ゴンペルツ曲線とは何か?(12)


日本のコロナ発生数 全経過を1つの式で表す。

前章 ゴンペルツ曲線とは何か?(11) では大阪のコロナ発生数 全経過を1つの式で表しました。本章では日本の全経過を1つの式で表します。

日本の第3波は3つのゴンペルツ曲線が重なっている。


2020.10月下旬から始まる日本の第3波を見ると概ね3段階になっており、A波 B波 C波 という3つのゴンペルツ曲線の重なりであると仮定します。
ゴンペルツ曲線は「開始からピークまでの日数」と「ピーク時発生数」から算出できます。※参照:ゴンペルツ曲線とは何か?(10)
B波とC波のピークは前の波からの上乗せ分としました。※参照:ゴンペルツ曲線とは何か?(11)

オレンジの A波、灰色の B波、黒の C波を足し合わせたものが緑の A+B+C波になります。

第1波と第2波への当てはめ

第1波と第2波は単純にゴンペルツ曲線が1つずつ当てはまります。

第1・2・3波の重ね合わせ

こうして第1・2・3波をすべて合わせると

第2波と第3波の間に2020.10.16をピークとする、なだらかな波があるようです。

第2と第3の間の新たな波を追加

この新たな波も入れると以下のようになります。
2020.3.1 (day 0) - 2021.2.19 (day 355) の全経過です。

\begin{align}
\ y=&1800e^{-0.1(x-42)-e^{-0.1(x-42)}}\\
&+4213e^{-0.0556(x-157)-e^{-0.0556(x-157)}}\\
&+1558e^{-0.0541(x-229)-e^{-0.0541(x-229)}}\\
&+6388e^{-0.0645(x-270)-e^{-0.0645(x-270)}}\\
&+6252e^{-0.0714(x-300)-e^{-0.0714(x-300)}}\\
&+15494e^{-0.087(x-318)-e^{-0.087(x-318)}}\\
\end{align}

という1つの式からなる1本の曲線で表せます。

まとめ

  • 大阪だけでなく日本全体でも全経過のすべての波にゴンペルツ曲線が当てはまる。
  • 第3波のような複雑な曲線もゴンペルツ曲線の重ね合わせである。
  • 日本のコロナ発生数 全経過を1つの式、1本の曲線で表せる。
  • 計算式と実測値の間にズレがある時、新たなゴンペルツ曲線(今回は第2波と第3波の間)が潜んでいる可能性がある。
  • 未来に新たな波が発生しても1つの式、1本の曲線で表せる。

追記:累計感染者数を1つの式で表す。(2021.2.27)

新規感染者数の総和(積分値)が累計感染者数で、累計感染者数の1日毎の差分(微分値)が新規感染者数です。このように、新規感染者数と累計感染者数は互いに微分と積分の関係になります。

\begin{align}
\ G(t)&=G_{max}e^{-e^{-kt}}\\
\frac{dG}{dt} &=kG_{max}e^{-kt-e^{-kt}}\\
\end{align}\\

新規感染者数の最初の項

\ 1800e^{-0.1(x-42)-e^{-0.1(x-42)}}\\

を積分すると(係数 1800 を k = 0.1 で割る)

\begin{align}
\frac{1800}{0.1}e^{-e^{-0.1(x-42)}}\\
\ =18000e^{-e^{-0.1(x-42)}}\\
\end{align}\\

同様に全ての項を積分すると

\begin{align}
\ Y&=18000e^{-e^{-0.1(x-42)}}+75773e^{-e^{-0.0556(x-157)}}\\
\ &+28799e^{-e^{-0.0541(x-229)}}+99039e^{-e^{-0.0645(x-270)}}\\
\ &+87563e^{-e^{-0.0714(x-300)}}+178092e^{-e^{-0.087(x-318)}}\\
\end{align}\\

となります。
累計感染者数の計算値(オレンジ色)を実測値(青色)と比較してみると

・・・若干のずれがあります。新規感染者を近似する際に振動する山と谷の山頂を結んだためと思われます。各項の係数を微調整すると、

\begin{align}
\ Y&=18000e^{-e^{-0.1(x-42)}}+67362e^{-e^{-0.0556(x-157)}}\\
\ &+28799e^{-e^{-0.0541(x-229)}}+90403e^{-e^{-0.0645(x-270)}}\\
\ &+73949e^{-e^{-0.0714(x-300)}}+150669e^{-e^{-0.087(x-318)}}\\
\end{align}\\

となり、計算値と実測値の相関係数は R2 = 0.9999となります。
補正した累計計算値から新規感染者数の計算値を補正すると、

\begin{align}
\ y=&1800e^{-0.1(x-42)-e^{-0.1(x-42)}}\\
&+3745e^{-0.0556(x-157)-e^{-0.0556(x-157)}}\\
&+1558e^{-0.0541(x-229)-e^{-0.0541(x-229)}}\\
&+5831e^{-0.0645(x-270)-e^{-0.0645(x-270)}}\\
&+5280e^{-0.0714(x-300)-e^{-0.0714(x-300)}}\\
&+13108e^{-0.087(x-318)-e^{-0.087(x-318)}}\\
\end{align}

となり、山と谷をならしたような線になります。

ゴンペルツ曲線とは何か?(1)
ゴンペルツ曲線とは何か?(2)
ゴンペルツ曲線とは何か?(3)
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