Raspberry Piの設計環境をMac miniと合わせて揃える


Raspberry Piの設計環境をMac miniと合わせて揃える

原則1 安価に

Raspberry Piは安価な計算機システムを構築できるのが利点です。
そのため、できるだけ安価な機器だけでシステムを構築することを検討します。

原則2 既存の機器を利用

Raspberry Piでは、研究試作を主とします。そのため、できるだけ既存の機器を利用し、できるだけ費用が生じないようにします。
例えば、名古屋市工業研究所の研修室は Mac mini(16GB) を設計環境にしています。
現在の環境と、Raspberry Piの設計環境を揃えるのに最小限の構成をまず示します。

Mac miniの構成

Mac mini本体
Mac mini電源ケーブル
ディスプレイ(電源ケーブル付き)*1
Mac miniディスプレイケーブル(HDMI)*2
USB キーボード*3
USB マウス*4
Ethernetケーブル*5

Raspberry Piの構成

Raspberry Pi本体
電源用USBケーブル
ディスプレイ(電源ケーブル付き)*1
HDMIケーブル*2
USB キーボード*3
USB マウス*4
Ethernetケーブル*5
起動用マイクロSDカード

Mac miniの環境があれば、Raspberry piの環境にするには、電源用USBケーブルと起動用マイクロSDカードがあればいいことがわかります。

ただし、課題はいくつかあります。電源、ネット、マイクロSDカードに導入するOSとその導入方法、箱、熱対策、USBの接続数などです。

課題1 電源

課題1.1 電源容量

Raspberry Pi3では、無線や画像処理など目一杯使うと、電源容量として2.5A程度必要になることがあるとのことです。

X Windowを起動していて、右上に雷の印が出ていたら、電流・電圧不足。SDの書き込みが不安定になり、ディスクを壊す可能性があるとのこと。

本体、電源ケーブルなどの機材のばらつきにより、全く同じ公正なのに、雷印が出る場合と出ない場合がありました。

解決策1.1.1

2A程度のUSB電源またはMacのUSBで利用していて、不足すれば、USBシリアル接続用のケーブルからも電源供給する。2.4A対応のAC-USB変換がダイソーで300円で売っていました。記事を少し。

課題は色々。
課題1.1.1 AC-USB変換。電圧が十分上がらない。or電流が不足する。
http://minkara.carview.co.jp/userid/473462/blog/40018401/
http://www.inoshita.jp/freo/view/438
課題1.1.2 USBケーブル。対応電流が1Aまで、2Aまでのものは使わない。
2A以上流したい場合には、2A以上のケーブルを使おう。

解決策1.1.2

2.5A以上用の電源を用意(購入)する
KSY Raspberry Pi3用USB電源アダプター 5V 2.5A 1P KSY0525USB-RASPI
https://www.amazon.co.jp/dp/B01LC7U4FA

ケーブルも2.5A以上の対応のものを利用すれば、発煙・発火・火傷などの可能性を低くできます。

解決策1.1.3

最初からRaspberry Pi 3用のセットを買う。
ラズベリーパイ Raspberry Pi 3B 技適対応 日本製 バンドル品 ACアダプタセット ブラック
https://jp.rs-online.com/web/p/processor-microcontroller-development-kits/1254093/?intcmp=JP-WEB-_-Pi-_-Aug-17-_-acbundle_kochira

解決策1.1.4

X Windowを使わない。X Windowの計算処理で電流を使う。あるいは、処理を複数のRaspberry Piで分担し、個々の必要電流を抑える。無線とカメラ入力による画像処理を同時に行わないなど。

解決策1.1.5

USBシリアル接続用のケーブルは、システムのモニタ用にも使います。このケーブルには電源ラインもあります。電源ケーブルをつなぐと、電源供給できるかもしれません。しかし、電源ピンへの接続は、実験時、緊急避難時以外にはお勧めできません。短絡(short)、火花、断線など、電源の専門家以外は利用しないでください。

