EmacsLispことはじめ 設定を書く~hookと自作コマンド~
はじめに
この記事は、SLP_KBITその2 Advent Calendar 2016 - Qiitaの2日目の記事です。
SLP_KBIT Advent Calendar 2016 - Qiitaの1日目の記事の続きです。
hubotについて書くと言っていたのですがやっぱりElispについて書くことにしました!
前回は、EmacsLispを普通のプログラミング言語と同じように使って、プログラムの作成を行いました。
しかし、EmacsLispは本来はEmacsの設定や機能を書くための言語...なので、今回は実際にEmacsの設定を書いていこうと思います!
目指せ脱コピペinit.el !
scratchでEmacsLispを記述する
前回の記事では、EmacsLispをscript言語のように実行するオプション--script
で実行していました。
今回は、きちんとEmacs内で実行します。
通常、emacsを起動した際には、scratchというバッファが開かれています。
C-x C-b -> C-x o -> scratchを選択 -> Enter
でscratchバッファに移動することが出来ます。
ここでは、EmacsLispの式を書いた後、行末でC-j
を押すことで、その式が評価されます。
例: (message "Hello")
と書いて、行末でC-j
を押すと、Emacs下部の領域(エコー領域)と式の直下に"Hello"
と表示されると思います。
こうして、逐次実行結果を確認しながら書くことが出来ます。
関数の定義
EmacsLispでの関数の定義は、以下の形式で記述することが出来ます。
(defun 関数名 (引数1 引数2 ...) 処理)
例えば、"Hello"
と表示するだけの関数my-message
を、以下のような処理で記述します。
(defun my-message ()
(message "Hello"))
hook
Emacsには、本体に様々なhookが用意されています。
hookとは、特定のイベントのタイミングで、指定した処理を実行する仕組みです。
まずは、簡単にemacs起動時に先程の関数を実行するようにhookしてみましょう。
hookの追加は、add-hook
関数で実行します。emacs起動終了のhookは、emacs-startup-hook
です。
以下の設定を追加しましょう。
(add-hook 'emacs-startup-hook 'my-message)
これで、起動した際にエコー領域にHello
と表示されるようになったと思います。
シングルクォート
先程の設定には、'my-message
のように、関数名やhook名の直前に、シングルクォートが書かれていたと思います。
これは、quote
関数の省略記法です。
(2016.12.03 追記1)quote
関数は、引数に与えられた値を評価せずに、シンボルを返却する関数です。
quote
は、引数に与えられた値を評価せずに、シンボルを返却する 特殊形式 と呼ばれるものの1つです。
シンボルとは、簡単に言うと引数そのもののことです。
以下に例を示します。
(setq hoge 1)
=> 1
hoge
=> 1
(quote hoge)
=> hoge
'hoge
=> hoge
上記の通り、quote
を付けた場合には、値ではなくhoge
という変数自体が返却されています。
setq
も、実は(set (quote 変数) 値)
と同様な意味を持つ特殊記法です。(*1)
例えば、以下を実行しようとしたとき、2行目では、変数hoge
が展開され、8
となり、8
に1
を代入しようとするよくわからない式になってしまいます。
quote
を使うことで、hoge
というシンボルに8
を代入するという式になります。
(setq hoge 8)
(set hoge 1)
関数をコマンドにする
先程のmy-message
関数は、コード内からは呼び出せますが、ユーザから呼び出すことが出来ません。
これを、my-message
というコマンドとして、ユーザから呼び出せるようにしてみましょう。
やることは、関数の本体の直前に(interactive)
という式を挿入するだけです。
(defun my-message ()
(interactive)
(message "Hello"))
(add-hook 'emacs-startup-hook 'my-message)
結果
無事、新しいコマンドを作成することが出来ました!(パチパチパチ
おわりに
今回は、hookと自作コマンドについて取り上げました。
非常に簡単な内容なので、物足りない人がいたらごめんなさい。( )
hookはinit.el書いていてもよく見かけるので、覚えておいて損はないです!
次回ぐらいには、もっと便利な設定を書けるように精進してきます。
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