ライセンスの選択を恐れる必要はありません


この記事はCC BY 3.0に基いて公開されてゐるWebサイトChoosing an OSS license doesn’t need to be scary - ChooseALicense.comのコンテンツ各ページを翻訳し、単一記事として再構成、訳者による補足を追加したものです

2017年5月9日に開示されたコミュニティガイドラインに伴って、本記事の翻訳部分につきましては削除いたしました。 (この記事が削除または非公開化されない限り、編集履歴からお読みいただくことは可能です。)
日本語での自由ソフトウェア/オープンソースライセンスについての紹介については、可知豊(@y_catch)先生のGithubによる、オープンソースライセンスの選び方 | オープンソース・ライセンスの談話室をオススメします。

(訳註: この「はじめに」及び末尾の「訳者による補足」の章は原文にはなく、翻訳者(@tadsan)によるものです。記事の著作権表示及び元Webサイトの利用規約、免責事項、そしてこの記事についての訳者の見解について記します)

(この記事の一部または全て ——ただしコメント欄は含まれない—— はCC BY-SA 3.0に則る限り、自由に利用することができます。翻訳と「はじめに」「訳註」については独自の著作権は主張しません。 改竄しても二次利用は独自の責任にて行ってください。)

Please consult a legal expert before adopting a software license for your project.
This site is licensed under the Creative Commons Attribution 3.0 Unported License.

Demystified with <3 by GitHub, Inc.

元サイトには利用規約としてTerms of Service - ChooseALicense.comが存在します。この利用規約の有効性及び有効範囲について、訳者(@tadsan)は 言及しません。参考として、見出しのみを抜萃し、()内に訳者による参考訳を補ひました。

Terms of Service - ChooseALicense.com

  1. Introduction (はじめに)
  2. Agreement to the Terms (規約に同意すること)
  3. No legal advice is being provided (法的な助言をするものではない)
  4. DISCLAIMER OF WARRANTIES (保証の抛棄)
  5. LIMITATION OF LIABILITY (責任の制限)
  6. Indemnification for breach of the Terms (規約違反の補償)
  7. Termination of this Agreement (契約の終了)
  8. Miscellaneous Terms (雑則)

この記事において「ライセンス」とは、特に断りのない限りはフリーソフトウェア(自由ソフトウェア)・オープンソースライセンスと呼ばれる形態のライセンスのことです(FLOSS - Wikipedia)。

もとのWebサイト(creativecommons.org)及びこの翻訳記事は、あなたに 法的な助言 を与へるものではありません。ライセンス問題及び各ライセンスが日本及び外国の法律・条約・条例に基いて有効・適法な契約であるかについては、必ず弁護士などの法律専門家の判断を仰いでください。上記の "Term of Service" の解釈についても同様とします。

翻訳は直訳よりは日本語として解釈しやすいように意訳してあります。原文との見解の相違がないように注意して訳しますが、英語及びライセンスへの認識の差により、原文と矛盾した意味になってしまってゐるリスクもあります。 (訳註: から始まる文章は、訳者(@tadsan)が 独自の見解により 本文の内容を註釈・補足するものです。

筆者は翻訳及び訳註により原文と異った意味に改変することを望まないので、もし誤訳及びライセンス見解の誤り、その他ミスなどを発見した場合には訳者(@tadsan)にコメントなどでフィードバックをいただけると幸ひです。

翻訳にあたって法律の専門家や法律智識を持った翻訳家の助言を受けたものではありません。また、この記事はあくまでライセンス原文を解釈し、要約を試みたものなので、優先されるべきは常に原文です。 (本記事のみならず、ほかの翻訳・ライセンス解説についても同様に解釈するべきです)

繰り返しますが、この記事は専門家による法律判断ではありません。法律問題への対処には専門家によるアドバイスを受けてください。元サイト及び本記事を参考にしたことで受けた全ての利益・損害について、原著者及び翻訳者は一切の権利・責任を負ひません。

(以下より記事本文です)


Choose an open source license (choosealicense.com)をお読みください。

(日本語訳文は削除されました。原文または「Githubによる、オープンソースライセンスの選び方」をお読みください。

(翻訳による内容は、ここまで)

訳者による補足

補足1. ライセンスを宣言する方法

最善の方法はソースコードすべてにライセンスを明示することです。

そして、README などと同じディレクトリに LICENSE.txt または COPYING などのファイルを用意して、そこにライセンスの本文や要約をコピーします。

ライセンスの本文の上部に Copyright (c) [year] [fullname] のような形式の穴埋めテンプレートがある場合は、そこ「だけ」を現在の年と自分の名前に変更します。いくつかのライセンスは、本文を「改変しない限り再配布して良い」と許諾してゐること、そして不用意に本文を変更したり条件を追加することで利用者に混乱をきたすことがその理由です。

GitHubではリポジトリ作成時にライセンスを選択して、自動で作成させることもできます(Open source licensing · GitHub Help)。

ただし、Webで使用されるJavaScriptなどファイル単位で読み込まれる場合、当然ながら READMELICENSE などのテキストファイルは添付しにくくなります。参考までに、そのような場合のライセンス表示のサンプルを紹介します。

prototype.jsの先頭には以下の記述があります。

prototype.js
/*  Prototype JavaScript framework, version 1.7.1
 *  (c) 2005-2010 Sam Stephenson
 *
 *  Prototype is freely distributable under the terms of an MIT-style license.
 *  For details, see the Prototype web site: http://www.prototypejs.org/
 *
 *--------------------------------------------------------------------------*/

