【ラビットチャレンジ】 応用数学 第一章 線形代数 レポート
線形代数で取り扱う量
スカラー
大きさのみを持つ量.
ベクトルに対する係数になれる.
ベクトル
大きさと向きを持つ.
スカラーのセットで表示される.
複数の要素を持てるため,物の属性をベクトル的に表すことがある.
行列
スカラーを表に,もしくはベクトルを並べたもの.
ベクトルの変換に用いられる.
行列のベクトルへの作用
$n$次元ベクトルに$n$次正方行列を作用させると新たな$n$次元ベクトルとなる.
$n$次元ベクトルに$m \times n$型の行列を(左から)作用させると$m$次元ベクトルとなる.
単位行列と逆行列
単位行列
対角成分が1でそれ以外の成分が0の行列.
\boldsymbol{I} =
\begin{pmatrix}
1 & 0 & \cdots & 0 \\
0 & 1 & \cdots & 0 \\
\vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\
0 & \cdots & 0 & 1
\end{pmatrix}
逆行列
行列の逆数みたいなもの.
$\boldsymbol{A}$ の逆行列を $\boldsymbol{A}^{-1}$ とすると,
\boldsymbol{A}\boldsymbol{A}^{-1} = \boldsymbol{A}^{-1}\boldsymbol{A} = \boldsymbol{I}
固有値と固有ベクトル
ある正方行列 $\boldsymbol{A}$ に対して,以下の式が成り立つような特殊なベクトル $\vec{x}$ と右辺の係数 $\lambda$ が存在する.
$$\boldsymbol{A} \vec{x} = \lambda \vec{x} $$$\vec{x}$,$\lambda$ を,それぞれ行列$\boldsymbol{A}$に対する,固有ベクトル,固有値という.
固有値・固有ベクトルの求め方
固有値 λ の求め方
\begin{align}
\boldsymbol{A} \vec{x} &= \lambda \vec{x} \\
(\boldsymbol{A} - \lambda\boldsymbol{I} ) \vec{x} &= \vec{0} \\
\end{align}
$\vec{x} \neq \vec{0}$ より,$(\boldsymbol{A} - \lambda\boldsymbol{I} )$ に逆行列は存在しないので,
$$|\boldsymbol{A} - \lambda\boldsymbol{I} | = 0$$から求められる.
固有ベクトル x の求め方
求めた $\lambda$ を$ \boldsymbol{A} \vec{x} = \lambda \vec{x} $ に代入して求める.
固有値分解
$n$次正方行列 $\boldsymbol{A}$ が固有値 $\lambda_1,\lambda_2,\dots$ と固有ベクトル $\vec{x_1},\vec{x_2},\dots$ を持つとする.
この固有値を対角線上に並べた行列(非対角成分は $0$ )
\boldsymbol{\Lambda} =
\begin{pmatrix}
\lambda_1 & 0 & \cdots & 0 \\
0 & \lambda_2 & \cdots & 0 \\
\vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\
0 & \cdots & 0 & \lambda_n
\end{pmatrix}
と,それに対応する固有ベクトルを並べた行列
\boldsymbol{V} =
\begin{pmatrix}
\vec{v_1} & \vec{v_2} & \cdots & \vec{v_n}
\end{pmatrix}
に対して,$$\boldsymbol{AV} = \boldsymbol{V\Lambda} $$が成り立つ.
注1) $\boldsymbol{\Lambda}$ は右からかける.
注2) 固有値の順番は任意だが,降順などルールを作って運用する.
したがって,$$\boldsymbol{A} = \boldsymbol{V\Lambda V}^{-1} $$と変形できる.
このように正方行列 $\boldsymbol{A} $ を上述の3つの行列積に分解することを固有値分解という.
固有値分解の利点
- 行列の累乗の計算が容易になる.
- $\boldsymbol{\Lambda}$ から行列の性質を判断できる(らしい).
- $\boldsymbol{\Lambda}$ は対角行列なので,小さな値を $0$ とすることが可能.計算量を落とせる.
特異値分解
固有値分解は正方行列でしかできない.
が,非正方行列でも似たようなことはできる.
非正方行列$\boldsymbol{M}$ を特異値分解する.
\begin{align}
\boldsymbol{M} \vec{v} &= \sigma \vec{u}\\
\boldsymbol{M}^T \vec{u} &= \sigma \vec{v}
\end{align}
このような特殊な単位ベクトルがあるならば,特異値分解できる.
$$ \boldsymbol{M} = \boldsymbol{U\Sigma V}^{-1} $$ $\boldsymbol{U}$ は $\vec{u}$ を並べたもの,$\boldsymbol{V}$ は $\vec{v}$ を並べたもの.
$\vec{u}$ を左特異ベクトル,$\vec{v}$ を右特異ベクトルという.
特異値の求め方
$$ \boldsymbol{MV} = \boldsymbol{U\Sigma}\qquad \boldsymbol{M}^T\boldsymbol{U} =\boldsymbol{V}\boldsymbol{\Sigma}^T$$より
$$ \boldsymbol{M} = \boldsymbol{U\Sigma V^{-1}}\qquad \boldsymbol{M}^T =\boldsymbol{V}\boldsymbol{\Sigma}^T \boldsymbol{U}^{-1}$$これらの積は
$$ \boldsymbol{MM}^T = \boldsymbol{U\Sigma V}^{-1}\boldsymbol{V\Sigma}^T\boldsymbol{U}^{-1} =\boldsymbol{U\Sigma }\boldsymbol{\Sigma}^T\boldsymbol{U}^{-1} $$つまり, $\boldsymbol{MM}^T $ を固有値分解すれば,その左特異ベクトルと特異値の2乗が求められる.(ただし,左特異ベクトルは単位ベクトルである)
同様に,
$$ \boldsymbol{M}^T \boldsymbol{M}= \boldsymbol{V\Sigma U}^{-1}\boldsymbol{U\Sigma}^T\boldsymbol{V}^{-1} =\boldsymbol{V\Sigma }^T\boldsymbol{\Sigma}\boldsymbol{V}^{-1} $$から,右特異ベクトルと特異値の2乗が求められる.
特異値分解の利点
-
行列の累乗の計算が容易になる.非正方行列は累乗できない. - $\boldsymbol{\Sigma}$ から行列の性質を判断できる(らしい)
- $\boldsymbol{\Sigma}$ は対角行列なので,小さな値を $0$ とすることが可能.計算量を落とせる.(特異値は降順に並べる.)
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