計算力学技術者 熱流体分野 1級 混相流 受けてきた。


試験概要

運営団体

日本機械学会 計算力学技術者資格認定事業委員会が運営しています。

日本の学界あるあるですが、かなり(自主規制)運営っぷりです。

  • HPでアカウントを作らないと受験できないにも
    拘らずメールでのみお知らせをする時もある。
    (ログインしても見ても同じ内容は得られない)

  • 期限が常に曖昧
    月の下旬とは月の最終営業日で、中旬とは28日くらい
    合格発表は3月上旬から中旬とされていて、結果は8日

  • お知らせがいい加減過ぎる
    正式な日程発表は一切なく、突然に合否発表される。
    「合否発表しました」という最重要Newsはトップに表示されない。定期的にログインして見ていなければならない。結果通知に輸送事故があっても気付けない。
    コロナ禍なので「今年は試験やるんすか?」の問い合わせに対しては「〇月〇旬に発表します」と答えてくれるくせに、「問い合わせた人にだけ答える」スタイルでTOPページのNewsには載せない。


記事執筆時の2022/03/26 00:00現在 トップページのNewsには合格発表のお知らせは無い。

  • 試験コンセプトが謎
    「最新知識を求める」的なコンセプトで資格更新期限があるくせに、標準問題集は正誤表も含めて毎年ほぼ同じ。
    そのくせ、標準問題集に記載がない最新情報的な問題をブチ込んでくる。

といった(自主規制)な運営なので最大限自己防衛しましょう。

熱流体分野 1級 とは?

熱流体力学分野の解析実務において、単相流、混相流、燃焼流の解析内容を理解しており、解析問題の設定や解析を適切に行うとともに、解析結果の信頼性を検証するプロセスを理解している。よって、いずれかの信頼のおけるCAE ソフトウエアを用いて適切な解析機能を選択しながら、単相流、混相流、燃焼流を取り扱う CAE 解析を大きく誤ることなく解けるものと期待できる。

だそうです。
「お前ら何も考えずにマウスポチポチすんじゃねーよ」ということなのでしょう。

1級は、2級と同時受験もできますが、1級を合格基準に達していても2級で落ちたら合格とはならないらしいです。
受験資格的に、実質的には2級合格者しか受けることは無いと思います。
出題形式は、2級は筆者が知る限り選択肢から正解を選ぶ問題しか出ませんが、1級は記述問題があります。

単相流、混相流、燃焼流から1分野を選択して受験します。同時受験は今のところ無理のようです。

2021年度はCBT

2021年度(試験日 2021年12月)はコロナ禍だったので、CBTでした。
CBTとは、パソコンを使ってマウスとキーボードでポチポチやる試験です。
会場はCBT事業者と提携している会社で行われ、それらはパソコン教室と併設となってることが多く、全国各地から選ぶことができます。
そのため、マイナー試験あるあるの、「田舎民は大都市に前日入り」は必要が無くなります。
(某きしょー予報士は名古屋ですら会場がない)
(会社の金で大都市圏に遊びに行く口実に使えない)

計算力学の場合は、指定日時に集まって受付を済ませて、全国一斉開始でした。
CBTでは随時受付随時開始な試験も多くあります。
2021年度は、土日ではなく平日でした。

この先も同様かはコロナ禍次第なのでわかりません。

自己紹介

学歴 職歴

理系
紆余曲折を経てパソコンの前でマウスをポチポチするだけの仕事

知ってるCFDソフト

プリポストソルバー Fluent系
メッシャー Pointwise
どっかの大学が作ったソルバー
ポスト tecplot

受験時に取得済み関連資格

  • 計算力学技術者 熱流体 2級
  • 基本/応用情報技術者
  • G検定
  • LPIC Level 1
  • エネルギー管理士(熱)
  • 気象予報士

まとめると

理系・工業系。
熱力・流力はエネ管と気象予報士に合格する程度にはわかってる。
情報処理系は、基本/応用情報とLPICとG検定に合格する程度にはわかってる。

F=maな微分方程式なら自力で離散化してプログラム書ける。ナビエストークス方程式非対応。陰解法非対応。
バネマスダンパ系の方程式はなんとなくわかる。硬そう・柔らかそう(ゴーストの囁きレベル)
乱流モデルはk-omega SST使っとけばええんやろ?って理解してる。
MPS法を自力実装しようようと挫折済み。

というわけで、その場のノリと勘で仕事してます。

混相流を選んだ理由

標準問題集の単相流と混相流を一通りやってみて、単相流より簡単そうだったから。
音速を超えたりするとワケワカメ意味トロロ。乱流モデルのマニアっくなことはわからん。謎の記述問題多すぎ。
業務的にも、計算資源が増えたことで混相流な案件が多くなってきたから。
燃焼流?知らない子です。
次受けるとしたら燃焼流ダケド