また、jQuery の場合はもっと簡潔です。 (jquery-2.0.3.min.js)

jquery-2.0.3.min.js
/*! jQuery v2.0.3 | (c) 2005, 2013 jQuery Foundation, Inc. | jquery.org/license
*/

どちらの場合にも著作権表示があり、前者はライセンス名で表記、後者はライセンスを明記したページのURLへ誘導してゐることが特徴的です。

補足2. マルチライセンス

PerlはArtistic Licenseで公開されてゐると上記にありますが、実際には Perl Licensing - dev.perl.org 及び配布パッケージ内の README 内には以下の記述があります。

Perl5 is Copyright (C) 1993-2005, by Larry Wall and others.

It is free software; you can redistribute it and/or modify it under the terms of either:

—— http://dev.perl.org/licenses/ より引用 (2013年9月7日 閲覧)

これは、ライセンスとして「GPLv1(または任意に指定された番号)以上のバージョン」または「Artistic License」のうちの どれか の条件に従へば良いといふことになります。このような状態を「マルチライセンス」と呼びます(この場合は2つなので「デュアルライセンス」、3つなら「トリプルライセンス」とも呼ばれます)。

このマルチライセンスに含めるライセンスは必ずしもフリーソフトウェアライセンスである必要はなく、金銭を対価にサービスを提供するような商業契約(コマーシャルライセンス)であることもあります。MySQLがこの形態のソフトウェアの代表例です。

補足3. ライセンスを明示しないこと

サイボウズ・ラボの西尾泰和さんのことばに次のようなものがあります。

著作権を主張しないつもりなんだったらそれを明示的に宣言して欲しい。ライセンスが明示されていないのは、どんなライセンスよりも厳しいライセンスだ。

(Ruby 1.9.2リリースとWEBrick脆弱性問題の顛末 - 西尾泰和のはてなダイアリー より引用)

また、2chの Navi2ch for Emacs (Part 20) スレのテンプレには次のようなFAQがあります。

Q. パッチを作ったんだけど、ここに up すれば良いの?
A. 2ch で晒すと取り込めなくなるので、sourceforge に投げてね。
ttp://sourceforge.net/tracker/?atid=435774&group_id=39552&func=browse

Q. 自作の関数や設定を晒したいんだけど、どうすれば良い?
A. 設定はともかく、関数を 2ch で晒すのは NG。
navi2ch に取り込んで欲しいなら、上記にパッチを投げてね。
ただ晒したいだけなら、メーリングリストやグループに投げてね。

(http://toro.2ch.net/test/read.cgi/unix/1265413075/2 より引用)

匿名でライセンスを明示しないソースコードを公開するリスクは本文中に訳註として書いた通りです。特に2chでは後から作者を特定することができず、よってライセンスを変更することも不可能になり、合法的に二次利用することができなくなります。

補足4. より信頼のおける情報源

もっと基礎から詳しくライセンスについて学びたいのでしたら、有料(800円)の電子書籍ですが、「知る、読む、使う! オープンソースライセンス」が良いかもしれません。(実は訳者はまだ読んでゐません!)

もっと深くライセンスについて理解するための資料としては、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)のWebサイトにOSSライセンス関連情報として、多数まとめられてゐます。特にGNU GPL v3 逐条解説書は非常に詳細なレポートで、SFLCの協力を受けてまとめられた、極めて信頼度の高いものです。さらにこのレポートはCreative Commons 表示 - 非営利 - 改変禁止 2.1 日本(CC BY-NC-ND 2.1 JP)として利用可能です。

補足5. ライセンスの互換性

(この話はわかりやすさ重視の例で、技術的な正確性はありません)

突然ですが、あなたは画像ブラウザを作りました。これは、BMP形式の画像をとても快適に管理できる、べんりなアプリケーションです (言語は何でも良いですが、Delphiでネイティブコードにコンパイルしたとします)

ある日、あなたは気がつきました。「画像をBMP形式に変換して読み込めば、どんな形式の画像でもサポートできるぞ!」と。

あなたが最初に見付けたのは、JPEG画像をBMPに変換するライブラリでした。これは一切著作権を主張しないことが宣言された、パブリックライセンスのライブラリでした。このソースコードを使って、あなたのアプリケーションはJPEG対応になりました。

Q.
このアプリケーションのソースコードを公開する必要はありますか?
A.
公開義務はありません。なぜなら、著作権はわたしが持ってゐるからです。また、JPEGライブラリには著作権はありませんでした。

次に見付けたのは、John Smithさんが作った、PNG画像をBMPに変換するライブラリでした。これは2条項BSDライセンスでした。このライブラリを静的リンクすることで、あなたのアプリケーションはPNG形式対応になりました。

Q.
このアプリケーションのソースコードを公開する必要はありますか?
A.
公開義務はありません。なぜなら、わたしが著作権を持つコードと、2条項BSDライセンスのコードから構成されるからです。
Q.
あなたは何をしなければなりませんか?
A.
ドキュメントにPNGライブラリの作者名とライセンスを明記することです。わたしはREADMEファイルにLicenseの章を設け、次のように追記しました。

License

HogePngLibrary

(C) Copyright 2001 John Smith

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