AWS初心者は見た!私でもすぐ使える!? re:Invent 2021で出た新機能


(この記事は KDDI Engineer & Designer Advent Calendar 2021 の第9日目エントリーです)

タイトル通り、初心者向けの敷居低めな記事となっております。
私のように「ふだん開発はベンダーさん頼りだから難しいことわかんない!」って方も安心してお読みください。

※ 今冬に発表された怒涛の新機能たちは、AWSさんが日本語で速報まとめを紹介してくれています。全量をざっと知りたい方はそちらも併せてご覧ください。

新種発見! EC2のインスタンスタイプ追加

みんな大好きEC2ですが、毎年のように新しいインスタンスタイプ(マシンスペック)が追加されています。
ふだん最もよく使われているのは汎用型の「M系」インスタンスではないでしょうか。最近のものだとM5(Intel系)、M5a(AMD系)など。

今回その最新型となる「M6a」インスタンスが発表されました。aがつくのでAMD系ですが、すでにM5などx86系のアーキテクチャで運用中のシステムでもそのまま活用しやすいと思います。
同等スペックの他インスタンスと比較して10%安価になるようです。お財布に優しいですね!

※ ただし東京リージョンでの提供開始はもう少し先の模様。


(出典:20211203 AWS Black Belt Online Seminar AWS re:Invent 2021アップデート速報より)

ちなみに「そもそもEC2のインスタンスタイプってアルファベット数字いっぱいありすぎて意味不明!」って方も多いと思うんですが、以下サイトの解説が分かりやすいので参考にしてみてください。

(出典:EC2 インスタンスタイプの種類や選び方!AWS初心者向けに今一度整理より)

S3 & Glacierファミリーが値下げ!

これはシンプルにみんな嬉しいやつです。
オブジェクトストレージのS3、および長期保存向けの廉価ラインGlacierの値下げ&バリエーション拡充がありました。

まずS3では低頻度アクセス用のIA系(Infrequent Access)が国内リージョン含め31%値下げ。
もともとS3 Standardの値下げが進んでいたせいで、IA系のラインがStandardよりも高くなるという逆転現象が発生しており「非推奨」扱いのストレージクラスになっていましたが、そのへんの調整と思われます。

(出典:20211203 AWS Black Belt Online Seminar AWS re:Invent 2021アップデート速報より)

またS3 Glacierはデータの取り出しに時間がかかるぶん廉価なストレージクラスとなっていましたが、今回データを即座に取り出せる新クラス「Glacier Instant Retrieval」が新規追加されました。
従来のGlacierは「Glacier Flexible Retrieval」と改称され10%の値下げとなっています。

(出典:20211203 AWS Black Belt Online Seminar AWS re:Invent 2021アップデート速報より)

S3系のストレージクラスはたくさんあり、AWS認定Solution Architect Associateなど入門系の資格試験でも問われやすいので、たまに一覧表を眺めておきましょう。

(出典:20211203 AWS Black Belt Online Seminar AWS re:Invent 2021アップデート速報より)

IPアドレス管理Excelはもう卒業!? 「VPC IP address Manager」登場

VPC上のIPアドレスを整理してくれるツールが発表になりました。
これでホントにCIDR管理表Excelとオサラバできるんでしょうか。ちょっと実際に触ってみます。

(出典:20211203 AWS Black Belt Online Seminar AWS re:Invent 2021アップデート速報より)

唐突に始まるハンズオン。
AWSマネコンから検索してアクセス。VPCとは別に独立したコンソールになっていました。
略称はIPAMのようです。

とりあえず「IPAMを作成」してみます。設定項目はリージョンを選択する程度でした。
作成したIPAMを見ると「スコープ」がプライベート、パブリックの2種類含まれています。

IPAMのダッシュボードを表示。
前述の「スコープ」単位でCIDRや割り当て状況が可視化できるようです。

ただし現状は中身が空っぽになっていました。
リソースが未作成なわけではないのですが、恐らく今回利用しているAWSアカウントがアイレット社さん提供のcloudpackというサービス経由で利用しており、Organizationsの管理アカウント側でIPAMの管理権限を制限されているようです。残念。

弊社内では同サービスを利用するケースが多いため、IPAM活用にはハードルがあるかも。

EKSクラスター内のEC2ワーカーノードを自動スケール! 「Karpenter」くん登場

AWSでコンテナを使ったアプリケーションを運用している方は最近かなり多いと思います。
とりわけ複数のコンテナを統合管理するのに、流行りのKubernates(K8s)を利用している方は多いでしょう。AWSだとマネージドなEKSサービスを利用してクラスター管理ができます。

K8sの便利な点のひとつとして、コンテナ(Pod)の負荷が高騰すると自動で増殖してくれる(Horizontal Pod Autoscaller)機能があります。
ただしPodが増えていくと、土台となるワーカーノード(EC2)が窮屈になってきます。このEC2くん達をPodの増殖に合わせて自動増設させるための機能として、K8sの「Cluster Autoscaler」機構が使われていました。
CAの実態はDeploymentとして管理Pod的にインストールされ、そいつがAWSの操作用APIへコマンドを送ることで自らが稼働するAutoScallingグループのノード数を操ります。

(出典:EKS Best Practices Guides

このHPAとCAがいればオートスケールばっちりじゃん!めでたしめでたし。
という訳でもなく、特にCluster Autoscalerには以下のような課題があります。

  • ワーカーノードとなるEC2(AutoScallingグループ)では利用可能なインスタンスファミリーが限定される
  • ワーカーノードの自動増設スピードが意外と遅い

今回発表された「Karpenter」は上記の課題を解消する、CAに代わるオートスケーラー機構とのこと。
この大工さんはAWS製のOSSであり、実はAWS以外のプラットフォームでも利用可能な模様。


(出典:20211203 AWS Black Belt Online Seminar AWS re:Invent 2021アップデート速報より)

ワークロードにムラがあるアプリケーションを運用されている方など、バースト対策やコスト削減に活用できるのではないでしょうか。商用利用OKとしてGAされたということですが、バージョン数がまだ0.5なので少しだけ怖くなりますねw

※まだ日が浅いため日本語の解説記事は少ないようですが、AWSのEKS開発者がCAとの違いをゴムボールとカップでわかりやすく解説してくれている動画があるので、興味ある方は見てみてください。

まとめ

re:Invent直後&アドベントカレンダーの時期ということもあり、各地でRecap記事が量産されていると思うので今回は初心者目線で一部新機能をクローズアップしてみました。

弊社アドベントカレンダーの後半ではAWSヒーローの山口さん(@kinunori)もRecapネタを書いてくださるようなので、引き続きご注目ください!