勉強方法

標準問題集

買いましょう。買わないという選択肢はありません。

まずは、事前勉強などせず、いきなり標準問題集を解きましょう。1周目は地獄の苦しみです。
全問正解を目指してループしましょう。
3周する頃には少し気持ちが楽になります。
次に、解答の根拠を説明できるようにしましょう。
更に、標準問題集の問題文も解答選択肢も解説も用語と数式を全部暗記しましょう。
1級は2級と違って記述式も出題されるので、単語→意味だけでなく、意味→単語もできるようになっておく必要があります。

その他おすすめ学習

CFDのソルバーを自力で作るのは大変ですが、簡単な微分方程式を使ったシミュレーションを解くプログラムくらいは書けた方が楽です。
むしろ書けない人が合格出来るんですか?

バネマスダンパ系は自力でプログラムを書いてみる

mx′′=−kx−cx′+F

1自由度のバネダンパマス系は自力で解けるようにする。プログラムは書けなくてもエクセルでもやる気になればできる。
MDKとdtと外力を変化させたときの変化とか、発散するしないとか、は遺伝子レベルで刻むべき。

流体中の球の運動を解く。

F=ma+\frac{1}{2}C_DAV^2

混相流はMPS/SPHの粒子法や、DPMの粒子法も扱うため、粒子(球)の運動も知ってた方がいいし、特に抵抗係数の扱いは標準問題集でよく扱われてる。
抵抗係数をレイノルズ数依存にするなど、色々試すことが出来ます。

anki(droid)を使って仕事中に暗記してた。
神に祈る。

受けてきた感想

CBT

正直に言うと、事前に覚悟していないとかなり気が散る環境でした。

会場は、CBTやパソコン教室をやってる会社の一室で、かなり狭かったです。
早目に会場入りしてしまうと、試験開始時間まで、スマホも見れず教科書等もみれず、手持無沙汰で長時間待たされます。

CBTはその特性のため、様々な試験が同時並行に行われます。
そのため、バラバラな試験が混じっているため、人の出入りや気配が常にあります。

次が最も気が散った要因ですが、筆者の時は看護系か栄養系も同時に行われており、雰囲気が全然違う女性が会場で混じっていました。
計算力学だけならばむさい理系オッサンばかりですが、女性が混じって出入りするため、複数の化粧や香水の匂いが入り混じるという試験会場にあるまじき環境となります。

これらは、そういうものなので諦めてください、としか言えません。

出題形式

出題形式は、ほぼ正解選択式でしたが、いくつか記述式もありました。
簡単な空欄穴埋め問題と、「理由を述べよ」的なガチ記述です。
入力は手書きではくキーボード式なので、漢字を忘れてても大丈夫な点は楽だったなと思います。

例えば「〇〇力は」が正答の空欄に「〇〇力」など、本質的には理解している解答に対するロバスト性があるかは知りたいところです。

出題内容

出題範囲は、ほぼ標準問題集の範囲内でした。
ただし、問われる"内容"は、標準問題集の問題にも後ろの解説にも載っていない、少し先のものも含まれていました。
ですので、少なくとも問題文と後ろの解説に出てくるワードは、一通り少し先まで調べましょう。日本語で調べるのを諦めた方がいいこともあります。

印象的な出題内容

印象的な出題の一つは「液体中の砂が堆積する場合に、砂の挙動は硬いモデルほうがいいか柔らかい方がいいか?の理由も含めて述べよ」的なものでした。200字制限だった気がする。
「そんなんシランガナ」と思いながら、「堆積した時に砂粒同士の挙動が固いと値が爆発するだろうな」という勘のもと、「柔らかくして変形を受け入れてエネルギーを減衰させたほうがいい気がする」的なことを書きました。正解かどうかは知らん。

もう一つは、「V&Vとか計算モデル選択とか結果確認とか実現象との比較を体系的にまとめた的な物のアルファベット4文字略語を選べ」という、こちらも「そんなんシランガナ」と思いながら、適当に答えました。むしろ、この問題の答えをとっても知りたいんですが、誰かご存じじゃないです?出題内容なので問い合わせるわけにもいかんし。

アンケート

試験終了ボタンを押した後、テスト内容についてアンケートがありました。
「最新内容を問うというコンセプトで更新制度があるくせに標準問題が同じ」
「日本語で最新知識知見を出せ」
「HPの運営なんとかしろ」
等の思いをツラツラと書いておきました。
改善は・・・・期待してません。

最後

合格したからもうどうでもいいや。
例年、1級でも5割くらいの合格率だそうです。
敵前逃亡率は2割くらい?
ちゃんと勉強して理解してたら落ちることはないと思います(煽り

勉強した過程で、混相流計算の時にFluent内の選択肢の意味がほんのちょっと理解できたか、何を意味しているのか、何の資料を見ればいいかはわかった気がしています。
受験してから3か月も経過したので、ほぼ全部忘れてますけどね。