valiktorを使ってVO値のバリデーションを行う


今回は自身で開発・運営している「Hello Books」で利用している技術について紹介したいと思います。

Hello Booksについて

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valiktorとは

Valiktor is a type-safe, powerful and extensible fluent DSL to validate objects in Kotlin.

https://github.com/valiktor/valiktor

オブジェクトのバリデーションをサポートしてくれるKotlinライブラリで、シンプルな記述で様々なバリデーションを実装できるのが魅力です。Hello BooksではDDD(ドメイン駆動設計)に基づいて設計・実装を行っていますが、Entityを構成するValue Objectを生成する際にその値の妥当性を担保するためにvaliktorを利用しています。

シンプルなBook Entityでの利用例を見てみる

一例として、下記の様な非常にシンプルなEntity "Book"を想定します。

Book
id: BookId
author: BookAuthor
title: BookTitle
price: BookPrice
publishedAt: BookPubishedAt

Book Entityを構成する5つのValue Objectをそれぞれ定義しています。DDDでは、Entityを生成する際にはその妥当性を担保する必要があります。例えばpriceが0円以下の場合などは現実の書籍を想定するとあり得ないため、Value Object生成時にその様なケースはValidationで弾く実装を行う必要があります。
様々なアプローチがあると思いますが、valiktorを利用するとすごく簡単に実装することができます。

BookPriceでのvaliktor実装例

import org.valiktor.functions.isGreaterThan
import org.valiktor.validate

data class BookPrice(var value: Int) {

    init {
        validation()
    }

    /**
     * validation rule
     */
    fun validation() {
        validate(this) {
            validate(BookPrice::value)
                .isGreaterThan(0)
                .isLessThanOrEqualTo(10000)
        }
    }
}

Hello Booksでは抽象クラスを利用してバリデーションなどの実装を定義していますが、単純化のためクラス内で完結する実装を例として扱います。
kotlinではinitブロックでプライマリコンストラクタが呼び出されたときに実行される処理を定義することができます。validationメソッドでvaliktorを用いたバリデーションを実装しています。メソッドチェインの形で複数条件を設定することができ、今回のケースでは"書籍の価格は0円以上10,000円以下でなければいけない"としてバリデーションを設定しています。

ユニットテストでバリデーションの実装を確認

import org.junit.jupiter.api.assertDoesNotThrow
import org.junit.jupiter.api.assertThrows
import org.junit.jupiter.params.ParameterizedTest
import org.junit.jupiter.params.provider.Arguments
import org.junit.jupiter.params.provider.MethodSource
import org.valiktor.ConstraintViolationException

class BookPriceTest {
    companion object {
        /**
         * data provider methods for "testValidation"
         */
        @JvmStatic
        fun dataProvider() = listOf(
            // normal cases
            Arguments.of(1, true),
            Arguments.of(100000, true),
            // exceptional cases
            Arguments.of(0, false),
        )
    }

    /**
     * validation test checking if provided parameters are valid for the VO
     */
    @ParameterizedTest
    @MethodSource("dataProvider")
    fun testValidation(value: Int, isValid: Boolean) {
        when (isValid) {
            true -> assertDoesNotThrow { BookPrice(value) }
            false -> assertThrows<ConstraintViolationException> { BookPrice(value) }
        }
    }
}

junitのParameterizedTestを利用することでdataProviderで定義している各値でBookPriceインスタンスを生成した場合にバリデーション例外が発生するかを確認しています。データドリブンテストについてはこちらの記事詳しく紹介しています。
実際にテストを走らせると、通過したことを無事確認できました!

今回は数字の上下限に対するバリデーション実装のみ扱いましたが、他にもhasSizeで最小/最大長を設定したり、.isEmail()でメールアドレス形式を保証したりなど様々な機能を利用することができます。公式のドキュメントで分かりやすくまとめられているので、興味のある方は見てみてください。

最後に

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。よろしければHello Booksにも是非遊びに来てください!