新規事業の創出に必要な考え方を一枚の絵にまとめてみる


はじめに

新規事業の開発を担当することになったが、アサイン当初チームメンバーの話についていけないことが多くあった。
色々と調べてみると、新規事業やスタートアップには独特の考え方があるみたいだったので、体系的に知識を得て理解を深めるため、以下の資料を手に取ったところ良書だったのでここに整理をしてみる。

逆説のスタートアップ思考

なお、著者がSlideshareにアップロードしている本家の資料はこちら。(とてもわかりやすい説明)

さっそく、一枚の絵にまとめてみる。そしてその上で、それぞれの柱(赤字部分)のポイントを後述する。

アイデア

  • 一見すると悪いアイデアであること
    • 誰もが良いアイデアだと思えるものであれば、すでに大企業などが参入しているかもしれないし、誰かがやっているかもしれない。
    • ただ、ただ単に悪いアイデアではダメ。直感的には悪いアイデアに見えるけど、自分だけが気づいている真実があるのが重要。
  • 難しい課題に取り組むと良い
    • 例えば社会的課題の解決など。そうすると、事業に人を巻き込みやすくなる(=理解や賛同を得やすくなる)
  • (これが最も重要)Why this? Why you? Why now?を問う
    • なぜこのアイデアなのか、なぜ自分だったらできるのか、なぜ今なのかを考えてみる
    • 特に「Why now?」は見落としがち。同じアイデアであっても、ひと昔前は市場に受け入れられなかったものが、そのタイミングならいける場合がある。逆に、今はだめかもしれない。
    • 今だったらいける!その根拠をだしましょう。

戦略

  • 素早く独占する
    • 小さな市場を狙う(ただし、最終的には大きく成長させることがだいじ)
    • 特定の顧客を狙う。まずはその顧客を熱烈なファンにする。最初から万人に受け入れられようとはしない。
    • 長く使い続けてもらえる仕組みをつくる。(顧客にささり続ける仕組み)
  • 長く独占する(用語の説明は省略)
    • 何か専売的な技術(特許とか)
    • ネットワーク効果
    • 規模の経済
    • ブランド
  • 選択と集中
    • 独自のやり方と独自の価値の追求。価値だけだとやがて他の企業にマネされてしまう。
    • やらないことは何か考える。ヒト、モノ、カネの集中を考える。

プロダクト

  • プロダクトとは?
    • 単一の製品やサービスだけをさすものではない。
    • セールスやカスタマーサクセスなどすべての行動を包括する。
      • カスタマーサクセスとは、顧客の成功に寄与すること。(言葉の通り)
      • そのためには、クレームや問い合わせを受けてからのリアクティブなサポートだけでなく、顧客がどのようなニーズを抱えているか、何に困っているかをプロアクティブに探り、解決する。
      • 探って解決するためには顧客との接点を明確にして、その時々で何ができるのか検討するとよい。カスタマージャーニーマップによりそれら接点やその時の状況を描き、何ができるのか考えてみるとよい。
    • まずはMVPとして顧客に使ってもらう。
  • MVPとは?
    • Minimum Viable Productの略。特定の少数顧客に強く愛される必要最小の機能をもつもの。(独自解釈)
    • 新規事業にとって最大のリスクは「顧客のニーズ」であるため、このMVPにより仮説検証を繰り返していく。
    • つまり、MVPとしてすばやくプロダクトをつくって、使ってもらって、フィードバックを得て、改善していく。リーンやアジャイルの原則と通ずるものあり。
  • 仮説検証のフェーズ
    • プロダクトはだんだんと大きくしていく。MVPから機能追加やサービス拡張を行なっていく。
    • 一般的に認識されているフェーズは以下、(以下については詳細はここを参照)
      • Ideation Verification: アイデアを考えるフェーズ
      • Customer-Problem Fit: 本当に問題は存在するのか検証する。顧客へのヒアリングとか。
      • Problem-Solution Fit: 検証した問題に対し、作ろうとしているソリューション(プロダクト)が適切なものか検証する。モックアップでもいいので、顧客に見せてみる。
      • Product-Market Fit: ソリューション(プロダクト)に市場は存在するのか検証する。この記事に詳細を記載。
      • Transition to Scale: スケールするための変革。プロダクトの拡張だけでなく、組織体制やプロセスなどの整備も必要になる。

まとめ

アイデア、戦略、プロダクトに記載されている内容は、いわゆるMBAのようなこれまで通説とされてきた経営理論からすると半直感的な内容が含まれています。(だからこそ本書タイトルには「逆説」という言葉がある)
しかし、実際に新規事業担当者として顧客と相対し、話を聞いてプロダクトに落とし込んで行こうとすると、自然とこれら要素を意識せざるを得なくなると実感しています。つまり、本書であったりスタートアップに関する書籍や記事は、こういった場面で必要となる知識や思考を体系的に整理して提示してくれているものだと思います。

おしまい