課題1.2 電源の入り切り

電源を入れたり切ったりするスイッチがRaspberry Piにはついていません。
電源を入れたり切ったりするのにUSBケーブルの抜き差しすると、USBのコネクタがだんだん緩んできて、故障の原因になります。

解決策2.1

USBのスイッチ付きケーブルを購入しました。中国からはだいたい2週間を想定しておくと大丈夫かも。USBスイッチを追加すると、電源のON/OFFにUSBの抜き刺しをしなくてもよい。

ノーブランド品  オス toメス USB延長ケーブル  On/Offスイッチ付き
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B01N7P2SK7/

このケーブルを接続するとUSB装置としては認識しません。あくまでも、電源のON/OFFに使うためのものです。電源用途以外の方法で利用して、USB装置として認識しなくなるという文句をつけないようにしましょう。

解決策2.2

電源、USBケーブルスイッチ付きを購入する手もあります。課題1.1と1.2を同時に解決できます。下記は未購入で自己責任用参考です。
Raspberry Pi用電源セット(5V 3.0A)-Pi3フル負荷検証済
https://www.amazon.co.jp/dp/B01N8ZIJL8/

解決策 2.3

ACアダプタに電源スイッチがついていなければ、省エネタップ1個口
https://www.amazon.co.jp/dp/B016JIODR2/
などを併用したり、電源スイッチ付きテーブルタップを利用するのも手です。
ただし、電源スイッチ付きテーブルタップの粗悪品は、発煙・発火したのを目撃したことがあります。品質には十分にご注意ください。

課題2 ネットワーク

課題2.1 接続方法の選択

ネットワークは、
Eternet接続、
USB-Ethernet接続、
WiFi,
Bluetooth
などの4通り以上の方法で接続可能です。

必要機材

Etherネット接続

Ethernetケーブル (Gbit対応ケーブル)

USB-Ethernet接続

USB-Ethernetコネクタ、Ethernetケーブル

Wifi:Wifi通信相手

Mac miniの設定で通信相手になります。Mac miniの共有の設定で、インタネット共有を選択すれば、あれま, Mac miniが無線LANの中継基地に。

Bluetooth:Bluetooth通信相手

Mac miniの設定で通信相手にしてみましょう。

課題2.2 ネットの測定方法

OSがLinux系であればWiresharkを導入し、ネットワークを測定します。
上記の4通りの接続をして、不要なパケットの送出をしないかどうか確認しましょう。Wiresharkの導入は、次のセキュリティ対策を立てる上で、その対策が有効かどうかを測定するのにも必要です。Debian系(Ubuntu, Raspbian)OSであれば、まずWiresharkを導入しましょう。

apg-get update
apt-get install wireshark

課題2.3 セキュリティ

ネットワーク接続を行うのであれば、セキュリティ対策は必須です。
パスワードやIDを変更したり、特定のパケットだけ許可したり、禁止する設定も大切です。

Raspbian等のOSでは、Piユーザのパスワード設定と rootのパスワード設定は必須です。

passwd
sudo passwd root

課題3 起動用マイクロSDカード

NOOBS/NOOBS liteを入れる場合には、Windows, Macintosh, Linuxから読み書きできるマイクロSDカードなら、ファイルをコピーするだけでフォーマットしなくても良い。

「Raspberry PIのSDカードをRaspbian, TOPPERS/FMP, TOPPERS/SSP起動用に利用する」
https://qiita.com/kaizen_nagoya/items/814cccdaa59dc09196e3
でRaspbianのSDカードを他のOSで利用する方法を記載しました。

NOOBSを入れない場合には、フォーマットが必要なことがある。その場合には、
SD card formatterを利用する。Mac OS Xのdisk utilは動作がわかりにくいし、時間がかかる。
https://www.sdcard.org/downloads/formatter_4/

案1

NOOBSをまず入れる。
https://www.raspberrypi.org/downloads/noobs/
それからRaspbian stretch with desktopが容易に入る。

2018/01/18の測定では30分で入った。

案2

NOOBS liteをまず入れる。
https://www.raspberrypi.org/downloads/noobs/
それからRaspbian等の選択子があある。

