CMS TYPO3 10.4のインストール その1


TYPO3とは

TYPO3とは、デンマークの開発者であるKasperSkårhøjによって1997年にゼロから開発されたCMSで、ヨーロッパではよく知られたオープンソースプロダクトです。日本での知名度はほぼゼロといっていいと思います。でも、私は、20年くらいTYPO3を使い続けています。使い始めたきっかけは、もう過去のことで記憶が曖昧ですけれど、たまたまネットで見つけたのだと思います。20年まえにTYPO3を使い始めたときに、日本でもほんのわずかの人が使っていました。
TYPO3は、エンタープライズレベルの企業サイト構築に適しており、個人のサイトでわざわざ使うような代物ではありません。しかし、TYPO3の優雅なプロダクトデザインは、さすがに元エンジニアの心をくすぐり、どうしてもTYPO3を使いこなしてやろうという気持ちにさせるのです。TYPO3は、ネットで検索するとドイツ語の情報が多く、英語の情報は少ないです。そのせいで、経験の浅いITエンジニアが取り組むにはハードルが高いと言えます。
私のtypo3で作ったサイト

TYPO3のメリット

  • 100%オープンソース
  • 多言語機能を提供
  • コミュニティがたくさんの拡張可能な機能を提供
  • 信頼性が高く、最先端のWebテクノロジーです。
    • HTML5、CSS3、SASS、LESS、Twitter Bootstrap、Zurb Foundationなど、サイトの流行語はすべて揃っています。
  • マルチサイト対応
  • モバイルフレンドリー
  • 複数ユーザで編集できる機能

TYPO3のデメリット

  • なんといっても経験の浅いエンジニアでは太刀打ちができません。英語で書かれたインストール手順はサイトにアップされてあるものの、素人には親切ではなくて、インストールでまず躓くことがおおいでしょう。
  • 日本語の情報がない!もう皆無です。サイトを探しても英語よりドイツ語の資料が多いです。
  • ヨーロッパに生まれた人であれば、typo3のコミュニティに入って学ぶのが手っ取り早いのですが、日本人として生まれたからには、孤軍奮闘するしかありません。webエンジニアとして十分な経験があれば、TYPO3とて難しくはないでしょう。私は、webエンジニアではなかったので、なかなか苦労しました。でも、未知のものに挑戦するのはなかなか楽しいものです。

最新版のTYPO3をインストールしてみる

TYPO3の開発しているチームは、それはもう律儀にリリースサイクルを計画どおり守っている感じです。だいたい2年に一度くらいメジャーリリースがされます。現在は、バージョン10.4.1が最新なので、これをインストールしてみました。

動作環境

CentOS Linux release 7.5.1804 (Core)
Apache/2.4.6
PHP 7.2.13
mysql Ver 8.0.12 for Linux

インストール手順

さてさて、ここから本番です。
インストール方法は、大きくわけて、composerを使う方法と使わない方法があります。ここでは、composerを使う方法を説明します。
1.composerでベースとなるモジュール群をインストールします。

#cd /var/www/html
#composer create-project typo3/cms-base-distribution htdocs
 Installing typo3/cms-base-distribution (v10.4.1)
  - Installing typo3/cms-base-distribution (v10.4.1): Downloading (connecting..Downloading (100%)         
Created project in YourNewProjectFolder
Loading composer repositories with package information
Updating dependencies (including require-dev)
Package operations: 87 installs, 0 updates, 0 removals
  - Installing typo3/cms-composer-installers (v3.0.0): Downloading (connecting.Downloading (100%)  
                          続く

htdocsというディレクトリが自動的に作成され、以下のようなファイル、ディレクトリができています。

#cd htdocs
#ls
LICENSE  README.md  composer.json  composer.lock  config  public  var  vendor

2.introduction packageをインストールします。このパッケージは、必須です。これがないと器だけで、サンプルとなるコンテンツがはいってないので、typo3の素人はお手上げです。

# cd htdocs
#composer require typo3/cms-introduction 
Using version ^4.2 for typo3/cms-introduction
./composer.json has been updated
Loading composer repositories with package information
Updating dependencies (including require-dev)
Package operations: 4 installs, 0 updates, 0 removals
  - Installing scssphp/scssphp (1.1.0): Downloading (100%)         
  - Installing bk2k/bootstrap-package (11.0.2): Downloading (100%)         
  - Installing typo3/cms-indexed-search (v10.4.1): Downloading (100%)         
  - Installing typo3/cms-introduction (4.2.0): Downloading (100%)
              続く

3.いくつか細かい設定をします。

#cd /var/www/html/htdocs/public
# touch FIRST_INSTALL    typo3をインストールするためのフラグ

#vi /etc/httpd/conf/httpd.conf
#DocumentRoot "/var/www/html"
DocumentRoot "/var/www/html/htdocs/public"

#cd /var/www/html/
#chmod -R 0777 htdocs  とりあえず、全部パーミッションOKにしておきます。

# vi /etc/selinux/config
SELINUX=permissive     とりあえず、SELinuxを無効にしておく。

#service httpd stop    httpdを再起動
#service httpd start

4.ブラウザからインストールスクリプトを走らせる

https://example.com/typo3/install.php  example.comは自分のサイトのものに置き換えてください。

mysqlのusernameとpasswordをセットします。

新規作成するデータベース名を指定します。

typo3管理画面で使うusername,password、サイト名を指定します。

take me straight を選択して、open the backendをクリクします。

先程決めたtypo3のusername,passwordでloginします。

画面左端のextensionを選んでLocalタブを選択すると、以下のようにbootstrap package,introduction packageの2つが現れます。

さあ! ここからが難関です。本当は、自動的にintroduction packageがインストールされて、左端のpageメニューを見たときに、サンプルページの構成が見れるはずなんですが、見れません。そこで、上の画面でサイコロマークにマイナスの表示があるところをクリックして、プラスにします。プラスの表示は、この拡張機能が生きてないことを示します。それから、サイコロマークをクリックして、マイナスになるのを待ちます。時間がかかります。マイナスになればactiveになった証拠です。何度かやらないとうまくいかないでしょう。

introduction packageがうまくインストールされていれば、pageメニューを押したときに、以下のように見えるはずです。

続きは CMS TYPO3 10.4のインストール その2