Exastro IT Automationをインストールしてみた(v1.7.2)


はじめに

前回までにExastro IT Automation(以下ITAと表記)のv1.4.1とv1.5.0のインストールを行ってきました。
今回は、引き続き2020年11月末にリリースされたITAバージョン1.6.3のインストールを行ってみたいと思います。
今度のリリースでインストーラの作りがかなり変わったらしいので、そちらにも注意してインストールを行っていきます。

※(追記)※
2021年5月31日にITA v1.7.2が新たにリリースしました。
それにより、下記のITAインストール手順をv1.7.2仕様に改修しましたので注意してください。

Exastro IT Automationとは

ITAは、システム設定をIaC(Infrastructure as Code)化して一元管理するためのオープンソースフレームワークです。
機器情報、設定値、作業履歴などシステム構成に関する情報を管理することが可能で、その値をExcelデータとして出力することができます。また、各機器のシステム構築や、運用設定などをワークフローとして管理、または実行する機能を備え、様々なPF構築ツールと連携が可能になっています。

作業環境

  • Exastro IT Automation 1.7.2
  • CentOS Linux 7(サーバ用)
  • Windows 10(クライアント)
  • Google Chrome(Win10側)

作業手順

今回、ITAv1.7.2をCentOS7上にオールインワン構成でオンラインインストールを行っていきます。
(コミュニティサイトではこの他に、オフラインインストールとバージョンアップ、Docker、HAの手順が用意されています)

具体的な手順は以下のとおりです。

1.ITA(v1.7.2)のダウンロード
2.アンサーファイルの設定
3.ITA(v1.7.2)のインストール
4.動作確認

また、環境構築にはrootユーザが実施する必要があります。

1.ITA(v1.7.2)のダウンロード

今回はCentOS7上にExastroSuiteコミュニティページにあるITAオールインワン(online)インストールマニュアルを参考にしてインストールします。

まずはじめに、Githubから必要な資材をダウンロードします。

# curl -OL https://github.com/exastro-suite/it-automation/releases/download/v1.7.2/exastro-it-automation-1.7.2.tar.gz

次に、ダウンロードしたZipファイルを解凍します。

# tar zxf exastro-it-automation-1.7.2.tar.gz

資材をダウンロードしたディレクトリにit-automation-1.7.2というディレクトリが展開されていれば完了です。

2.アンサーファイルの設定

ITAのアンサーファイルを編集し、インストールモードの設定や連携ドライバのインストール設定を行います。

アンサーファイルとインストールシェルのあるディレクトリに移動します。

# cd it-automation-1.7.2/ita_install_package/install_scripts

エディタでアンサーファイル(ita_answers.txt)を開きます。

# vi ita_answers.txt

アンサーファイルを開いたら、各項目の設定を行っていきます。

以下は今回設定した値と、各項目についての説明です。
各項目の詳細についてはITAオールインワン(online)インストールマニュアル等を参考にするといいです。

ita_answers.txt(1/2)

ita_answers.txt(1/2)
# Select install mode. 
# ("Install_Online","Install_Offline","Gather_Library","Install_ITA",
# "Versionup_All","Versionup_ITA","Uninstall")
# e.g) install_mode:Install_Online
# *This installer operates according to the inputted values below.
#  Install_Online: ITA will be installed after the necessary libraries
#                  has been installed via internet.
#  Install_Offline: ITA will start installing using the package created
#                   in Gather Library.
#  Gather_Library: Gathers the necessary libraries via internet and creates
#                  the package necessary to execute Install_Offline.
#                  (Execute this before executing Install_Offline)
#  Install_ITA: Installs ITA without installing any libraries.
#  Versionup_All: Installs ITA after installing the necessary libraries for
#                 the desired ITA version via internet.
#  Versionup_ITA: Updates ITA without installing any libraries.
#  Uninstall: ITA Uninstalls ITA.(Libraries will not be uninstalled)
install_mode:Install_Online

# Enter install directory.
# e.g) ita_directory:/exastro
ita_directory:/exastro

# Select language. ("en_US" or "ja_JP")
# e.g) ita_language:en_US
ita_language:ja_JP

# Select Operation System. ("CentOS7","CentOS8","RHEL7","RHEL8")
# e.g) linux_os:RHEL8
# * If registering a subscription is needed in order to acquire
#   the RHEL7 and RHEL8 libraries, please do so in advance.
linux_os:CentOS7

install_mode
ITAのインストールモードの設定です。
ITAバージョン1.7.1以下を既にインストールしている場合は
モードをVersionup_AllまたはVersionup_ITAにすることでITAを1.7.2にバージョンアップすることが可能です。

インストールモードについて....(詳細)

バージョン1.6.3より、ITAインストール時に実行するシェルがita_installer.shのみに統一され、アンサーファイル(ita_answers.txt)の「install_mode」の値によって、インストーラーの動作が以下のモードに分岐します。

