はじめに

その昔，cycle-buffer.el がありました．(buffer-list) で得られるバッファリストを対象として， M-[ や M-] の押下でバッファを高速に切り替えることができる，とても便利なパッケージでした．このパッケージのおかげで，タブを常用せずに済んでいました．

しかし，時は流れ，ビルトインの bs.el に同等の機能が実装されていることから，現在はあまり使われていないようです．私も移行したユーザの一人です．

問題

bs.el を使用する場合は，bs-cycle-previous と bs-cycle-next に M-[ と M-] など，好みのキーをアサインすると幸せになれます．

(global-set-key (kbd "M-]") 'bs-cycle-next)
(global-set-key (kbd "M-[") 'bs-cycle-previous)

(with-eval-after-load "bs"
  (custom-set-variables
   '(bs-cycle-configuration-name "files-and-scratch")
   '(bs-max-window-height 10))

ところが，ミニバッファに表示されるリストが非常にわかりにくい．特に，たくさんのバッファを開いている時には，とても辛くなります．「5つくらい先のバッファだから，M-]を5回連打して，あ，押しすぎた」という悲しい出来事を幾度となく経験しました．

↑ 開いている17バッファ全部見せの図

bsv.el を使う

ということで，bs.el のミニバッファの表示を少し見やすくするパッケージを作りました．

bsv.el

正式リリース前ですが，安定しています．基本的に，bs.el の関数に advice をかけるパッケージですので，読み込みは次のようにします．

(with-eval-after-load "bs"
  (when (require 'bsv nil t)
  ;; bsv の設定を記述する
  ))

bsv.el を無効化するには，M-x bsv-disable-advices とします．bs.el の素の振る舞いに戻ります．また再度 bsv.el を有効にする場合は，M-x bsv-enable-advices とすればOKです．

そして，bsv.el が有効の状態で以前と同様に M-] (bs-cycle-next) を押下すると，次のようになります．

M-[ (bs-cycle-previous) だと，こうです．格段に見やすくなった！（個人の感想です）

このように，bsv.el を読み込むことで，ivy-mode のような縦方向のリスト表示になります．ミニバッファに表示されるリストには，番号が付いています．これは，もう一度同じ方向にずらす時の順位を表しています．例えば上の例では，あと3回 M-[ を連打すれば， .emacs が表示されます．

ダイレクト選択

先程の例では， M-[ を3回連打で .emacs を表示できるとしましたが， bsv.el では 3 押下でダイレクトに .emacs を表示することができます．ミニバッファにリストが表示されている間は， 1 から 9 までの数値キーとバッファの番号が紐付けられます．したがって，例えばリストに「5. init.el」とある場合に，M-[またはM-]を5回連打しなくても良く，5を1回押下するだけでバッファを切り替えられます．下のアニメーションはダイレクト選択機能のデモです．

オプション

色々と好みが分かれそうなので，いくつかを defcustom に引き出しておきました．

なお実際にミニバッファに表示するバッファ数は，bsv-max-height の値に依らず，フレームの高さに応じて自動的に調整しています．フレームの高さが低い時は，1-2個程度しかミニバッファに表示されないかもしれません．これもユーザオプションにしても良いかもしれませんね．

今後の改良

次のような機能追加を考えています．

• もっとジョグダイアルのようにする（現在のバッファを表示リストの中心に持ってくる）
• all-the-icons に対応して，ファイルアイコンを出してもっと見やすくする
• [X] バッファが消えるまでの時間をモードラインでカウントダウンする

まとめ

bs.el を拡張する bsv.el を紹介しました．