UPSを自作する【Anker】
前回の投稿から2年近く時が経ってしまいました。
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何をやったか・工夫した点
- この記事を見れば汎用ポータブル電源からUPSを作れます。
- Ankerのポータブル電源をUPSとして使い、停電時に自動シャットダウン機能を追加してUPSを自作した。
- 専用のUPSを使わなくても安価で高性能なUPSを自作することができた。
- 停電監視用でUSB電源を取り出し、減圧した上でRaspberryPiに監視させた
はじめに
3年前にSIer営業1年目がDockerを使ってファイルサーバを構築してみたという記事を投稿し、自宅にファイルサーバがあるという満足感に浸ることができました。
しかし、
- それなりに電気代を食うので、使うときにつけて夜にシャットダウンする、みたいな運用をしているため使いたいときにすぐ使えない
- 無駄に拡張性を考慮してでかいケースを買ってしまったので、邪魔。
ということがあり、ちょっとずつストレスが溜まってきたので、いっそのこと製品にしてしまおう、ということで、ファイルサーバをQNAPに移行しました!
結果的に大正解で、電気代も80W→30W程度まで減らすことができ、常時起動でストレスフリー&スペースを大幅に削減することができました。
ここで気になるのは停電。めんどくさがりや&ズボラというエンジニア適正100%な私は便利な家電が大好きなのです。
そのため、極稀にブレーカーを落とすことがあり、停電でNASやHDDが壊れてデータがなくなると困る!ということでUPSを導入しようと思いました。
・・・が、個人で買うにちょっと躊躇する値段(安くても1万弱、高いと数万)、、、
ということで探していると、Ankerから素晴らしい製品が出ていました。
なんと、パススルーに対応し、125WまでであればUPSとして使えます。
なので、普段はUPSとして使い、キャンプ等に行くときはポータプル電源として使える2way方式が可能!
(キャンプ行ったことないけど)
一般的なUPSであれば、停電を検知した場合には製品にシャットダウンコマンドを送り、自動的にシャットダウンされるような仕組みがありますが、この製品にはそのような機能はありません。
自宅にいるときに停電が起きればよいのですが、外出中に停電した場合は充電がどんどんなくなり、力尽きるという時間差停電が起こるだけです。
なので、停電した場合にQNAPにシャットダウンコマンドを送り、安全にQNAPを停止する仕組みを作ります。
準備するもの
本システムの構築にあたり、以下の製品を使用しています。
また、RaspberryPiとQNAPは同一ネットワーク上に存在することを前提としています。
使用した製品 | 用途 |
---|---|
Raspberry Pi 3 | シャットダウンコマンドの発出用 |
QNAP TS-251D | いわずもがな |
本システムは電子回路の製作があるので、以下の製品を使っています。
部品名 | 型番 | 用途 |
---|---|---|
三端子レギュレータ一式 | TA48033S | 5V→3.3Vの減圧 |
USB電源アダプタ | 100均で適当なやつ | 停電検知用 |
USBケーブル | 家に転がってたやつ | 停電検知用 |
ブレッドボード | 家に転がってたやつ | 配線用 |
ジャンパ線 | 家に転がってたやつ | 配線用 |
仕組み
今回やりたいことは以下のとおりです。
USB電源から停電状況を監視し、停電を検出したらネットワーク越しにshutdownコマンドを発出し、QNAPをシャットダウンさせます。
QNAPをシャットダウンしている間はAnkerポータブル電源が電源を供給し続けるので、安全にシャットダウンすることができます。
①停電の検出
今回使用したAnkerの製品は最大入力が125W(電源+USBC)のため、それ以内に収めないと入力電力<出力電力となり、UPSの役割を果たせないので、UPS配下につなぐ製品の合計ワット数は125W以内に収めてください。
また、今回はsshによりシャットダウンを行うため、ネットワークが切断されるとシャットダウンコマンドを発出できません。
なので、ルーターやスイッチ等のNW機器類も保護するようにしてください。
USBケーブルは以下の様に4本の線が入っていて、
- 1と4が電源ケーブル
- 2と3が通信用ケーブル(今回不使用)
今回は電源を監視するので、1と4の電源ケーブルを使います。
今回使ったUSBアダプタは5Vなので、1-4間の電圧5Vとなります。そのままではラズパイに繋げないので、三端子レギュレータで減圧しています。
