Sunburst チャートによる再帰的データの扱い : Yellowfin と FusionCharts の活用


以前、Plotlyを使って Sunburst チャートを作成する手順を紹介しました。同じ Sunburst チャートを FusionChart を使って作成してみようと思います。

1. 事前準備

1-1. ビューの作成まで

前回記事 を参考に、『1-2. ビューの作成』 までの作業を実施します。
・以下の手順で取り扱うデータをこちらに共有しています。ダウンロードしてご利用ください。
・id, label, parent を軸 (Dimensions)、 employee を集計値 (Metrics) に設定してビューを作成します。

2. グラフの作成

準備が整ったら、グラフの作成に手順を進めます。新規でレポートを作成し、以下の手順に従ってグラフを作成します。

2-1. [データ] ステップ

ビューに設定した軸と集計値を全てテーブルに配置します。各組織の上位組織の id を parent 列で定義しています。最上位組織に関しては、parent 列が null になっています。下位組織が自分の上位組織を認識するデータ構造は、組織階層を定義する構造としては一般的なものです。階層数は無限に深くすることができます。まぁ、組織階層が深いことが良いかどうかの議論は別として。

2-2. [グラフ] ステップ

[グラフ] ステップに進み、画面右側 [グラフの選択] から [JavaScriptグラフ] を選択します。

JavaScriptタブ

雛形を全て削除し、以下のコードに置き換えます。コードの処理の内容は後ほど説明します。

JS
generateChart = function(options) {
   var $chartDrawDiv = $(options.divSelector);
   var processedData = processData(options.dataset.data);
   doDrawing(processedData, $chartDrawDiv);
},

processData = function(dataset) {
    var ds = [];
    for (i=0;i<dataset.id.length;i++){
        ds.push({
            id: dataset.id[i].raw_data,
            parent: dataset.parent[i].raw_data,
            name: dataset.label[i].raw_data,
            value: dataset.employee[i].raw_data,
        });
    }
    return ds;
},

doDrawing = function(ds, $chartDrawDiv) {
    console.log(JSON.stringify(ds));
    require(['js/chartingLibraries/fusioncharts-suite-xt/js/fusioncharts.js'], function(){
        const dataSource = {
            chart: {
                caption:"組織別従業員数",
                showPlotBorder: "1",
                baseFontColor: "ffffff",
                tooltipcolor: "000000",
                innerRadius: "0",
            },
            data: ds,
        };
        FusionCharts.ready(function() {
            var myChart = new FusionCharts({
                type: "sunburst",
                renderAt: $chartDrawDiv[0],
                width: 900,
                height: 900,
                dataFormat: "json",
                dataSource
              }).render();
        });
    });
};
プレビュー

[プレビュー] に移り、どのようなチャートが作成されるか確認します。マウスをホバーすると、ツールチップが表示されます。

3. コードの内容

動作概要が分かったところで、コードの中身を見てみましょう。

generateChart
generateChart
generateChart = function(options) {
   var $chartDrawDiv = $(options.divSelector);
   var processedData = processData(options.dataset.data);
   doDrawing(processedData, $chartDrawDiv);
},

JavaScript グラフの処理において、最初に呼び出されるのが generateChart = function(options) です。
[データ] ステップでテーブルに追加した情報が、options に格納されて、メソッドに受け渡されます。
var $chartDrawDiv = $(options.divSelector) でグラフを出力する div を選択します。
var processedData = processData(options.dataset.data);
doDrawing(processedData, $chartDrawDiv);
上記 2 行で、別の関数を呼び出して、データ処理とグラフ描画処理を行っています。呼び出し先の関数での処理内容は後続の個所で説明をします。

processData
processData
processData = function(dataset) {
    var ds = [];
    for (i=0;i<dataset.id.length;i++){
        ds.push({
            id: dataset.id[i].raw_data,
            parent: dataset.parent[i].raw_data,
            name: dataset.label[i].raw_data,
            value: dataset.employee[i].raw_data,
        });
    }
    return ds;
},

Yellowfin のデータセットを JSON の配列に変換して ds にオブジェクトとして格納しています。今回のサンプルデータであれば、以下のような JSON の書式になります。

画面は [グラフ] ステップでディベロッパーツールのコンソールから確認したものです。コードの中に console.log(JSON.stringify(ds)) を記述しておくと、データオブジェクトの中身をコンソールで確認することができます。今回の場合は、doDrawing の先頭に記述しています。デバッグに便利なので、活用してみてください。

doDrawing
doDrawing
doDrawing = function(ds, $chartDrawDiv) {
    console.log(JSON.stringify(ds));
    require(['js/chartingLibraries/fusioncharts-suite-xt/js/fusioncharts.js'], function(){
        const dataSource = {
            chart: {
                caption:"組織別従業員数",
                showPlotBorder: "1",
                baseFontColor: "ffffff",
                tooltipcolor: "000000",
                innerRadius: "0",
            },
            data: ds,
        };
        FusionCharts.ready(function() {
            var myChart = new FusionCharts({
                type: "sunburst",
                renderAt: $chartDrawDiv[0],
                width: 900,
                height: 900,
                dataFormat: "json",
                dataSource
              }).render();
        });
    });
};

require[] の中で、JavaScriptライブラリーを格納したディレクトリーを相対パスで記述します。
dataSource chart の中で、タイトルやフォントなどのチャートの見た目を定義しています。
data: dsds データセットの中身を FushionCharts に受け渡しています。

FusionCharts.ready でチャートを描画します。
type: "sunburst”, でチャートの種類を指定します。

renderAt: $chartDrawDiv[0] でチャートを描画する div を指定します。$chartDrawDiv はコードの先頭で宣言した変数です。
widthheight はダッシュボードの大きさなどに合わせてピクセル単位で指定します。FusionCharts のサンプルを見ると、%で指定していますが、Yellowfin で扱う場合は、ピクセルで指定した方がきれいに表示されます。

4. 最後に

ファイルシステムや人のつながりなど、階層数が定義しきれないデータを表現することに適していますね。

では皆様、For your awesome data analytical experiences! かんぱーい!!