「ここからはじめる自作キーボード」ビルドログ:その1


概要

riconken著「ここからはじめる自作キーボード」に付属している入門者向けキーボードキット"hifumi"を作ってみました。

自作キーボードを知ったきっかけ

世の中に「自作キーボード」というものがあることを知ったきっかけはこちらの記事でした。
キーボードの「沼」から、プラットフォームの「速度」を考える | 井上明人

以前からJIS配列には違和感があり、なんとなく「いつかはUS配列のキーボードを使ってみたいなー」とは思っていました。

できたもの

2行3列のいわゆるマイクロパッドができました。

準備(本を買う)

まずは「ここからはじめる自作キーボード」を遊舎工房さんで購入しました。

本書の素晴らしいところは、私のような本当に右も左も分からない初心者向けに書かれているところです。世の中には「ゼロから作る…」とか「ノンプログラマーのための…」と謳っておきながら、線形代数の知識が必要だったり、特に説明もなく環境変数をいじらなければならない書籍がありますが、本書はそんなことはありません。ターミナル(コマンドプロンプト)がちょっとできて、中学校の「技術」で習ったことをなんとなく覚えていれば大丈夫だと思います。

準備(工具を買う)

「ここからはじめる自作キーボード(以下、「ここはじ」とします。逃げ恥みたいですが。)」は「どんな工具が必要?」という見出しで始まります。しかも、単に工具名が列記されているだけでなく、「(ハンダの)お勧めはスズ:鉛が6:4のもの」「(ハンダごては)自作キーボード界ではHAKKOのFX-600が定番」といった細かいところまで記述してあるので、とても助かります。

私はなるべく安く済ませたかったので、この本を見ながらAmazonと100均、ホームセンターで工具を揃えました。

一つずつ工具を探すのが面倒な方は、遊舎工房さんが「工具セット」を販売しているので、こちらをお買い求めいただいても良いかもしれません。

1万円と1.5万円のセットがありますが、なんだかんだで必要になるので後者のほうがよいかも。ただ、高品質な工具が揃っている分、ややお値段が張る印象。

準備(パーツを買う)

「ここはじ」には"hifumi"というキーボードキットが付属しているのですが、以下のパーツを別途用意する必要があります。

  • Pro Micro(マイコン)
  • キースイッチ
  • キーキャップ

これはhifumiに限ったことではなく、一般的に販売されているキーボードキットには上記の部品が含まれていないことが多いようです。(入門者向けに”全部入り”のキットはあります)

理由は、(私の推測ですが)キースイッチやキーキャップは打鍵感の肝になるので、ユーザーが自分の好みに応じて選ぶのが自作キーボード界では当たり前になっているようです。また、マイコンについては有線か無線か選ぶためかな?と思います。違ったらすいません。

いずれも遊舎工房さんで取り扱っているので私は以下のパーツを購入しました。

Pro Micro

Pro Micro(コンスルー付き)

キースイッチ

  1. Gateron Silent スイッチ(10個) 赤軸
  2. Gateron スイッチ(10個) クリア軸

※本来は1種類でOKなのですが、打鍵感の違いを感じたくて2種類買ってしまいました。

キーキャップ 

ENJOYPBT ABS DOUBLESHOT KEYCAPS SET
※わざわざセット品を購入する必要はありませんが、私は次に作るキット用にこちらを購入しました。無刻印のものがバラ買いできるので、こちらのほうが安く済みます。

環境構築

ソースコードのダウンロード

ターミナルに以下のコマンドを入力して、QMF Firmwareをダウンロードしました。

git clone https://github.com/qmk/qmk_firmware.git

環境構築(Macの場合)

Homebrewを使って各種ツールをインストールしました。「ここはじ」にはWindowsの構築方法もきちんと記載されていますが、私は未実施なので割愛します。

brew tap osx-cross/avr
brew tap PX4/homebrew-px4
brew update
brew install avr-gcc@7
brew link --force avr-gcc@7
brew install dfu-programmer
brew install dfu-util
brew install gcc-arm-none-eabi
brew install avrdude

先程、ダウンロードしたQMK Firmwareのディレクトリをcdコマンドで開いてから、以下のコマンドを実行しました。

git submodule update --init
make hifumi:test

エラーが出なかったら環境構築は成功です。

ファームウェアの書き込み

Pro MicroとPCをUSBで接続しました。私はここで「設定アシスタント」が起動しましたが、xボタンで閉じました。

次にターミナルを起動して以下のコマンドを入力しました。

make hifumi:test:avrdude

以下の文字が出てきたら書き込み準備完了です

Detecting USB port, reset your controler now ...

Pro Micro上のGNDとRSTをピンセットで一瞬ショートさせました。余談ですが恥を忍んで告白すると、初めてショートさせたときは「ビリっときたらどうしよう。。。」と思い、めちゃくちゃ怖かったです。罰ゲームで静電気が流れるスイッチを自ら押す芸人さんの気持ちが少しわかった気がしました。

ショートさせると、Pro Microが再起動し、書き込みモードになります。色々文字が表示されて、最後に次の文字が出たら成功です。

avrdude.exe done. Thank you.

次はいよいよパーツの組立です。