Install_Online
ITAに必要なライブラリのインストールをインターネット経由で行った後、ITA本体をインストールします。

Install_Offline
Gather Libraryで作成したパッケージを使い、オフラインでライブラリのインストールとITA本体のインストールを行います。

Gather_Library
ITAに必要なライブラリの収集をインターネット経由で行い、Install_Offlineの実行に必要なパッケージを作成します。(Install_Offlineを行う前に実行してください)

Install_ITA
ライブラリのインストールは行わずに、ITA本体をインストールします。

Versionup_All
バージョンアップで必要となるライブラリをインターネット経由で追加インストールした後、ITA本体をバージョンアップします。

Versionup_ITA
ライブラリのインストールは行わずに、ITA本体をバージョンアップします。

Uninstall
ITA本体をアンインストールします。(ライブラリのアンインストールは行いません。)

ita_directory
ITAをインストールするディレクトリを絶対パスで指定します。
ITAをインストールするディレクトリの親ディレクトリ全てに、その他ユーザの実行権限を与える必要があります。

ita_language
ITA表示画面の言語設定です。

linux_os
ITAサーバのOS設定です。

ita_answers.txt(2/2)

ita_answers.txt(2/2)
# Enter the MariaDB root user's password
# e.g) db_root_password:sample_root_password
db_root_password:password

# Decide the database name, username, and password for ITA.
# e.g) db_name:sample_db_name
db_name:ITA
# e.g) db_username:sample_db_username
db_username:admin
# e.g) db_password:sample_db_password
db_password:password

# Select the target you need to install.
# yes : need
# no  : no need
ita_base:yes
material:no
createparam:yes
hostgroup:yes
ansible_driver:yes
cobbler_driver:no
terraform_driver:yes

# Enter the ita domain name.
# e.g) ita_domain:exastro-it-automation.local
ita_domain:exastro-it-automation.local

################################################################################
# Enter when using user-specified certificates and private keys.
# If no file path is entered for both "certificate_path" and "private_key_path",
# the ITA installer creates and installs a self-certificate and private key
# using the values entered in "ita_domain".

# Enter the file path where the certificate to be install.
# e.g) certificate_path:/temp/etc_pki_tls_certs/exastro-it-automation.crt
certificate_path:

# Enter the file path where the private key to be install.
# e.g) private_key_path:/temp/etc_pki_tls_certs/exastro-it-automation.key
private_key_path:

################################################################################

db_root_password, db_name, db_username, db_password
MariaDBの設定です。
各項目適宜編集します。

ita_base, material, createparam, hostgroup, ansible_driver, cobbler_driver, openstack_driver, terraform_driver
ITAの本体、機能、連携ドライバの本体設定です。
各項目必要なものを設定します。

ita_domain
ITAドメイン名の指定です。
初期値の「exastro-it-automation.local」のままで、以下の「certificate_path」と「private_key_path」を空欄にしておくと、HTTPSで接続するための自己署名証明書を作成してくれます。

certificate_path
ユーザ指定のSSL/TLSサーバ証明書に使用するファイルのファイルパスを指定します。
(ユーザ指定のSSL/TLS証明書使用時のみ入力します。絶対パスで指定。)
中間証明書がある場合は、サーバ証明書に中間証明書を連結したファイルを作成し、指定します。

private_key_path
ユーザ指定のSSL/TLS証明書の秘密鍵に使用するファイルのファイルパスを指定します。
(ユーザ指定のSSL/TLS証明書使用時のみ入力します。絶対パスで指定。)

アンインストール時は「certificate_path」と「private_key_path」
に指定があると、そのファイルを消してしまうようなので、
オリジナルは別途ちゃんと保管しておいたほうがいいですね。

3.ITA(v1.7.2)のインストール

アンサーファイルの編集が完了したら、インストールシェルを実行します。

# sh ita_installer.sh

INFO:Installation complete!と表示されればインストール完了です。

エラー等発生する場合は、ログファイル格納ディレクトリ(/(インストール資材展開先)/ita_install_package/install_scripts/log/)下にあるログファイル(ita_builder.log、ita_installer.log)を参照するといいようです。

4.動作確認

インストール完了後、動作確認を行ってみます。

前回までと同様にHTTPで接続可能ですが、セキュリティを考慮して今回はHTTPSで接続します。

4.1 hostsファイル設定

hostsファイルにアンサーファイルで「ita_domain」に設定したホスト名を追加します。
hostsファイル(C:\Windows\System32\drivers\etc\hosts)を管理者権限で開き、以下を追加します。

hosts
(サーバのIPアドレス)       exastro-it-automation.local

4.2 自己署名証明書のインポート

ITAが発行した自己署名証明書をWebブラウザにインポートします。

この作業は必須ではありませんが、自己署名証明書を信頼する証明書として登録することで、ブラウザからの警告が出なくなります。
ユーザ指定のSSL/TLS証明書を使用してない場合、自己署名証明書はITAインストールパッケージの以下のパスに格納されています。

