IBM Power Systems Virtual ServerでLPAR間のネットワークを有効にする


IBM Cloud上でAIXやIBM iを使えるIBM Power Systems Virtual Serverについての記事です。

Power Systems Virtual Serverは、デフォルトでは異なるLPAR間の通信が無効になっています。
下記docsにあるように、Caseを起票し、LPAR間のルーティングを有効にしてもらう必要があります。この作業は各サブネットに対し、初回のみ必要となります。
 
https://cloud.ibm.com/docs/power-iaas?topic=power-iaas-configuring-subnet&locale=ja#networking-considerations

Power Systems Virtual Server インフラストラクチャーでプライベート・ネットワークを構成するには、Power Systems Virtual Server に対するサポート・チケットを開く必要があります。 例えば、ユーザー・インターフェースからサブネット 172.10.10.0/24 を追加し、そのサブネットに接続した仮想サーバー・インスタンス間で通信が必要な場合は、サポート・チケットを開き、ユーザー・インターフェースに表示された以下のサブネット情報を入力する必要があります。

今回の例では、AIX1が192.168.1.0/24、AIX2が192.168.2.0/24に配置されていて、その間を疎通させたいとします。

静的経路の設定

まず、AIX側の設定として、それぞれのAIX上で、相手のセグメントへの静的経路を追加します。

AIX1
Destination        Gateway           Flags   Refs     Use  If   Exp  Groups
192.168.2/24       192.168.1.1       UGS       0         6 en1      -      -  
AIX2
Destination        Gateway           Flags   Refs     Use  If   Exp  Groups
192.168.1/24       192.168.2.1       UGS       0        34 en1      -      -   

case起票

次に、管理ポータルで、各AIXサーバーの詳細画面の下部にある、プライベートネットワークの情報をcaseで伝えます。

疎通させたいAIXの情報を、下記のような感じでcaseで伝えます。

Can you make it possible to communicate between these two AIXs?

AIX Name / Subnet Name  / IP address / Gateway / MAC address / VLAN ID  / CIDR
aix-tmgw01 / subnet01 / 192.168.1.58 / 192.168.1.1 / fa:55:f6:05:86:21 / 376 / 192.168.1.0/24
aix-tmgw02 / subnet02 / 192.168.2.231 / 192.168.2.1 / fa:07:2d:fd:36:21 / 377 / 192.168.2.0/24

Power VSのサポートスタッフが対応してくれると、LPAR間が疎通するようになっています。

AIX1
# ping 192.168.2.231          
PING 192.168.2.231 (192.168.2.231): 56 data bytes
64 bytes from 192.168.2.231: icmp_seq=0 ttl=253 time=0 ms
64 bytes from 192.168.2.231: icmp_seq=1 ttl=253 time=0 ms
64 bytes from 192.168.2.231: icmp_seq=2 ttl=253 time=0 ms

なお、以下のようなケースでも、同様にcaseでリクエストする事で間を疎通するようにできます。

・2台の配置されたサブネットが同じ場合
同じサブネットにあってもデフォルトでは疎通していないため、上記と同様にcaseでLPAR間の疎通を有効にしてもらうよう依頼する必要があります。(サブネットが同じ場合は各AIXでの静的経路の追加は不要です)

・2台のAIXが、同一リージョンの異なるPower VSインスタンスにある場合
この場合も、caseで依頼し、各AIXで静的経路を設定する事で、疎通可能になります。