。しかしこんな甘い考えでは企業の採用担当者からは見切りをつけられます。エンジニアとして食っていくならば、それ相応の覚悟と本気度が必要だと言えます。

・テックキャンプを受講した理由

 プログラミングを始めるにあたってテックキャンプを受講することにした理由は以下の通りです。

  • 将来的に教育事業にも携わりたいと考えていた
  • 「何を学ぶべきか」を考える手間を省きたかった
  • マコなり社長の正義感を信用していた
  • 確実に就職したかった

 わざわざ高い受講料を払ってまでテックキャンプを受講した訳は、「教育」に高い関心があったからです。社会課題の根本は「教育」に帰結するため、最終的には僕は教育事業に携わりたいと考えています。将来的に教育事業に携わるのであれば、ただ教育体系を頭で考えるだけでなく、実際に高水準の教育環境を体感することが必要だと思っていました。だとすればマコなり社長が仕組み化した日本最大級のプログラミングスクールに通うことは、僕にとって貴重な経験財になるはずだと考えたのです。

 また独学ではなくスクールに通うことの1番のメリットは、「何を学ぶべきか」を考える手間が省けるということです。独学だと自分のやっている勉強が間違った方向に進んでいないか不安になりますが、スクールに通えば、その不安を効率的に解消できます。

 あとエンジニア転職できなければ受講料全額返金というのがテックキャンプの特徴ですが、マコなり社長の使命感や正義感に偽りは全く感じられなかったため、テックキャンプを信用していたというのも大きいです。

2. テックキャンプの学習内容

 ではテックキャンプでどんなことを学ぶのかをまとめておきたいと思います。
 テックキャンプの特徴は、アプリ開発の流れを短期間で効率的に掴めるということです。「Ruby on Rails」というフレームの使い方を手を動かしながら学ぶのがメインです。サーバーサイドの実装が受講期間の大半を占めると言えます。

 僕の中では、「プログラミング」というと、自分でアルゴリズムを考えて数学の問題を解くといったイメージがあり、アプリ開発というとホームページのデザインを考えて形にするイメージがありました。

 しかしテックキャンプでは、アルゴリズム問題を解くことや、ホームページのデザインを考えるクライアントサイドの実装はメインではありません。

 「いかにしてデータをHTMLに埋め込むか」を考えることに多くの時間を使います。HTML&CSS、JavaScript、AWSなど、アプリ開発に関する様々なことを広く学びますが、「Ruby on Rails」を学んだという感触が大きいカリキュラムとなっています。

3. テックキャンプカリキュラムの難易度

 テックキャンプのカリキュラムに関して、「ゲーム感覚で学べた」という意見もあれば、「しんどかった」という意見もあります。

 このことに関して僕の意見を述べるとするならば、カリキュラム終了時点では、「易しい難易度だった」と感じる場合が多いと考えられます。というのも、一度特定のスキルを習得して自動化できるようになった場合、大変だった頃の記憶は思い出しにくいからです。自転車に乗れるようになるまでの過程は大変だったはずですが、乗れるようになっている今では、あの時なぜ乗れなかったのかが分からないのと同じです。
 またテックキャンプのカリキュラムが終わったとしても、その後自分で学ばなければならないことが膨大であるため、テックキャンプのカリキュラムは序の口だったと感じることでしょう。

 プログラミング未経験者にとって、インプットの時間が長い序盤はしんどいと感じることもあるかと思いますが、アウトプットの時間が長くなる後半では、しんどさを感じにくいと言えます。

 特に学力が優秀ではない人物の目線から言わせるならば、序盤は「1文あたりの横文字が多い」、「詰め込みすぎ」と感じることもあるかと思われます。カリキュラムを終えてみればそれで問題はないですけどね。

4. テックキャンプのメリット

 そんなテックキャンプカリキュラムを受講してから就職活動を終了させるまでの過程を終えた上で感じた、テックキャンプのメリットを説明したいと思います。

 ただし僕はメリットを感じにくい立場であったとも言えます。プログラミング未経験かつ社会人未経験であったため、そもそもプログラミングに挫折した経験もなければ、態度の悪い社会人の教育者も知らないからです。受講する世代が若くなるにつれて、テックキャンプの教育レベルが当たり前の水準になっていくとしたら恐ろしいですね。(笑)

 そんな僕が感じたメリットは主に以下の4点です。

  • メンターのおかげで学習進捗が遅れない
  • 最適化されたカリキュラム
  • カリキュラム終了後も勉強しやすくなる
  • 同じ課題を共有できる同期の存在

 やはり土日も含めて大体10:00~22:00までいつでもすぐに繋がってくれるメンターの存在は大きいのではないでしょうか。考えても分からない課題に直面したとしても、メンターに質問すれば理解度を高めた上で先に進めます。
 高い受講料というのは、テックキャンプ社員に対するプレッシャーになっている部分もあるはずです。そのため、どのメンターさんも責任を全うしようとする姿勢が強いです。ただもちろん受講生サイドも、仮説を立てて要点を絞った質問をすることが求められます。