案3

RASPBIAN STRETCH WITH DESKTOPをまず入れる。
教育用のOSとして利用するのに最適。R, Pythonや機械学習、画像処理に良い。
Linuxの勉強にも使える。
https://www.raspberrypi.org/downloads/raspbian/

案4

RASPBIAN STRETCH LITEをまず入れる。
https://www.raspberrypi.org/downloads/raspbian/

案5

TOPPERS/FMPを入れる。
マルチコア対応のタスク管理をするのに最適。
https://qiita.com/toshinaga/items/672c41a1f390922d5bae

案6

TOPPERSの本家ASPを入れる。
https://github.com/AZO234/RaspberryPi_TOPPERS_ASP3

案7

TOPPERS/SSPを入れる。
小さい機器で小さいOSを使うのに最適。
https://github.com/alvstakahashi/RPI-SHRINK-SSP-FULL

課題4 箱(case)

Raspberry Piの基盤をそのまま利用していると次の3つ以上の課題があります。

課題4.1

配線に直接触れて、短絡、断線の原因を増やす。

課題4.2

素子に物が当たり、破損、接触不良の原因を増やす。

課題4.3

水分や蒸気などが直接かかり、短絡、断線の原因を増やす。

対策4.1 箱に入れる。

対策4.2 足をつける

電子基板用の足をつけよう。

課題5 熱対策

解決策5.1

ヒートシンクを設置する。現状未設置。
ネットでの装着例
https://www.agilegroup.co.jp/technote/heatsink-for-rpi.html
その際の、購入先
http://www.aitendo.com/product/3612

解決策5.2

ファンを別電源で用意する。USB扇風機でもいいかも。熱の除去効率は未測定。Raspberry piにUSB接続してファンを起動すると、電流を余計に消費して、発熱または回路の負荷を増やして動作を不安定にするかも。ファンを設置するなら別電源で。

課題6 USBの接続数

キーボード、マウスを接続すると、USBの口が残り2つになる。例えば、USB-Ethernetを利用すると残り一つになる。USBメモリでデータ、ソフトの配布を行うと残りゼロ。電流不足になるかもしれないので、USB増設機器の利用は、電流計算のできる方以外には推奨しません。

課題7Monitor/Debug環境

解決策 7.1 USBシリアル接続

Raspberry Pi ラズベリーパイ用の USB-TTLシリアルコンソールのUSB変換COMケーブルモジュールのケーブル
https://www.amazon.co.jp/dp/B00K7YYFNM

USBシリアル変換アダプタ USB-RSAQ5 のドライバをインストールする PL2303系
http://www.prolific.com.tw/JP/ShowProduct.aspx?pcid=126&showlevel=0053-0125-0126

解決策 7.2 Raspbian系

GDB

解決策 7.3 JTAG

AZO234/RaspberryPi_BareMetal
https://github.com/AZO234/RaspberryPi_BareMetal/tree/master/rp_jtagenable

TOPPERS系

教育WGのタスクモニタ移植依頼中

名古屋市工業研究所の場合

Macアドレス認証

機器はMac アドレス認証を行なっている。原則、持ち込み機材はMac アドレス認証を行うのではなく、当方のMacアドレス認証を受けたUSB-Ethernetで接続している。

持ち込みRaspberry PiはUSB-Ethernetに対応していることが必要になる。最新のRaspbianでは、最近のUSB-Ethernetケーブルには対応している。

マウス

現在、マウスはUSB無線マウスを利用している。
そのマウスをそのまま使うには、Raspberry PiのUSBポートを一つ利用する。

この項は書きかけです。順次追記しています。

p.s.参考資料

Raspberry PiでTOPPERS(TRON系OS)
http://domisan.sakura.ne.jp/article/rp_toppers/rp_toppers.html

文書履歴

ver 1.00 初稿 20171225
ver 1.01 課題と解決策の対応 20180112
ver 1.02 対策の補足 20180212
ver 1.03 文書履歴追記 20180327