ディレクトリ ファイル名
/etc/pki/tls/certs exastro-it-automation.local.crt

Google Chromeに証明書をインポートします。

Chromeの右上ボタンから
「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「セキュリティ」→「証明書の管理」
を選択します。

「信頼されたルート証明機関」タブへ進み、左下の「インポート」からexastro-it-automation.local.crt
を選択して証明書をインポートします。

4.3 動作確認

https://exastro-it-automation.localに接続し、ITAがインストールされているかどうか確認します。

正常にITAがインストールされている場合、以下のようなログイン画面がブラウザ上に表示されます。

以上の画面が表示されたら、

  • ログインID:administrator
  • パスワード:password

を入力し、[ログイン]ボタンをクリックします。

インストール後に初めてログインした場合は、「パスワード変更画面」に遷移しますので、適宜初期パスワードを変更します。

ログイン後、以下の画面が正常に表示されることを確認します。

備考:メインメニュー(DASHBOARD)について

ITA v1.6.0からの新機能である、ITAログイン後のメインメニュー(DASHBOARD)について説明したいと思います。
デフォルトでは以下の①~⑤のWidgetが表示されています。

①メニューグループ
インストールしたドライバーのメニューへ遷移するパネル郡です。
パネルを押下することで指定したメニューグループのメニューへ遷移します。
編集からこのメニューグループのWidgetは削除できないようです。

②Movement
オーケストレーションに登録されているMovementの数が集計されたグラフが表示されます。
また、円グラフの各項目をクリックすることで、対応したDriverのMovement一覧に遷移します。

③作業状況
Conductor、Symphonyの作業状況ステータスごとの総件数が円グラフで表示されます。

④作業結果
Conductor、Symphonyの作業結果ステータスごとの総件数が円グラフで表示されます。

⑤作業履歴
Conductor、Symphonyの作業履歴の日別の結果が棒グラフで表示されます。

また、DASHBOARD右上の「1.編集」→「2.Widget追加」を押下することで
上記に加えて以下のWidgetを追加することができます。

⑥メニューセット
メインメニューとは別のメニューグループのセットを作成できます。(別途説明あり)

⑦リンク
リンクリストを作成できます。(別途説明あり)

⑧画像
画像を貼り付けます。
また、貼り付けた画像にリンクをつけることもできます。

またDASHBOARD編集中のWidgetのボタンについては以下の通りです。

編集ボタン
Widgetの内容を変更することができます。

非表示ボタン
Widgetの表示/非表示を選択をすることができます。

削除ボタン
Widgetを削除します。
※メニューグループWidgetは削除することができません

メニューセットWidgetについて

以下ではメニューセットWidgetの詳細と、使い方の例を説明したいと思います。

まずはじめに、DASHBOARD右上の「1.編集」→「2.Widget追加」を押下し、
「3.メニューセット」→「4.決定」でWidgetを追加します。


すると、メニューグループのすぐ下にメニューセットWidgetが追加されます。

追加されたメニューセット内にメニューグループ内にあるパネルを
ドラッグ&ドロップすることでパネルを移動させる事ができます。

また、Widgetの編集ボタンを押下することで
Widgetの名称やサイズを変更することができます。


適宜変更後、「決定」を押下し、DASHBOARD右上の「登録」を押下することで
変更した内容を保存することができます。


これらを利用することで、よく使うメニューを目立たせたり
逆に使用しないメニューを隠せたりするわけです。

リンクWidgetについて

以下ではリンクWidgetの詳細と、使用例について説明したいと思います。

まずはじめに、DASHBOARD右上の「1.編集」→「2.Widget追加」を押下し、
「3.リンク」→「4.決定」でWidgetを追加します。

すると、メニューグループのすぐ下にメニューセットWidgetが追加されます。

また、Widgetの編集ボタンを押下することでWidgetの名称やサイズを変更することができ、
表示させたいリンクを追加することができます。

リンクを追加するには、「名称」「URL」を入力して決定を押下し、Widgetを登録します。

「項目を追加する」ボタンを押下することで、表示したいリンクの項目を増やすことができます。
また、aタグのTargetを指定したい場合は、「Target」項目に記入します。


リンクをクリックして、指定したURLに飛べるかどうか確かめます。

これらを利用することで、よく使うメニューの一覧を作成したりすることができます。

まとめ

今回は、ITAバージョン1.7.2のインストールと動作確認を行いました。
尚、各画面機能の詳細についてはマニュアルを読むとわかりやすいです。

索引