claspを使ったSlackとGoogle Spreadsheetの連携
今や、slackは情報共有のために広く使われるツールとなり、バグや要望などもslack上で共有されるようになりました。しかし、メッセージツールである以上、投稿を一覧として見ようとすると視覚的にわかりにくかったりするわけです。そこで今回、便利なslackをより有効に活用するため、Google Spreadsheetとの連携について書きたいと思います!
対象
slack上のメッセージを整理したい人
slackとGoogleのサービスと連携させたい人
GASのプロジェクトをローカルで開発したい人
こっそり業務改善ツールを作り、評価を上げたい人
技術的な内容
slack上のメッセージを整理したい人
slackとGoogleのサービスと連携させたい人
GASのプロジェクトをローカルで開発したい人
こっそり業務改善ツールを作り、評価を上げたい人
基本的に、文法や具体的な実装については書いていません。slackのメッセージを抽出し、GASで扱え、その結果としてGoogle Spreadsheetに出力ができるという流れを説明しています。
バージョン
私が作った時のバージョンを明記します。最新のバージョンはリンク先を参考にしてください。
- npm : 6.14.4
- clasp : 2.3.0
- @types/google-apps-script : 1.0.7
-
tslint : 5.20.1
TSLint is deprecated.
See this issue for more details: Roadmap: TSLint → ESLint
現在、tslintは非推奨となり、ESLintを使うように促されています。ぜひESLintを使ってください。
環境構築について
今回使うのは、TypeScript
とclaspです。Googleのサービスと連携するのであれば、GASを使うのが一般的ですが、GASはES6以上に対応しておらず、クラスの記述や変数の宣言が割と不便でした(個人差があります)。なので、今回はTypeScriptをコンパイルし、ES6以上の文法をほとんど有しての開発を行えるようにします!
現在は、GASがV8ランタイムをサポートしたことで、最新のECMAScriptが使えるようになりました。よって、TypeScriptを使う必要もなく、直接スクリプトエディタに書く場合はclaspは必要ありません。その場合は、Slack APIの使い方やスクリプトエディタの使い方だけ参考にしてください。
私はエディタとしてVSCodeを使っていますが、好きなものを使っていただいて大丈夫です。
祝!Google Apps Scriptが「V8ランタイム」をサポート!モダンなECMAScript構文が使えるようになった
claspについて
claspとは、コマンドライン上でGASのプロジェクトを開発・管理できるツールです。
clasp
is an open-source tool, separate from the Apps Script platform, that lets you develop and manage Apps Script projects from your terminal rather than the Apps Script editor.
では早速構築していきましょう。
構築手順
npmやtslintについて分かる人は、clasp
とgoogle-apps-script
を入れるんだな、と思っていただければ十分です。
1. npmをインストールする (参考 Get npm!)
2. npmでプロジェクトを作り、必要なものをインストールする
$ cd PROJECT_LOCATION
$ npm init $ npm install @google/clasp tslint -D
$ npm install @types/google-apps-script (-S)
$ npx tslint --init
npm init
でプロジェクトを作ります。いろいろ聞かれるので、適宜入力してください。特になければデフォルトでも良いです。claspとtslintをインストールします。
-D
とは、--save-dev
と同義で、package.json (npm init時に作られる)のdevDependencies欄にパッケージ名が記入されます。つまり、開発用にインストールしているということです。
(参考:npmよく使うコマンドまとめ | Qiita)google-apps-scriptをインストールします。
-S
とは、--save
と同義で、package.jsonのdependencies欄にパッケージ名が記入されます。npm 5.0.0
から、install時にデフォルトでsaveしてくれるので、オプションに指定する必要はありません。
(参考:npm-install)tslintの基本的な設定をいれます。
この手順では、claspをローカルにインストールしています。お好みでグローバルにしてもらっても構いません(ここではローカルにインストールしているものとします)。そこで、npm 5.2.0
から、ローカルにインストールしたnpmパッケージをnpx
コマンドだけで実行できるようになったので、これを使います。npxについて
3. claspプロジェクトを作る
まず、claspでGoogleアカウントにログインし、それからclaspプロジェクトを作ります。その際に、Google Apps Scriptの設定画面を開き、Google Apps Script APIをオンにします。
$ npx clasp login
