レビューの大切さが数値で分かる話。


はじめに

弊社ではレビューをあまりしてくれない。オヨ~。
ここで「レビューやってやって~」と駄々をコネても良いのだけれど、せっかくの情報化社会。
きっと誰かが「レビューをいれることによって実際にこのくらいお得だ」という統計結果を出してくれているに違いなくて、、
導入の結果どれくらい経済効果が得られたかが分かれば、弊社でも受け入れてくれるのではないか?
そう思ってググって見つけたレポート「レビューの質と価値の定量化の提案 」の一部を紹介したいと思います。2007年の記事ですけどね……。

結論

まず、結論です。
レビューのコスト12.5万円で修正規模64万円分を事前に発見できました。
つまり、51.5万円の経済効果が得られたとのことです。
詳細は以下で説明します。

レポートの内容

防いだ損失を金額に換算することで価値を図っています。
そのために、まず修正に必要な工数をポイントで換算しています。

修正範囲のポイント化

レビューの指摘内容から予測される「修正範囲」をポイント化した。

システムの修正が必要(大):5ポイント 
複数モジュールの修正が必要(中):2ポイント
モジュールの修正が必要(小):1ポイント

発見工程のポイント化

レビューを実施する工程と修正作業量の相対関係をポイント化した。

要求定義: 5ポイント
詳細設計: 2ポイント
コーディング: 1ポイント

ポイントの割合はこちらのグラフを参考に。

金額効果

「複数モジュールの修正が必要」でそれが「要求定義」から必要だとすれば、
修正に必要なポイントは2ポイント×5ポイント=10ポイントということになります。
金額も含めると以下の式になります。

修正規模の金額効果(単位:円) =
           修正範囲(ポイント) × 発見工程 (ポイント) × 時間/ポイント × 時間単価 (円) 

実施内容

計 138 件のレビュー指摘項目に対して実施。
ポイントごとの作業時間と時間単価は以下の通りです。

1ポイントに相当する作業時間: 4H
時間単価: 5000 円

レビュー所要時間内訳は以下の通りです。

レビュー会議工数 :6人×3.0H …18.0H
事前レビュー工数 :5人×1.0H … 5.0H
レビューイ準備工数:1人×2.0H … 2.0H
計 25.0H 投資金額 = 25.0H × 時間単価5000円 = 125,000円

集計結果

感想

一応、レビューをしたほうが良いという結論になっているのは問題ないと思います。
レビューすることで手戻りの量を減らせて結果的にプラスになっているのは間違いないでしょう。

しかし、このレポートにはいくつか疑問点が残ります。

まず、データの発見工程が全て詳細設計なんですよね。
要求定義まで戻ることもコードを直すだけなのも0ってあり得るんでしょうか……。

あと、修正範囲のポイントや、1ポイントに相当する作業時間と時間単価は適当につけたように見えます。
発見工程のポイント化はグラフから納得はできるのですが、そのグラフは修正範囲には関係ないのではないでしょうか……。
1ポイントに相当する作業時間と時間単価は何を元に決めたのか教えてほしいところです。

また、本レポートからはコードレビューの効果が分からないのも悲しいところです。一番知りたかったところなのですが。

以上、ありがとうございました。

最新のデータでレビューの効果を定量化している記事があったらご共有をお願いします。