電子地図関連のお仕事をする際の基本 ~その①~


はじめに

この記事は、なかなか人が増えない地図データ作成チームのために書いてます。

私は、直近の6,7年ほど防災系のシステム構築を担当しています。

防災系のシステムというと、避難所のデータ管理であったり、備蓄物資の管理、緊急時の市職員への連絡といった機能を提供しています。

この防災システム構築作業の中には、ハザードマップに関するものもあります。
災害の発生個所や洪水や津波といった危険個所をブラウザの地図画面に表示する、といったものなのですが、

この表示される災害用の地図データ作成というのが、人手がかかる厄介な代物なんですが、
育成面でも手のかかる、人員の定着し辛い物でもあるんです。。。

何故、人員が定着し辛いか?

それは、実際に作業をするまでの敷居が高く、また内容もマニアックなのでプログラミングの様に応用が利きづらい面もあり、一度人員が固定されてしまうとその人ばかりに作業が集中してしまうのです。

こうした事象を軽減する意味でも基本的な知識を順を追って説明しようというのが、この記事の主旨になります。

実際、一度知識を入れてしまえば、私の体感で恐縮ですが6,7割の作業は新卒1,2年目の方で対応できるものです。

なので、Webアプリケーションで地図サービスを扱う取っ掛かりの読み物として頂くのもいいかと思います。

まずは完成系をイメージするところから始める

知識が無い状態からいきなり地図データ作成を、と言っても無理なのは目に見えているのでまずは完成系のハザードマップを見てイメージをつかみます。

防災システムのハザードマップというと、近年は各都道府県ごとに構築されていて、サイト検索をかければすぐにもヒットするかと思います。
例えば、東京都のハザードマップは、東京都防災マップという名前で公開されているのですが、トップ画面にハザードマップが表示されています。

この画像の例では、南多摩駅の付近で土砂災害が発生するかもしれない場所を見るために、左側のメニューから土砂災害警戒区域に関する情報にチェックを入れて画面に表示させています。

こんな風に地図に対して、災害情報を重ね合わせることで機能として提供していると思って下さい。

どんな仕事として依頼されるのか?

次に実際に作業依頼としてどんなものがあるかというと、大抵は地図の上に出す災害情報の更新や追加だったりするわけです。

  • 「〇〇県の浸水想定区域に関する情報が更新されたので、データを入れ替えてほしい」
  • 「新規の避難所に関するデータを追加してほしい」
  • 「新しい道路を追加してほしい」

依頼としてはこんな感じですね。地図自体のデータを更新するといった作業はほぼ来ないと思います。
(あることはあるんですがね、、、今後別枠で。)

依頼を受けた時点でベテランさんになってくると

  • まずはベースとなる地図データを国土数値情報のサイトからDLして
  • あるいは地方自治体の担当者の方に、更新データを受領して
  • 担当しているシステムの測地系と座標系をチェックして
  • データの加工。属性情報の増減を考えて
  • ブラウザ側で描画できるよう geojson形式のファイルに変換して
  • 納期までに何人月かかるかな?

といった作業の流れと、地域による人手の計算を始めるわけです。
そして、納期の期間が短いと新人さんへのスキトラを諦めることになるのです。

そんな訳にも行かないので、以降は

  • まずは地図が表示される大まかな仕組みを知る

(ここから先は別記事になるかと。)

  • 次にその仕組みの中で取り扱ってるデータについて知る
  • 作業の準備としてツールを用意する

そもそもなんで防災マップって表示されるのか?

さて、そもそも何故ブラウザ上で地図って閲覧できるのでしょうか。
ハザードマップもそうですが、Google マップ なんかも近くのお店で検索してアイコンが表示されたりする訳ですが一体どうなっているのか。

結論から書いてしまうとGISサービスを提供するサーバがあって、そのサーバに対してアプリケーションサーバからリクエストを送信して、
その結果を元にブラウザがマップを表示しているからです。

はい、ザ・ポカンとする話になりました。当然です。
少しずつかみ砕いていきます。一般的なWebアプリケーションの仕組みというのはここでは割愛させてもらいますが。

おおよそ、下の様な流れでページを表示しているわけです。

地図を表示するというのはGISという地図の表示に特化したシステムが居ると考えて下さい。
このGISから提供されている各種のサービスを利用して、Webサーバでブラウザ上に表示される地図画面を構築しているというわけです。

GIS の明確な定義に関しては、下記のサイトや他の地図サービスを提供している企業のサイトに記載されています。

  • GIS(Geographic Information System: 地理情報システム): 位置空間に関する情報を基本となる地図上に重ね合わせ、情報を視覚化し、分析、統合管理するシステム

ちょっと硬くて分かりにくい表現ですが、要はベースとなる背景地図の上に、レイヤーとよばれる地図データの層を重ねることで

このレイヤーが扱う情報は、地物(建物、道路、河川)や事象(人口分布、天気、渋滞情報)など多岐に渡り、表示/非表示を切り替えたり、データが持つ属性情報、例えば建物なら店名や住所といった情報を付与して地図上に表示できるようになります。

さて、ここまで来て

ざっくりとになりますが、ここまで読んで頂ければ
地図データの作成レイヤーの作成

と言うのが分かるかと思います。
そして、レイヤーってどう作成するのか?という話になりますが、はっきり言って専用のソフトを使えばデータ読み込むだけで大半は片が付く楽な作業です。

電子的な地図データの取り扱いが分かっていればという前提が必要ですが、、、、

次回はその辺りを説明したいと思います。