WebLogic Server for Oracle Cloud Infrastructure から Autonomous Transaction Processing へ接続してみた


前回 Gen2 Oracle Cloud(以後 OCI) に WebLogic Server for Oracle Cloud Infrastructure(以後 wls4oci) をプロビジョニングできたので、今回はこの Weblogic Server から Autonomous Transaction Processing (以後 ATP)をデータソースとして接続を試みます。

手順は以下のとおり
1. ATPを作成
2. ウォレットのダウンロードと設定
3. wls4oci 管理コンソールでデータソースを設定
4. wls4oci からのATPへの接続を確認

1. ATPを作成

wls4oci をプロビジョニングした大阪リージョンに同じくATPを作成します。
ATPの作成はとてもシンプルです。Oracle Cloud にサインイン後、ナビゲーションメニューから[Autonomous Transaction Processing] を選択し、Autonomous Database(ATP)を作成します。入力項目は多くはありません。

[コンパートメント] 適切なコンパ―tメントを選択します。
[データベース名] ATP4WLS といれておきます。
[ワークロード・タイプの選択] ATP の場合、 トランザクション処理 を選択します。
[デプロイメント・タイプの選択] 共有インフラを選択します。

続けて、
[データベース・バージョンの選択] 19c を選択
[OCPU数]  を選択
[ストレージ(TB)] 1 を選択
[自動スケーリング] 接続テストなのでチェックなし
さらに、管理者のユーザー名、パスワードを入力します。

最後に、
[ネットワーク・アクセスの選択] すべての場所からセキュア・アクセスを許可を選択
[ライセンス・タイプの選択] ライセンス込みを選択

以上でATP作成のための項目設定は終了です。[Autonomous Database の作成] をクリックするとプロビジョニングが開始されます。

しばらくすると、プロビジョニングが完了しATPが使用可能となります。

2. ウォレットのダウンロードと設定

クライアントからATPへ接続する際には、ウォレットというクライアント資格証明が必要です。ウォレットによりクライアントとATP間の相互認証やSSL暗号化によりセキュアな接続を可能とします。

ウォレットのダウンロード

ウォレットは作成したATPのサービスページから取得します。[DB接続]をクリックするとデータベース接続 画面が表示されます。


[ウォレット・タイプ] インスタント・ウォレット を選択
[ウォレット・ダウンロード] をクリックしてダウンロードを実行します。
パスワードを聞かれるので、ATP作成時に設定したパスワードを入力してダウンロードを進めます。
ATP作成時にデータベース名を ATP4WLS としたので、Wallet_ATP4WLS.zip というファイル名でダウンロードできました。

ウォレットの設定

ウォレットファイル(Wallet_ATP4WLS.zip)をWebLogic管理サーバーのコンピュートインスタンスにコピーし、ファイルを展開し必要な設定をおこないます。
TeraTerm などでコンピュートインスタンスに接続します。

 

接続ターミナル内でコマンド操作により以下を実施してください。

  • ウォレットファイルをコピー
  • 展開後のファイルの置き場所(例えば、/shared/atp)を作成し、ファイルを展開
  • ファイルのオーナー/グループを oracle に変更

こちらではこのように展開されています。

[opc@mywls-wls-0 atp]$ pwd
/shared/atp
[opc@mywls-wls-0 atp]$ ls -l
total 64
-rw-rw-r--. 1 oracle oracle  6733 May 27 08:37 cwallet.sso
-rw-rw-r--. 1 oracle oracle  6688 May 27 08:37 ewallet.p12
-rw-rw-r--. 1 oracle oracle  3275 May 27 08:37 keystore.jks
-rw-rw-r--. 1 oracle oracle   691 May 27 08:37 ojdbc.properties
-rw-rw-r--. 1 oracle oracle   317 May 27 08:37 README
-rw-rw-r--. 1 oracle oracle   111 May 28 05:22 sqlnet.ora
-rw-rw-r--. 1 oracle oracle  1796 May 27 08:37 tnsnames.ora
-rw-rw-r--. 1 oracle oracle  3335 May 27 08:37 truststore.jks

sqlnet.ora を開いて DIRECTORY を展開したファイルの置き場所に変更します。

WALLET_LOCATION = (SOURCE = (METHOD = file) (METHOD_DATA = (DIRECTORY="/shared/atp")))
SSL_SERVER_DN_MATCH=yes

tnsname.ora を開いて内容を確認します。行の始めの接続サービス名 atp4wls_high は、この後のWebLogic管理サーバのデータソースの定義で使用します。

atp4wls_high = (description= (retry_count=20)(retry_delay=3)(address=(protocol=tcps)(port=1522)(host=adb.ap-osaka-1.oraclecloud.com))(connect_data=(service_name=lx46kn8uks92unl_atp4wls_high.atp.oraclecloud.com))(security=(ssl_server_cert_dn="CN=adb.ap-osaka-1.oraclecloud.com,OU=Oracle ADB OSAKA,O=Oracle Corporation,L=Redwood City,ST=California,C=US")))

atp4wls_low = (description= (retry_count=20)(retry_delay=3)(address=(protocol=tcps)(port=1522)(host=adb.ap-osaka-1.oraclecloud.com))(connect_data=(service_name=lx46kn8uks92unl_atp4wls_low.atp.oraclecloud.com))(security=(ssl_server_cert_dn="CN=adb.ap-osaka-1.oraclecloud.com,OU=Oracle ADB OSAKA,O=Oracle Corporation,L=Redwood City,ST=California,C=US")))

atp4wls_medium = (description= (retry_count=20)(retry_delay=3)(address=(protocol=tcps)(port=1522)(host=adb.ap-osaka-1.oraclecloud.com))(connect_data=(service_name=lx46kn8uks92unl_atp4wls_medium.atp.oraclecloud.com))(security=(ssl_server_cert_dn="CN=adb.ap-osaka-1.oraclecloud.com,OU=Oracle ADB OSAKA,O=Oracle Corporation,L=Redwood City,ST=California,C=US")))

WebLogic管理コンソールでのデータソース設定

WebLogicの管理コンソールを起動し、データソースの設定をおこないます。

汎用データベースを選択します。

データソース名を入力します。

データベース・ドライバを選択します。

デフォルトのまま次へ進みます。

ATP接続情報を入力します。

[ホスト名] ホスト名は tnsname.ora 内に記述されています。
[データベース名] ATP4WLS を入力します。
[ポート番号] 1522 を使用します。1521 ではありません。

接続先データベース(ATP)のURLを指定します。

[URL] JDBC.oracle.thin:@atp4wls_high と入力します。atp4wls_high は tnsname.ora で記述されている接続サービス名です。

プロパティを入力します。

ここでは簡易的に参照URLに記載の [Configuring a WebLogic Data Source to use ATP] のプロパティ値を入力しました。

データソースのターゲットを管理サーバとしてデータソースの作成を完了します。

Weblogic から ATPへの接続テスト

作成したデータソースを選択し、[モニタリング] - [テスト]からデータソースのテストを実行して接続を試します。

ページ上部にデータソースの接続成功のメッセージが表示され、ATPへの接続確認ができました。

参照URL

ATPをWebLogicデータソースとして設定
Configuring a WebLogic Data Source to use ATP