SDR console で Cube Sat RSP-01 を追跡受信する サテライトモード


はじめに

 RSP-01 は順調に飛行中である。最大のミッション「自撮り」画像の取得に向けて毎日のように運用が行われている。最近の運用では「自撮り」サムネイル画像の取得や衛星のハウスキーピングデータの取得をメインに行っているため、CW ビーコンは送信されていないことが多い。運用状況はこちらの 公式 Twitterで発信している。

 この記事では、SDR Console と RTL-SDR を使って Cube SAT RSP-01 を追跡受信する方法、主としてサテライトモードとスケジュール録音についての記述する。RTL-SDR、SDR Console の使い方については知っているものとして進める。

サテライトモード

 サテライトモードとは、軌道要素(TLE)によって人工衛星を追尾してドップラーシフトを補正しながら受信する方法である。CALSAT、Orbitron などの衛星追跡アプリでは Windows の DDE というアプリ間のデータ通信機能を使って、トランシーバーやローテーターにデータを出力する機能がある。Plugin を使ってトランシーバーのドップラーシフトを補正したり、アンテナローテーターの方向・高度を指示するようにしている。ソフトウェアラジオでは図のような系統になる。

Orbitron などの衛星追跡ソフト、SDR# などのソフトウェアラジオアプリ双方を起動してその間を DDE 経由でデータのやりとりを行うしかけである。けっこう面倒な設定が必要である。 SDR Console を使うと別途、衛星追跡ソフトを用意しなくてもサテライトモードが構築できる。

SDR Console の設定

サテライトモード

 サテライトモードに入るには SDR Console の Vew タブから More Option のところの Select をクリックする。

すると様々なオプションを選択する画面がポップアップする。この中の Satellite にチェックを入れる。

SDR Console を再起動すると View タブから Satellite がセレクトできるようになり、クリックすると Satellite Tracking Window が開く。

初期設定

まず、受信地点の緯度経度を入力する。Home タブの GeneraL の Home Lat/Lon をクリックして入力する。Google MAP で地図のポジションを右クリックすると緯度経度が表示されるのでそれを使うと良い。

衛星の選択など

デフォルトの設定では、Satellite List メニューに出ている衛星だけであるが Select → Browse で希望の衛星を選択できる。TLE の更新は Datafiles タブから Options の Update メニューから選択する。

ここまで準備できたら Home タブの Enable Tracking で追尾を開始することができる。
Recording タブの Data Automatic をクリックすると追跡している衛星の AOS からEOS まで IQ 信号で録音する。

スケジュール録音・再生

録音再生はメイン Window の Rec/Play タブで設定します。

録音は Audio、Data とありますが、Audio は復調して音声信号となったもの、Data は IQ 信号での録音となる。IQ 信号で録音しておくと受信時の状態を再現することができる。Rec/Play タブから Data::Scheduler の Schedule Window が開く。

日付・時刻、フォルダ、受信帯域、収録時間などを指定して登録する。データが整合していないと登録できないようになっている。この Window で Scheduler の Start automaticaly にチェックを入れ Start をクリックするとスケジュール録音がスタートする。スケジュールの 5分前になるとポップアップ Window が現れて注意を喚起する。

このワーニングが消えると録音モードポップアップが現れて録音状態を表示する。

指定までカウントダウンして時間になると、指定周波数に切替、録音を開始する。
前述のサテライト Window の Recording Automatic との関係でいうと、こちらが優先になる。
再生は Rec/Play タブから Data::Open で録音フォルダを開き指定する。録音終了後にファイルが見えないことがあるので Reload ボタンを押すことにより更新する。信号は IQ なので復調モードを変えて CW、FM、AM など選択して何度でも再生することができる。また衛星からの電波が CW から GMSK に変わったり、デジタル信号のボーレイトが変わっても対応できる。データレートは受信帯域 500KHz で 2Mbyte/sec くらいなので録音ファイルの大きさは 1回のパスに 1Gbyte ほどかかると思って良い。

おわりに

SDR Console はとても多機能なアプリでサテライトモードでもローテーターをコントロールしたり、他のトランシーバーを制御したりすることができる。完全に自動でアンテナローテーターで衛星を追尾して受信することもできそうである。