$ npx clasp create --rootDir ./src
? Create which script? (Use arrow keys)
❯ standalone
docs
sheets
slides
forms
webapp
api
このような画面になり、自分が連携したいサービスを選びます。ちなみに、--rootDir ./src
と設定することで、clasp push
実行時に余計なものを読み込まなくてすみます。
参考:clasp が Typescript をサポートした! | Qiita (大変わかりやすいのでこちらも合わせて)
--rootDir
を付けずに作成した場合は手動で付け加えることができます。clasp create
したときに、.clasp.json
というファイルができているので、ここにrootDir
を付け加えます。scriptIdは、作られたスクリプトエディタ上で、ファイル → プロジェクトのプロパティでもみることができます。
{
"scriptId":"XXXX-XXXXXXXXXXXXXXXXX",
"rootDir": "./src"
}
ここまでで開発をする準備は完了しました。この辺の環境構築がいまいちうまく行かない場合は、GAS のGoogle謹製CLIツール clasp | Qiita こちらの記事を見ていただくと解決するかもしれません(この記事ではclaspをグローバルでインストールしています)
Slack APIを使う
ここで、SlackAPIを使ってメッセージを取得する方法について記述します。流れとしては、tokenを取得し、UrlFetchApp.fetch
を使いGoogleAppsScript.URL_Fetch.UrlFetchApp
型としてメッセージを取得します。基本的にはJSON
形式です。
tokenの発行と取得
slack上のチャンネルやメッセージを扱うためには、それ専用のslackアプリを作り、そこでアクセストークンを取得する必要があります。
- slackアプリを作る
- slack api このページへ行き、右上のYour Appsをクリックします
- そこで、Create New Appで新しいslackアプリを作成します
- その際、Workspaceによっては権限がない場合があるので、その時は管理者に同意をとってください
-
scopeを指定し、アクセストークンを発行する
OAuth & Permissionsのページにて、必要なOAuth scopeを追加します。
特定のチャンネルのメッセージを取得するなら、- channels : read (conversations.list method | Slack )
- channels : history (conversations.history method | Slack)
この二つで十分です。プロジェクトによってはいろいろ追加してください。
-
アプリをWorkspaceにインストールし、アクセストークンを発行する
- 上の方にある、
Install App
をクリックし、指示に従って進めます - アクセストークンを取得します
- 上の方にある、
このトークンは、slackAPIを使う際に必要になります。
メッセージを取得する
tokenを取得したので、これでslack上のメッセージを取得する準備が整いました。基本的には、Slack api このサイトを参考にしていただければ様々なAPIの使い方が書いてあります。ここでは、一例としてconversations.list
、conversations.history
とchat.getPermalink
の使い方を書きます。
conversations.list
const conversationsList = UrlFetchApp.fetch(`https://slack.com/api/conversations.list?token=${TOKEN}&limit=${LIMIT}`);
公式ページからも分かる通り、必須な引数はトークンだけです。他の引数も必要に応じて、&limit=20
のように付け足していきます。
This Conversations API method returns a list of all channel-like conversations in a workspace. The "channels" returned depend on what the calling token has access to and the directives placed in the
types
parameter.意訳
このAPIはワークスペースにあるチャンネルについていろいろ情報が詰まったオブジェクトのリストを返します。どんなチャンネルを返すかは、tokenや引数にいれるtype パラメータに依存します。
よって、このAPIを使えば、特定のチャンネルのIDが得られます。
conversations.history
const conversationsHistory = UrlFetchApp.fetch(`https://slack.com/api/conversations.history?token=${TOKEN}&limit=${LIMIT}&channel=${CHANNEL_ID}`);
必須な引数はトークンとチャンネルIDです。チャンネルIDはconversations.list
で取得できるので、これを使います(別にlimitはなくてもいいです)。
This method returns a portion of message events from the specified conversation.
