100日後に死ぬワニが100日後に死ぬ確率


この記事では100日後に死ぬワニに登場するワニくんが物語開始から100日後に死亡する確率を求めます。
ワニくんの1日あたりの死亡率を我が国の統計から求めてそこから100日目の死亡率を算出していきます。

ワニくんの死は非現実的な強引なものだったのか、現実的にあり得るものだったのか一緒に考えていきましょう。

漫画のネタバレがありますので、100日後に死ぬワニを読み切っていない人は閲覧注意です。

1日あたりの死亡率と死因を求める

ここでは政府統計の総合窓口で公開されている以下の統計資料を参考にしてワニくんの1日あたりの死亡率と死因を求めます。

前提条件

  • 人間的な行動を取っているのでのでワニくんは人間である
  • ワニくん及び漫画中の全キャラクターは原則として漫画と同様の行動を取る
    • ただし、ワニくんが急病で死亡するなどの可能性が生じる場合がある
  • ワニくんは20歳の日本人男性である
    • ワニくんのモデルとされる、作者のきくちゆうき氏の友人が20歳で亡くなられたのでワニくんも20歳であるとする
  • 漫画は2019年~2020年3月20日までの話であるとする
    • 死亡確率を求めるときに使う統計も可能な限りこの期間に近いものを使用する
  • 漫画中のワニくんの死因は歩行中の交通事故である
  • ワニくんはあらゆる死因で死亡するものとする
    • 自殺は主な死因の1つであるが漫画中でワニくんの自殺を仄めかすような事は無かったので、死因に自殺を含む確率と自殺を除く確率をそれぞれ求める
  • 確率は原則、有効数字5桁で求めて計算時もそれを使う
  • 2018年は365日あり、どの日も死者数は同じである
    • つまり、統計の値を365で割ると1日あたりの死者数が求められる
  • 20~24歳男性の死者数はどの年齢も同じである
    • つまり、20~24歳男性の統計の値を5で割ると20歳の死者数が求められる

死因と死亡率

歩行中に交通事故死する確率

死亡統計には交通事故の項目がありますが、ひとえに交通事故と言っても乗車中の事故と歩行中の事故の2つがあります。
直接的描写は無いものの、歩行中の交通事故がワニくんの死因と考えられているのでこの確率をまずは求めます。間違っても千本桜景義で死んでいないよね

交通事故統計を見ると、平成30年上半期の20~24歳の交通事故死した人の数は72人、うち歩行中に亡くなられた人の数は10人です。
つまり、交通事故死した場合に歩行中の交通事故で亡くなる確率は以下のように求められます。

10 / 72 \\
= 1.38888... * 10^{-1} \\
→ 0.13889

14%です。
この値は前年上半期までと比べるとやや高い値ですが誤差の範囲という事にします。

死因ごとの死亡率

死亡統計から以下の事が分かります。

  • 2018年の20~24歳男性の死者数は1406人
  • 2018年の20~24歳男性の自殺者数は742人
  • 2018年の20~24歳男性の交通事故による死者数は145人

これらから死因ごとの死亡率を求めると以下のようになります。

  • 自殺:742/1406→0.52774
  • 歩行中の交通事故死:(145*0.13889)/1406→0.014324
  • 歩行中以外の交通事故死:(145*(1-0.13889))/1406→0.088806
  • その他:(1406-(742+145))/1406→0.36913

1日あたりの死亡率

あらゆる死因で死ぬ確率

ワニくんの1日あたりの死亡率は20~24歳男性の1年の死者数/5/365/日本の総人口と表せます。
人口統計を見ると2018年の日本の総人口は126,706,210人であり、死亡統計を見ると20~24歳男性の死者数は1406人なので死亡率を計算すると以下のようになります。

1406 / 5 / 365 / 126706210 \\
= 6.08029... * 10^{-9} \\
→ 6.0803 * 10^{-9}

上記の結果を分かりやすく言うと1日あたり約1億6000万分の1の確率でワニくんは死にます。
宝くじの1等が当たる確率は1000万分の1とか言われているらしいので、それよりも遥かに低い確率ですね。

自殺を除く死因で死ぬ確率

ワニくんの1日あたりの死亡率は(20~24歳男性の1年の死者数-20~24歳男性の1年の自殺者数)/5/365/日本の総人口と表せます。
死亡統計を見ると20~24歳男性の自殺者数は742人なので死亡率を計算すると以下のようになります。

(1406-742) / 5 / 365 / 126706210 \\
= 2.87149... * 10^{-9} \\
→ 2.8715 * 10^{-9}

上記の結果を分かりやすく言うと1日あたり約3億5000万分の1の確率でワニくんは死にます。
ただでさえ低い確率がさらに低くなりましたね。

歩行中の交通事故で死ぬ確率

ワニくんの1日あたりの死亡率は(20~24歳男性の1年の交通事故による死者数*20~24歳が交通事故死する場合に歩行中の交通事故で死ぬ確率)/5/365/日本の総人口と表せます。
死亡統計を見ると20~24歳男性の交通事故による死者数は145人なので死亡率を計算すると以下のようになります。

(145*0.13889) / 5 / 365 / 126706210 \\
= 8.70919... * 10^{-11} \\
→ 8.7092 * 10^{-11}

上記の結果を分かりやすく言うと1日あたり約115億分の1の確率でワニくんは死にます。
天文学的確率ですね。

100日後に死ぬ確率

特定の死因で死亡する確率をpとします。
100日後に死ぬ確率を厳密に定義すると以下のようになります。

初日から99日目までは死なず、100日目に死ぬ確率

この確率は以下のように表現できます。

(1-p)^{99}*p

なお、計算時に(1-p)を丸めたら1になってしまうので、丸めずにそのまま使います。

あらゆる死因で死ぬ確率

p=6.0803 * 10^{-9} \\
(1-p)=0.9999999939197

求める確率は以下のようになります。

6.08029... * 10^{-9} \\
→ 6.0803 * 10^{-9}

自殺を除く死因で死ぬ確率

p=2.8715 * 10^{-9} \\
(1-p)=0.9999999971285

求める確率は以下のようになります。

2.87149... * 10^{-9} \\
→ 2.8715 * 10^{-9}

歩行中の交通事故で死ぬ確率

p=8.7092 * 10^{-11} \\
(1-p)=0.999999999912908

求める確率は以下のようになります。

8.70919... * 10^{-11} \\
→ 8.7092 * 10^{-11}

結果

1日あたりの死亡率が低すぎる所為か、どの死因で100日後に死ぬ確率も有効数字5桁までなら1日あたりの死亡確率と同じでした。

結果を分かりやすく書くとこうなります。

  • あらゆる死因で100日後に死ぬ確率:約1億6000万分の1
  • 自殺を除く死因で100日後に死ぬ確率:約3億5000万分の1
  • 歩行中の交通事故で100日後に死ぬ確率:約115億分の1

おわりに

100日後に死ぬ確率は1億~100億分の1と、非常に低い確率でした。
しかし、100日後に死ぬのは非現実的な強引なものだったのかと言うと、そうでは無いと筆者は考えます。

あらゆる死因で死ぬ1億6000万分の1という確率も日本の人口を考えたら、毎日1人当たる程度には高い確率です。
歩行中の交通事故で死ぬ115億分の1という確率も世界の人口を考えたら、2日に1人当たっています。
ワニくんはその1人に選ばれてしまったのです。

以上、100日後に死ぬ確率の検証でした。
皆さんも2日に1度選ばれることのないように祈りつつ、毎日を悔いなく楽しく生きましょう。