リモート・ファースト VS リモート・フレンドリー


Remote-First vs Remote-Friendly[元]Zach Holman [著] Jorge Bucaran [翻訳]

場所に縛られない生き方...万歳!ボブはサンディエゴ、私たちはサンフランシスコ在住。Slackルームが用意されているので、皆が自由にやってきて、いつでも(午前8〜9時)働くことができます。とはいえ、ボブは本当に一人狼なところがあるんで、近いうちにクビにしようかと検討中ですよ。まあ、とにかく、遠くにいても、ビシッと働くことができちゃう訳です。

遠隔作業に関しては、私たちは、まだまだ「多感な青春時代」を送っています。多くの企業で、Slack、Hangouts、GitLabといったツールが採用されていることを考えると、どうやら、私たちの技術スキルの照準は正しい標的に合っていたようです。...プロセスやワークフローの成熟には程遠いですが。

ただチャットルームを使うようになったからといって、遠隔作業を行なう人々にとっての楽園が華々しく築かれたことにはなりませんから...困ったもんですよ。

ツールを生かすプロセス志向

いいですか。チームスタッフが同じ都市に住んでいるどうかは問題ではありません。もちろん、皆が同じブロックに住み、密なやり取りをするのは、結構なことです。開け放った一階分を丸々オフィスとして使い、デスクに社員を縛り付け、ある種の欲望を満たすようなこともあったりなかったり...。大事なのはここからです。私たちの手元にあるツールは長い道のりを歩んで進化してきました。しかし、プロセスを調整しない限り、これを使い倒すことはできないのです。

"リモート・フレンドリー"──様々な都市から社員を雇用──とリモート・ファースト──ワークフローに沿った形で、開発チームを構成(社員が遠隔地にいるかどうかに関わらず、遠隔作業のコンセプトを導入)──の間には“開き”があります。

会議の代わりにチャットを使わざるを得ない、または、「人間味無く」、あらゆる手動作業を自動化せざるを得ない環境に身を置くことで、業務の効率化、より多くのビルトインコンテキストの導入、より高いレベルでの組織内知識の共有が実現します。

まだリモート・ファーストから目を背けることで、来たる時代にリモート・フレンドリー環境の確保に苦しむだけでなく、将来的に優秀な人材を確保し、競争の激しい世界を生き抜くことすら、儘ならなくなるでしょう。

世界の現場は変容しています。これこそがトレンドなのです。

遠隔作業を“手なずける”方法

あなたが、既にリモート・ファーストを取り入れている状況を仮定してみましょう。遠隔地にいる人材の雇用を検討しています。そんな時には、以下の点を念頭に置くようにして下さい。

チームの地理的構成

企業内にある遠隔作業チームの出来を把握するための最高の指標は、そのチーム構造における遠隔地スタッフの補強です。

よりシンプルに言えば...遠隔地の社員が1名や2名しかいないチームは、話になりません。逆に、この割合が高い場合には、優れたパフォーマンスが発揮される傾向にあります。

これに理論的解釈を加えることも可能です。(決して、意地の悪い偏見が介入している訳でもありません。)もし、サンフランシスコで、7人が1つの部屋にいて、もう1人が、シンガポールにいたとしたら、最初の7人のみが(彼らが、わざわざオンラインへと移動しない限りは)製品に関して、正式であれ雑談であれ、より多くの意見交換を行なうことになるでしょう。ここでの成功が実現不可能とは言いませんが、それには相当な手間が必要となります。

自社内の遠隔性改革を進めるのであれば、チーム内の地理的多様性を構造化してみるのがよいでしょう。各地域にそれだけのスタッフが居ない場合には、“全てを遠隔化”するか“全てを地元化”するという手もあります。中途半端な数の社員を事実上の「除け者」にしてしまうよりはマシでしょう。

距離の概念に留まらないタイムゾーン

遠隔地にスタッフを持つという軸の他に、異なるタイムゾーンにこれを持つという軸も考える必要があります。

社員を遠隔地に持つと誇らしげに語る、会社を見てきましたが、彼らの一部は、ただ、シアトル、ポートランド、サンフランシスコといったように縦一列に並んだ地域に、スタッフを抱えているだけだったのです。お察しの通り、全てが同じタイムゾーンに位置しています。例え、アメリカ、または、ヨーロッパの端から端を網羅したとしても、3〜4時間の時差といったところでしょう。これは“就業日”という文化を実施することさえできる程の振り幅です。

地図上での拡散

もし、これがあなたの望む様式であるならば、問題はありません。しかし、リモート・ファーストという概念を真に追求するのであれば、非常に幅広いタイムゾーンを越えて、スタッフを抱えることが有効です。なにせ、こうすることで、ツールの使い方を変える必要に迫られますから。ミーティング、毎朝の進捗共有、会談を兼ねた朝食に時間をかける代わりに、メール、チャット、プルリクエスト、その他、非同時性の業務について理解を深めることができるのです。

前述した、チーム内における、地元ー遠隔地間での割合多様化の話同様に、可能であれば、タイムゾーンの分断も行なってみて下さい。これをチームの枠組み内に取り入れることで、日常からリモート・ファーストのコンセプトを実践することに繋がります。

対面時間

最後はシンプルな話題です。常に“デジタル”に依存する訳にはいきません。素晴らしい遠隔作業環境をつくるため、時には、身銭を切って移動し、直接面会に訪れることも必要です。飛行機でその場に向かい、対面でミーティングを実施、仕事の中に、人間味を付加しましょ。

ハックハウス

たった2日間の旅でどれだけのことができるのか考えてみると、凄いことです。創造性豊かな問題解決がより容易になり、アバターの代わりに、目と目を合わせて、お互いを認識...。このような環境が、単にパソコンと向き合う日々とは違った経験を届けてくれます。

非常に多くの企業が、遠隔作業を使いこなし始めているこの状況に、私は我を忘れる程の感動を覚えています。私が最初にHow GitHub Worksについて書き始めた時、このような分野は、まだ「濃霧に包まれて」いました。ここ数年で、Slackをはじめとしたツールの猛烈な成長を目の当たりにし、最高の気分です。今では、かなりの人々に、浸透し始めているのではないでしょうか。

とはいえ、常に改善の余地は存在するものです!作業環境を構築する上で、リモート・ファーストとリモート・フレンドリーの間には、非常に大きな溝が存在しています。これらのことを、早い段階から、頻繁に、プロセスに織り込んむことが求められるでしょう。

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