To read the entire history for a conversation, call the method with nolatest
oroldest
arguments, and then continue paging using the instructions below.意訳
このメソッドは特定の会話からメッセージの一部を返します。
全ての会話を読み込むには、latest
やoldest
といった引数をデフォルトにしておき、下で説明しているページングを使います。
基本的に、historyは量が多く、pagingを使う機会が多いので、
const conversationsHistory = UrlFetchApp.fetch(`https://slack.com/api/conversations.history?token=${TOKEN}&limit=${LIMIT}&channel=${CHANNEL_ID}&cursor=${CURSOR}`);
というように、cursorを指定することで次のページを表示できます。CURSOR
に入るのは、一つ前のconversations.history
で取得したデータのうち、response_metadata
ブロックのnext_cursor
の値です。つまり、全ての会話を読み込むには、連鎖的にconversations.history
メソッドを呼び出す必要があります。
- 注意:
UrlFetchApp.fetch
で返されるデータ型はGoogleAppsScript.URL_Fetch.UrlFetchApp
型であり、内部のデータにアクセスするにはparseする必要があります。
JSON.parse(CONVERSATIONS_HISTORY)
chat.getPermalink
補足として、メッセージのリンクを取得するメソッドを紹介します。
const permalink = UrlFetchApp.fetch(`https://slack.com/api/chat.getPermalink?token=${TOKEN}&channel=${CHANNEL_ID}&message_ts=${MESSAGE_TS}`);
このメソッドは、トークンとチャンネルIDとそのメッセージのタイムスタンプが引数として必須です。OAuth scopeは必要ありません。conversations.history
メソッドでタイムスタンプを取得できるので、合わせて使うと便利になります。
スクリプトエディタを使う
pushから実行まで
ローカルでTypeScriptを使い開発した後、スクリプトエディタに出力して関数を実行します。これから流れを書いていきます。
-
npx clasp push
ローカルのコードをスクリプトエディタに出力します。この時、自動的にTypeScriptからGASへコンパイルしてくれます。ちなみに、
npx clasp push --watch
コマンドを入力すると、コードの変更と共にpushしてくれるので、一回一回コマンドを入力する手間が省けます。 -
関数を実行します
関数を選択し、実行します。ブラウザによっては違うかもしれませんが、macでfirefoxを使っている場合、
command + R
で実行できます。ちなみに、ログはcommand + enter
で見ることができます。
スクリプトエディタ上での環境変数
github等でコードを共有する場合、tokenは隠しておきたいと思うはずです。そんな時のために、スクリプトエディタは環境変数を用意しています。
ファイル → プロジェクトのプロパティ → スクリプトのプロパティで、プロパティと値を指定します。使い方は、
PropertiesService.getScriptProperties().getProperty("property_name");
となります。
ライブラリの使用
GASのプロジェクトで、なんらかのライブラリを使いたい場合は、リソース → ライブラリで、ライブラリのIDを入力します。例えば、日時をうまく扱ってくれるmoment.jsを入れたい場合、MHMchiX6c1bwSqGM1PZiW_PxhMjh3Sh48
を入れ、追加します。そして、エディタ上で、Moment.moment()
といったように使います。moment.jsをGASで書いてくれた人には感謝しかありません。一般的に、LibraryName.method()
のように使います。
この方法だと、ローカルからpushするたびに再設定する必要があるので、より良い方法は、appsscript.json
のdependencies
に書き込むことです。以下のように書くことで、MomentがGASで使えるようになります。
"dependencies": {
"libraries": [
{
"userSymbol": "Moment",
"libraryId": "MHMchiX6c1bwSqGM1PZiW_PxhMjh3Sh48",
"version": "9"
}
]
},
トリガーについて
GASのプロジェクトでは、Googleのサーバー上で動かすことができるので、様々なトリガーを使って定期実行や時間指定での実行が可能です。
プロジェクトページにて、プロジェクトの詳細から、新しいトリガーを追加することができます。条件をある程度柔軟に決められるので、非常に便利です。
Google Spreadsheetへ
ここまできたら、あとは好きなようにできます。Google Spreadsheetと連携している場合、Spreadsheet Serviceを参照して、シートやセルを扱うことができます。そして、抽出したメッセージを綺麗に並べたり、日付を付けたり、リンクを貼ったりすることができます。
【保存版】初心者向け実務で使えるGoogle Apps Script完全マニュアルこの記事を見ていただくと、Spreadsheet Serviceのオブジェクトの使い方だけでなく、他のGoogleのサービスとの連携に関しても書いてありますので、slackのメッセージをGoogle Calendarに追加するなどさらに応用ができると思います。もちろん、公式リファレンスも参照してください。
ぜひいろいろなアプリを作ってみてください!
Author And Source
この問題について(claspを使ったSlackとGoogle Spreadsheetの連携), 我々は、より多くの情報をここで見つけました https://qiita.com/kika/items/6ed0484cb648e825904d著者帰属:元の著者の情報は、元のURLに含まれています。著作権は原作者に属する。
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