ワークショップ よもやま話:01 "To be, or not to be "


ワークショップの呼称や形式のいろいろ

みなさん、はじめまして。浅川です。
デジタルハイク という会社で littleBits のワークショップをたくさん開催しています。
おもに子ども向け(学年でいうといわゆる "K-12")なのですが、
ぼくらのワークショップは他とは違う、「スリリングなワークショップ(もちろんいい意味でw)」が定番となっていて、
参加している子どもたちだけでなく、保護者、スタッフ、講師、会場の音響さん、主催者の偉い人など
その場にいる人たちみんなで「ものづくりを楽しむ」というところが最大の特徴となっています。


- 写真:2016年 六本木ヒルズ "Mirai Summer Camp" littleBits ワークショップ 「まちをつくろう!」

さて、ワークショップというと、とりあえず製品に触るんでしょ? とか、ちょっとしたモノをつくるんでしょ? とか、
定義があるようでないような、ちょっと漠然としたイメージだと思います。
呼称はさらにいろいろあって、今年われわれが関わったものだと、

  • ワークショップ
  • ハンズオン
  • キャンプ
  • Touch & Try
  • 体験会
  • 研修会
  • おさわり会

などなど、こんなかんじで様々な呼称がありました。
とはいうものの、実施した内容を振り返ってみると、大きく分けて2つしかなかった気がします。

正解のあるワークショップ

特徴をざっくり。

  • 成果物としてのゴール設定あり
  • 作業は個人ベース
  • 定員マスト / 申し込み制
  • 各人に配られる機材は一定
  • ゆえに成果物の品質は一定となり再現性も高い
  • 講師は各人の進捗を確認。遅めの人を底上げするイメージ。

正解のないワークショップ

こちらもざっくり。差異をボールドにします。

  • 成果物としてのテーマ設定あり。
  • 作業は個人ベースだが、複数人でのコラボ場面多数
  • 基本は定員制 / 申し込み制だが、保護者やきょうだいの当日参加もOK
  • 各人/各グループに配られる機材の量は定めず、大皿方式
  • 成果物の品質はバラバラみんなで協働してつくるので再現性は低く、その場限り
  • 講師は時間的な進行管理がメイン作ってる内容にはほとんど口をださない
  • というか、講師は講師で勝手に作っているのでこまめに対応しないこともw

で、littleBits に向いているのは...

圧倒的に後者のタイプ。「正解のないワークショップ」のほうです。

なぜなら、

  • 全員に等しく教えることがとても少ない:

    • 電子工作の機材の扱い方(手をきれいに・飲み物置かない・電池に注意など)
    • Bits の色の意味(4色の説明)
  • 自分でいろいろ調べることができる:

    • 機能がわからないモジュールは、それひとつだけでつなげてみて機能を確認する
    • 配線がおかしい箇所があったら、その前後にLEDなどを挟んでみて電気の流れを確認する(目で見てデバッグ)
    • どうしてもわからなかったら、まわりの仲間に訊いてみる(その子もわからなければ一緒に調べる)
  • 進度にばらつきがでてくるが、それが教え合う機会を生む:

    • 学年をほとんど制限しないので、小学生から中学生までばらばら。
    • さらに保護者も参加するので、年齢差が30歳以上に広がることもある。
    • だからこそ、アイデアの幅も広がるし、問題解決の方法もたくさん生まれる。
    • これらの条件をうまく活かすためには、アイスブレイクなどで「教え合うことが重要!」「真似しあって良い作品をつくろう!」ということをしっかり伝える必要がある。
    • 仲間にたくさん教えてあげた人 / 仲間からたくさん教わった人が偉い! という価値観を伝えておく。

このような下準備というか、ワークショップの設計をしっかりやっておいて、
あとは始まったら夢中でつくる。講師も作る。保護者も作る。みんなで作って発表して、
みんなに誉められたり、時間切れでくやしかったり、いろいろな感情を味わいながら楽しく終わる。
そういうワークショップをやっています。

"To be, or NOT to be ... a MAKER."

で、ワークショップに参加して楽しめるかどうか、もし「参加資格」のようなものがあるとしたら、まさにこれ。

To be, or not to be, that is the question

littleBits 的にはこんなかんじでしょうか。

"作る?  え、作らないの?  なにいってんのとりあえず作ればいいじゃん!"

結局は、つくることが楽しいと思えるかどうか、いや、むしろ、
目の前にlittleBitsやたくさんのマテリアルが用意されているときに、
とりあえず手を伸ばしてさわって何かつくっちゃう(自然過ぎて自覚ナシ)っていう人が、
一番ワークショップを楽しんでくれている気がしますね。年齢を問わず

子どもならほぼ100%が目を輝かせて littleBits を触ってくれます。
いきなりざくざく触るのでケーブルがちぎれてしまうほどです。

ところが、年齢を重ねるにつれて、その逸る好奇心にブレーキをかけてしまう人が増えてきます。
これが本当に残念で残念でくやしいんですよね。もったいない。

...そういった人々の観察と反省と対策については、また別の機会で書くとして、
このあとは、おもいっきり楽しんでるおとなの写真をご紹介します。

子どもより楽しんでるおとなのギャラリー


こちらは Code for Toshima でのワークショップの写真。おとうさん、材料使い過ぎw
子どもたちよりも真剣になっている大人の姿が多かったですね。
でもそういう背中をみて、子どもたちも本気になるという雰囲気が本当に良かったです。


こちらは、子どもたちに交じって、おかあさんのプレゼンテーション。
工夫したポイントの説明がとても説得力がありました。子どもたちもびっくりしてました。


こちらもおとなの活躍。
子ども・おとな・スタッフ全員でのアイデア投票で、見事一位に輝いた会場スタッフ!! 「しゃべる動物園」という画期的なアイデアに全員拍手!


こちらは保護者のおかあさんの作品。
子どもたちの作品に比べて、カラーコーディネートがしっかりできてますよね。
こういうおとなならでは工夫のポイントが子どもたちを驚かせ、そして記憶させるんです。


こちらもスタッフの女性の作品。
littleBitsのモジュールをうまく使っていて、完成度が高い!!

以上です。
それでは、良い12月14日を!!!