Analytics Cloudを活用したPOSデータ分析 データ準備編② 昨年対比の計算について


利用環境

データベース:Oracle Autonomous Data Warehouse 容量(1OPCU)
BIサービス:Oracle Analytics Cloud 機能セット(Enterprise Analytics) 、容量(2OPCU)

用意したデータについて

アパレル事業の店舗POS売上明細データ: ID付きPOSデータなので、会員ID付きの売上データです。商品属性(カラーコード、サイズ)、ブランドなどは、連結済み

会員マスタデータ:会員の基本属性データですが、ポイント増減に関する情報も、連結済みのデータ

Analytics Cloudを活用したPOSデータ分析 データ準備編②:昨年対比の計算について

商品アイテムごとに、または店舗ごとに売り上げの昨対を見たいというニーズは、POS販売分析においてとてもポピュラーな要件だと思います。

データベースにデータマートや中間テーブルを用意する方法で対応しても良いとは思いますが、集計単位や抽出条件はしばしば変わるので、BIツール側で計算した方が、柔軟性が増します。

今回もAnalytics Cloudの関数を使って売上数量について前年対比カラムを作成する方法をご紹介します。

完成形イメージ
売上数量の前年対比グラフ(商品アイテム別、ブランド別、店舗別、期間別)

ステップ1:前年の売上数量の計算カラムを作成する 

Analytics Cloudの関数で、前期比計算をする方法は、いくつかあります。移動平均(MSUM)関数を使う方法と、Aog関数を使う方法が一般的なようです。今回は、移動平均(MSUM)関数を使った方法をご紹介します。

MSUM関数は、データの最後のn行の移動合計を計算してくれます。MSUM関数については、Analytics Cloudの製品ドキュメントの関数リファレンスの集計実行関数の項を参照してください。

この移動合計関数を利用して、前年の売上数量を計算したいのですが、基本的なアイデアとしては、直近13か月の売上数量の移動合計 - 直近12か月の売上数量の移動合計=前年の売上数量ということです。

計算式:MSUM(売上数量,13)-MSUM(売上数量,12)

分析する時に任意の時点での前年計算が柔軟に算出できるようにするために、計算式は、データセットに対してではなく、Analytics Cloudのプロジェクト(レポート)にセットすることにします。プロジェクトに計算項目を追加するには、”マイ計算”を使います。左側のデータペーンの下に”マイ計算”メニュがあるので、右クリックから”計算の追加”を選択します。

”計算の編集”で、 計算式を入力し、念のため”検証”をクリックして、式が正しいことを確認してから、”保存”をクリックします。

式が正しく保存されると、以下の様に、前年売上数量カラムが作成されました。

ビジュアライズの作成

作成した前年売上数量カラムについて、Analytics Cloudの可視化機能を使って簡単にビジュアライズを作ってみて結果を確認しましょう。きちんと、12か月前の値が、前年数量として表示されていることが分かります。

画面上部のフィルターに、期間や、ブランド、商品アイテム、店舗などを配置することで、任意の範囲にデータを絞り込みながら前年対比グラフを表示することが出来るのも便利です

まとめ

  • MSUM関数を使えば、昨年対比だけではなく、対前日や、対前週、対前月など、様々な前期比の計算に応用が利きます。
  • プロジェクトの”マイ計算”に計算項目を追加することによって、店舗や商品アイテム、ブランド、期間などについて任意の条件でデータを絞り込みながら、前年対比(前期比)をダイナミックに算出することが可能です。