WVD RDP Shortpathを試してみた


Windows Virtual Desktop (WVD)のRDP Shortpathはパフォーマンスを向上させるということで、実際にRDP Shortpathを試してみたレポートです。

ネットワークの状態

RDP Shortpathが有効の場合


着目するポイントは、ネットワークの詳細。

[Network details]
トランスポート プロトコル: UDP
ラウンドトリップ時間: 4 ミリ秒
使用可能な帯域幅: 100.17 Mbps
フレーム レート: 20 FPS

RDP Shortpathが無効の場合

[Network details]
トランスポート プロトコル: TCP
ラウンドトリップ時間: 22 ミリ秒
使用可能な帯域幅: 26.98 Mbps
フレーム レート: 28 FPS

計測環境

  • WVDのVMは東日本リージョンに展開
  • パブリックIPアドレスの<あり|なし>でRDP Shortpathの<有効|無効>を制御
  • クライアントはNURO光 2GにつながったWindows 10 20H2

Windows Virtual Desktop エクスペリエンス見積もりツールは、下記の通り。

考察

上のスナップショットで示した、ネットワークの状態によって変わっていきます。RDP Shortpathなら絶対速いというわけではないようです。
キーボードタイプ、マウス操作によるレスポンスは、"この環境では"差を感じませんでした。これは、個人の感覚もあると思います。
ここまで書いておいてなんですが、Universal Rate Control Protocol (URCP)をベースにしているということで、例えば品質が動的に変わるモバイルルーターでつないでいるような環境などで効果を発揮するかもしれません。
また、ルーティング設計しやすくなることもポイントですので、ExpressRouteを通すことで安定化させることもできるかと思います。
あと、注意点として、Azure Firewallを通す場合、SNATがかかると現在の仕組みでは接続が確立できません。WVDではInternetへのアクセス制御でAzure Firewallを通すことがありますが、RDPだけこれを通さないような設定はできないので、このような利用形態では注意が必要です。

参考

設定

こちらのDocsに従って設定します。ホストPCに設定する項目は2つ。

  • RDP Shortpathの有効化
  • ファイアウォールでのUDP 3390の開放

ホストPCそれぞれに設定する必要があるため、私はグループポリシーで一括設定しました。

AzureのVNetでセキュリティグループなどが設定されている環境では、UDP 3390のインバウンドトラフィックをルールに追加する必要があります。

なお、RDP Shortpathを有効化していても、環境的につながらない場合は、RDP Shortpathなしとしてフォールダウンして接続が確立されます。

あと、ホストそのものにクライアントからネットワーク的に接続可能である必要があります。グローバルIPアドレスが割り当てられている、もしくはプライベートネットワークへVPN(ExpressRouteを含む)で到達可能、などが必要です。