「14日で作る量子コンピュータ」を読んでみる。2日目


はじめに

 今回は実際にシュレディンガー方程式を用いて電子の運動を計算してみます。

2 電子の波動関数

2.1 電子の波動関数の表現

 ここではポテンシャルによるエネルギーが存在しない場合の電子の波動関数を求める。
 前回求めた、時間に依存しないシュレディンガー方程式

-\frac{\hbar^2}{2m}\frac{d^2 \phi(x)}{dx^2}=E\phi(x)

 を用いる。ここで定数をひとまとめにして、

k=\sqrt{\frac{2mE}{\hbar^2}}

 これを用いて

\frac{d^2 \phi(x)}{dx^2}=-k^2\phi(x)

 と言う二階微分方程式を解くことで、波動関数は

\psi(x,t)=Ae^{ikx-i\omega t}+Be^{-ikx-i\omega t}

 ここでωについて

\omega=\frac{E}{\hbar}より\\
\omega=\frac{\hbar k^2}{2m}

 これを波動関数の式に代入することで

\psi(x,t)=Ae^{ik[x-\frac{\hbar k}{2m}t]} + Be^{-ik[x+\frac{\hbar k}{2m}t]}

 A=1,B=0の時eの肩が0となるようなxをx(t)とおくと

x(t)=\frac{\hbar k}{2m}t

 これは平面波の速度を表す。平面波のピーク位置の移動速度のことを位相速度と呼び

v=\frac{\hbar k}{2m}

 またA=1,B=0の時の波動関数について実部と虚部は

Re[\psi(x,t)]=cos(k\left[ x-\frac{\hbar k}{2m}t \right])\\
Im[\psi(x,t)]=sin(k\left[ x-\frac{\hbar k}{2m}t \right])

電子の波動関数のアニメーション

 E=1.00, 0.25[eV]の時をアニメーションで示してみると、以下のような波形が得られた。

参考

EMANの物理学

14日で作る物理コンピュータ