動画プレイヤーで再生できない動画を、FFmpegでデバッグし再生可能な状態にする


はじめに

動画作成等で動画を弄っていると、たまに出力動画がプレイヤーで再生できない!なんてことがあります。
久しぶりにハマりかけたので備忘録に残しておきます。

動画のエラー、不便

動画ファイルには、動画形式(mp4, avi等)、コーデック(h.264等)やビットレート、フレームレート等沢山の設定が存在します。
そういった設定を隠してユーザーが気にすることなく動画を再生してくれるプレイヤーだけあって、いざエラーになってみると何が起こっているのかわからなかったりします。

例えば私が出会ったのは、Microsoft 映画 & テレビ アプリの10.20022.1101.0.で出力された以下のようなエラー

結論から言えば動画のコーデックがWindows10でデフォルトで使用できないものだからなのですが、そもそもファイルプロパティレベルでは、前述した隠された設定を見ることが出来ず。とにかく動画がどういう状態なのかをサクッと確認したくなります。

FFmpegのツール、ffproveで動画を解析する

FFmpegは動画編集で便利なツールで、ちょっとした動画のカスタマイズをする際に重宝します。
例えばこんなことこんなこと

この中の動画のサイズやコーディックを知りたいで紹介されているffproveが解析用のコマンドとなります。

使い方は ffprove -i ファイル名 だけ。動画だけではなく音声ファイルや画像でも同じことが出来ます。

C:path\to\movie> ffprobe.exe -i .\out.mp4
ffprobe version N-82889-g54931fd Copyright (c) 2007-2016 the FFmpeg developers
  built with gcc 5.4.0 (GCC)
  configuration: --enable-gpl --enable-version3 --enable-dxva2 --enable-libmfx --enable-nvenc --enable-avisynth --enable-bzlib --enable-fontconfig --enable-frei0r --enable-gnutls --enable-iconv --enable-libass --enable-libbluray --enable-libbs2b --enable-libcaca --enable-libfreetype --enable-libgme --enable-libgsm --enable-libilbc --enable-libmodplug --enable-libmp3lame --enable-libopencore-amrnb --enable-libopencore-amrwb --enable-libopenh264 --enable-libopenjpeg --enable-libopus --enable-librtmp --enable-libsnappy --enable-libsoxr --enable-libspeex --enable-libtheora --enable-libtwolame --enable-libvidstab --enable-libvo-amrwbenc --enable-libvorbis --enable-libvpx --enable-libwavpack --enable-libwebp --enable-libx264 --enable-libx265 --enable-libxavs --enable-libxvid --enable-libzimg --enable-lzma --enable-decklink --enable-zlib
  libavutil      55. 43.100 / 55. 43.100
  libavcodec     57. 68.100 / 57. 68.100
  libavformat    57. 61.100 / 57. 61.100
  libavdevice    57.  2.100 / 57.  2.100
  libavfilter     6. 68.100 /  6. 68.100
  libswscale      4.  3.101 /  4.  3.101
  libswresample   2.  4.100 /  2.  4.100
  libpostproc    54.  2.100 / 54.  2.100
Input #0, mov,mp4,m4a,3gp,3g2,mj2, from '.\out.mp4':
  Metadata:
    major_brand     : isom
    minor_version   : 512
    compatible_brands: isomiso2avc1mp41
    encoder         : Lavf57.61.100
  Duration: 00:04:58.18, start: 0.000000, bitrate: 2836 kb/s
    Stream #0:0(und): Video: h264 (High 4:4:4 Predictive) (avc1 / 0x31637661), yuv444p, 1280x720, 2567 kb/s, 45 fps, 45 tbr, 11520 tbn, 90 tbc (default)
    Metadata:
      handler_name    : VideoHandler
    Stream #0:1(und): Audio: aac (LC) (mp4a / 0x6134706D), 48000 Hz, stereo, fltp, 259 kb/s (default)
    Metadata:
      handler_name    : SoundHandler

Streamの部分に詳細が表示されます。上記の例だと、動画(Videoの部分)は

  • h264High 4:4:4 Predictiveというコーデック
  • 色空間と呼ばれる、動画の色をどう表現しているかの設定がyuv444p
  • 動画サイズが1280x720
  • ビットレート(1秒当たりの平均フレームサイズ)が2567 kb/s
  • fps(1秒当たりのフレーム数)が45 fps
  • fbc, tbn, tbrはどれもタイムベースと呼ばれるものの設定値です。詳細はこちらを参照

この中でコーデックに関わる部分は上2つになります。

動画プレイヤーが再生できるよう対処する

原因のとっかかりがつかめたので対処していきます。今回の場合は h264 High 4:4:4 がWindows10デフォルトのプレイヤーで使えないことが原因でした。
同コーデックが入っているプレイヤーなら再生可能なんですが、windowsデフォルトで使えないと動画作成のどこでハマるかわからないので、サポートしているコーデックに変換しておきます。

今回は ffmpeg h264 yuv444p で検索。h264 HighをH264 Mainに変更する方法を参考に変換を実施
ffmpeg convert from H.264 (High 4:4:4 Profile) to H.264 (Main Profile)

h264がHighになるかMainになるかは色空間に引きづられるところもあるので、私のケースでは -pix_fmt yuv420p をパラメータにして変換かければ十分でした。

ffmpeg -i input.mp4 -acodec aac -strict experimental -vcodec libx264 -pix_fmt yuv420p -s 1280x720 output.mp4

参考

FFmpeg 公式
それFFmpegで出来るよ!
ffmpeg convert from H.264 (High 4:4:4 Profile) to H.264 (Main Profile)
FFMPEG でのフレームレート設定の違い