 このメンター制度に加えて、アプリ開発の流れを掴める最適化されたカリキュラムがあることによって、独学では到達できないスキルをたった10週間で身につけられると言えます。

 またアプリ開発に関する知識を幅広く学べるため、テックキャンプのカリキュラムが終了したとしても次のステップに進みやすいです。
 多くの企業はテックキャンプで学んだ「Ruby」ではなく「Java」をはじめとした他のプログラミング言語を扱っています。しかし基本的な考え方は同じであるため、新しい言語を学ぶ際の吸収力は上がります。

 そしてなんといっても同期の存在は大きかったです。テックキャンプでは、1日に複数回、同期受講生5~7人でアウトプットをします。僕はオンラインでの受講でしたが、同じ課題を共有できる仲間がいることによって、孤独を感じることは全くなかったです。
 また比較できる相手がいることによってグループ内での学習進捗率が大幅に上がります。1時期、学習進捗率の上位1位〜7位までが全員自分たちのグループだったなんてこともありました。

5. テックキャンプのデメリット

 テックキャンプにはもちろんデメリットもあります。しかし僕が感じたデメリットはテックキャンプ側に問題があるわけではなく、受講生の立場に依存する問題です。受講生の立場次第では、「テックキャンプ以外でプログラミングを学ぶ方が最適かもしれないよ」という気づきになります。

 僕が感じたテックキャンプ唯一にして最大のデメリットはやはり「受講料の高さ」です。なぜ受講料が高いのかを切り分けて考えれば、他のプログラミングの学び方も選択できるはずです。

 少なくとも「既卒」や「学生」向けではないと僕個人は感じました。そもそもテックキャンプのターゲット層ではないでしょうし、僕個人に問題がありますけどね。(笑)

 なぜ受講料が高いのかを考えた時に挙げられるのはやはり「人件費」ではないでしょうか。いつでも質問に答えてくれる「メンターさん」がいて、学習面での不安を聞いてくれる「ライフコーチ」がいて、転職活動を支援してくれる「キャリアアドバイザーさん」がいて、テックキャンプ経由で求人を提供するための「営業担当」もいます。これだけ万全の体制が整っていれば受講料が高くて当然です。

 しかしこれらに高いお金を払う必要がない立場の方もいらっしゃると思います。メンターさん、ライフコーチ、キャリアアドバイザーさんは全員良い人でしたが、受講生の立場によっては、受講料が割高だと感じるかもしれません。

 僕の場合は学習面で不安を感じることがなかったため、ライフコーチのサポートは全く利用しませんでした
 またテックキャンプ経由では既卒の求人はほとんどないと言われたため、就職活動も自己応募がメインとなりました。
 さらに言えば完全未経験者とプログラミングスクール卒業生を区別した求人はなかなか見当たらず、未経験者を採用する自社内開発企業があったとしても、テックキャンプではほとんど学ばないインフラを扱うエンジニアの求人ばかりでした。アプリ開発のフレームワークよりもアルゴリズム問題を解くスキルやITの基礎的な知識を重視する企業からは好まれない傾向もあります。
 メンター制度に関して言えば、カリキュラム外のことは質問できないという特徴もあります。僕の場合は、受講期間の1ヶ月前倒しで最終課題を提出しましたが、もっと学習進捗が速い方からすればほとんどの期間メンターさんが使えない状態となる可能性もあります

6. 僕の実績

 そんな僕はテックキャンプ受講生の中では苦戦しなかった方だと思います。受講期間の終了時点では、以下のように、フリマアプリに10個程度機能を追加し、10個程度機能を実装したオリジナルアプリを完成させました。

 その中でも最も複雑だった実装は、以下のように記事にしています。

 就職活動では、テックキャンプ経由で、実力主義の受託開発企業の最終選考までは進むことができました。既卒向けの求人はほとんどないと言いましたが、この企業に関しては、プログラミングテストやアプリ課題提出などの成果で判断してくださったため、選考に通過することができました。ただ実力及ばず最終面接で落ちてしまいました。

 また応募条件に該当する自社内開発企業はいずれもインフラ系であり、面接ではどの採用担当者もテックキャンプカリキュラムと実務内容に齟齬があることを懸念されている印象でした。こちらも実力及ばず面接で落ちてしまいました。

 結果的にはアプリ開発系のSES企業に内定をいただいた形となります。

7. まとめ

 以上までがテックキャンプ受講から内定までの感想となります。受講料が高いことだけが唯一の懸念材料であり、カリキュラム内容や体制自体に不満は全くありません。僕の満足度は高く、社会人の方にはぜひお勧めしたいです。
 仮に合わないと感じたとしても、受講から14日の間に辞めれば受講料は返済されるので、辞めない決断をした場合は文句の言いようもないと思います。

 ただ実際に受講した立場として、学生や既卒の方は、テックキャンプ以外の選択肢で勉強した方が合理的な場合があると感じました。その辺を考えて慎重に比較検討してもいいかもしれません。