コンパクトTLS (cTLS)
1. はじめに
TLS(Transport Layer Security)のセキュリティプロトコルの仕様としての課題はTLS1.3でかなりのところ整理されました。それでもいくつかの点ではさらに検討が進められています。コンパクトTLS(cTLS)もその一つです。cTLSはTLS1.3[RFC8446]プロトコルの軽量化を目指すプロトコル仕様で、2019年から検討が進められています。RFCとなるにはまだ時間がかかると思われるものの、2022年3月現在ドラフト5が公開されていて、その骨格を知ることができます。以下、その内容について紹介します。
2. コンパクト化の方針、目標
cTLSはTLSに残されている後方互換性のためのフィールドなどを排除し、楕円曲線の点圧縮などのコンパクトエンコーディング以上の軽量化を目指します。テンプレートベースの特殊化(後述)を利用することで、ネゴシエーションによらずに通信の両者で必要な情報を共有させます。また、準静的ディフィーヘルマンのような新しい暗号技術を取り入れます。
これらによって、使用する証明書が事前に確定している場合(EC)DHEハンドシェークで原理的に必要な最小限の暗号情報サイズに対して45バイトのオーバーヘッド、PSKハンドシェークの場合、21バイトのオーバヘッドでハンドシェークを完了します。
3. テンプレートベースの特殊化
TLSは、証明書ベースの認証、生の公開鍵ベースの認証、また事前共有鍵(PSK)ベースの認証などさまざまなスキームを通信相手とのネゴシエーションで決定することができるようになっています。この完全に汎用的なものから、ある自由度を削除してみます。例えば、TLSの1つのバージョンのみをサポートする場合には、バージョンネゴシエーションは不要となり、supported_version拡張を省略することができます。この特殊化されたハンドシェークはワイヤーエンコーディング(ネットワークの物理層に送信される情報)のみに適用されるもので、その内容は同じ機能が使用されたTLS1.3のハンドシェークの内容と等価になります。
特殊化は、ハンドシェイクとレコードレイヤーの間のステートフルな圧縮レイヤーとして見ることができます(下図)。
JSON記述された圧縮プロファイルでテンプレートの仕様を規定します。プロファイルでは、アルゴリズム、アルゴリズムパラメータ、また拡張機能の仕様などを定義します。クライアントは使用したいプロファイルをClientHelloのプロファイルフィールドでサーバに通知します。
例えば、固定バージョン(TLS 1.3)と固定暗号スイート(TLS_AES_128_GCM_SHA256)を使用するプロトコルについて説明します。回線上では、ClientHello.cipher_suites、ServerHello.cipher_suitesとClientHelloとServerHelloのsupported_versions拡張機能は省略されます。
{
"version" : 772,
"cipherSuite" : "TLS_AES_128_GCM_SHA256"
}
これにより次の要素が定義されます。
- プロファイル(整数):プロファイルのID。
- version(integer):この場合、TLS1.3を示す772 == 0x0304
- cipherSuite(文字列):[RFC8446]のセクション8.4で定義されている「TLS_AEAD_HASH」構文を使用。
- dhGroup(文字列):鍵の確立に使用するDHグループを指定。[RFC8446]のセクション4.2.7mpコードポイント名。 (例:x25519)。
- signatureAlgorithm(文字列):認証に使用する署名スキーム。[RFC8446]のセクション4.2.7にコードポイント名 (例:ed25519)。
- random(integer):乱数長は32バイト以下
. 相互認証(ブール値):trueに設定されている場合、クライアントが証明書とCertificateVerifyメッセージを送信して証明書で認証する。
4. 圧縮効果の例
圧縮効果の例として、証明書を使用した相互認証をサポートする完全なcTLSベースの交換を示します。 SHA256およびNISTP256r1でECDSA、Diffie-HellmanはFX25519曲線、スイートはTLS-AES-128-CCM8-SHA256です。 証明書は、既知の証明書のIDを使用して交換されます。
この例での圧縮効果を下のグラフに示します。
この例には次のプロファイルが使用されています。
{
"profile": 1,
"version": 772,
"cipherSuite": "TLS_AES_128_CCM_8_SHA256",
"dhGroup": "X25519",
"signatureAlgorithm": "ECDSA_P256_SHA256",
"finishedSize": 8,
"clientHelloExtensions": {
"server_name": "000e00000b6578616d706c652e636f6d",
},
"certificateRequestExtensions": {
"certificate_request_context": 0,
"signature_algorithms": "00020403"
},
"mutualAuth": true,
"extension-order": {
"clientHelloExtensions": {
Key_share
},
"ServerHelloExtensions": {
Key_share
},
},
"knownCertificates": {
"61": "3082...",
"62": "3082...",
"63": "...",
"64": "...",
...
}
}
ClientHello: 36 bytes = DH(32) + Overhead(4)
01 // ClientHello
01 // Profile ID
0020 a690...af948 // KeyShareEntry.key_exchange
ServerHello: 36 = DH(32) + Overhead(4)
02 // ServerHello
26 // Extensions.length
0020 9fbc...0f49 // KeyShareEntry.key_exchange
Server Flight: 80 = SIG(64) + MAC(8) + CERTID(1) + Overhead(7)
EncryptedExtensions、およびCertificateRequestメッセージは空なので省略します。
0b // Certificate
03 // CertificateList
01 // CertData.length
61 // CertData = 'a'
0f // CertificateVerify
4064 // Signature.length
3045...10ce // Signature
14 // Finished
bfc9d66715bb2b04 // VerifyData
Client Flight: 80 bytes = SIG(64) + MAC(8) + CERTID(1) + Overhead(7)
0b // Certificate
03 // CertificateList
01 // CertData.length
62 // CertData = 'b'
0f // CertificateVerify
4064 // Signature.length
3045...f60e // Signature
14 // Finished
35e9c34eec2c5dc1 // VerifyData
Author And Source
この問題について(コンパクトTLS (cTLS)), 我々は、より多くの情報をここで見つけました https://qiita.com/kj1/items/21d35b0ca4bf0fa37e70著者帰属:元の著者の情報は、元のURLに含まれています。著作権は原作者に属する。
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