TJBot zeroのブレッドボードの解説


はじめに

TJBot zeroには、オーディオアンプが組まれた、ブレッドボードが搭載されています。組み立てハンズオン・ワークショップの中で時々ブレッドボードや、回路の中身についてのご質問をいただきますので、解説します。今回は、これまで電子工作をされたことがないもしくはホトなどない方向けとなっています。

ブレッド・ボードの仕組み

ブレッドボートは、下記の写真のように穴がたくさん空いていて、その穴に電子部品の足を差し込んで半田付けすることなしに電子回路を組み立てるための回路基板です。
大きさも小さなものから大きなものまで様々な種類がありますが、基本的には同じですので、下記の写真を例に解説します。
ブレッドボードの内部では、下右の写真の青い線の通りに接続されています。上下半分づつに分かれていますが、青い線で書かれている縦の穴同士は電気的につながっている状態になっています。

Lチカ回路の例

簡単にLEDをスイッチのオンーオフで点灯させるいわゆるLチカの回路をブレッドボードで組んでみます。回路は下記の通り、電池(VCC)と抵抗(R)とスイッチ(SW)そしてLEDの4点の回路です。

この回路をブレッドボードに組むと下の図の左側のようになります。内部での結線を表現すると青線のように内部で結線されています。
また、スイッチは押している間左側と右側が接続されるようなスイッチとなっています。

オーディオアンプの設計の実際

ここでは、このブレッドボードのオーディオ・アンプ回路をTJBot zero向けに選んだ方法など共有したいと思います。
まず、TJBot zeroに搭載するにあたり、低コストと高い再現性を実現するために部品点数を少なくするという目標をおき、音質はAIからの音声再生が主であるため音質はこだわらないことにしました。TJBot zeroの初期のフェーズでは、昔から廉価で有名なLM386を使用した回路を使用していましたが、部品点数が比較的多いため、ワークショップに向けた準備に手間がかってしまっていたため、新しい回路を目指してオーディオアンプICを探すことにしました。
LM386は、秋月電子で50円程度ですので、抵抗やコンデンサなどの周辺部品の点数を削減してトータルコストで同等以下になることを目指しました。
具体的に何をしたかというと、秋月電子のWebサイトの左にあるナビゲーションから、半導体 > IC各種(集積回路) > アンプIC(増幅用IC)を選択して、価格の安い順に並べてみます。そうするとブレッドボードでそのまま使える形状で50-60円のICが10種類くらい出てきます。それをひとつずつ開き、まずは、電源電圧が、Raspberry Piから取れる5Vもしくは、3.3Vの範囲にあるかを確認します。範囲内なら、データシートが添付されていますので、それを開き標準的な回路を確認し、回路の複雑さや外付け部品の点数などを確認し、目標に近い物を見つけ出します。
そして今回は、商品説明でも最小で4個の外付け部品(VR×1個、コンデンサー×3個)でアンプを構成できると宣伝されている、HT82V739を採用することにしました。

下の写真の左側が新しい回路で、右がオリジナルの回路です。抵抗やコンデンサーの数が非常に少なくなっているのがわかると思います。

オーディオアンプの回路図と実体配線

下の図がオーディオアンプの回路図で、その下の写真がオーディオアンプの部品を配置したブレッドボードと全体の配線図になります。回路図とブレッドボードを見比べて同じであることを確認してみてください。
この回路は、ICが一つと、可変抵抗(ボリューム:VR)が一つそして、コンデンサーが3つ使われいますが、0.1μFは積層セラミックコンデンサーを、1μFは電解コンデンサーを使用しています。参考までに、VRは、こちらを使用しています。


Raspberry Pi zero Wから音を出すためのおまじない

Raspberry Pi zero Wには、イヤホンジャックもついておらず、通常のOSインストールでは音は出ないようになっています。そこで下記の処理をすることによってRaspberry Pi zero Wの12番ピンにオーディオを出せる様になりますが、出力が非常に小さく、イヤホンでも厳しい位なので、今回紹介した様スピーカーを鳴らすためのオーディオアンプが必要になります。

オーディオのEnable
/boot/config.txtに下記の行を追加するとともに、dtparam=audio=onの行を下記のようにコメントアウトします。

dtoverlay=pwm-2chan,pin=12,func=4,pin2=13,func2=4
// dtparam=audio=on

以上です。ありがとうございました。