停電を検知するために、ラズパイへコンセントの電源を直接入力します。
ただし、ラズパイのGPIOの入力は3.3Vなので、USB電源アダプタを使用して100V→5V、三端子レギュレータを使って5V→3.3Vに減圧しています。
今回はGPIO23番を使用しています。
停電を検知するプログラムは以下の通りです。
今回はGPIO23番を使用していますが、適宜読み替えてください。
また、必要なモジュールはインストールしてください。
1秒毎に電源の状態を監視し、60秒間GPIO23がOFF(=1分間停電状態が続いた)場合にはシャットダウンを発出するシェルスクリプト(qnap-shutdown.sh)が動く仕組みになっています。
#必要なモジュールをインポート
import RPi.GPIO as GPIO #GPIO用のモジュールをインポート
import time #時間制御用のモジュールをインポート
import sys #sysモジュールをインポート
import subprocess #シェルスクリプト呼び出し用
#ポート番号の定義
Sw_pin = 23 #変数"Sw_pin"に23を格納
#GPIOの設定
GPIO.setmode(GPIO.BCM) #GPIOのモードを"GPIO.BCM"に設定
#GPIO23を入力モードに設定してプルダウン抵抗を有効にする
GPIO.setup(Sw_pin, GPIO.IN, pull_up_down=GPIO.PUD_DOWN)
SHELL_PATH = "${HOME}/qnap-shutdown/qnap-shutdown.sh"
TIME_OF_POWER_OUTAGE = 60
powerOutageTime = 0
#while文で無限ループ
#GPIO23の入力を読み取る
while True:
if powerOutageTime >= TIME_OF_POWER_OUTAGE: #1分超えた場合はシャットダウンコマンドの実行
subprocess.call( ["bash",SHELL_PATH] )
powerOutageTime = 0
if GPIO.input(Sw_pin) == 1: #GPIO23が「ONで"1"」「OFFで"0"」
powerOutageTime = 0
else:
powerOutageTime += 1
time.sleep(1) #1秒間待つ
②シャットダウンコマンドを発出する
上記で1分間入力がなかった場合停電したと見なし、以下のシャットダウンシェルを動かします。
ここは各環境によると思うので、適宜読み替えてください。
私はQNAPに公開鍵でsshできる設定にしています。
(公開鍵だけで入る方法はQNAPを再起動すると初期化される→今後の課題)
#!/bin/bash
password="PASSWORD" #ここは各環境に合わせてください。
username="USERNAME" #ここは各環境に合わせてください。
host="HOST" #ここは各環境に合わせてください。
port="PORT" #ここは各環境に合わせてください。
expect -c "
spawn ssh ${username}@${host} -p ${port} -i ${HOME}/.ssh/id_rsa
expect \"ゆーざねーむ@ほすとめい's password:\" #ここは各環境に合わせてください。
send \"${password}\n\"
expect \"~]\"
send \"sudo poweroff\n\" #シャットダウンコマンドの発出
expect \"Password:\"
send \"${password}\n\"
expect \"~]\"
send \"exit\n\"
expect \"~]\"
終わりに
データがなくなるのは一瞬です。
QNAPでRAID構築&バックアップをしていても、停電で同時に消えてしまう可能性もあります。
仮に消えなかったとしても、製品やHDDに大きな負荷がかかることは間違いありません。
よって、可能な限り安全に運用できる環境を整え、安心して運用していきましょう。
今後の課題
- シェルスクリプト内にパスワードが平文で入っている→公開鍵だけで入れるようにしたい
- QNAP等の製品を安全にシャットダウンする仕組みとしてNUTという規格があるらしい
参考文献
【ラズパイ電子工作】スイッチのON/OFF状態を読み取る方法
Raspberry Piでスイッチ入力
低損失三端子レギュレーター
Raspberry Pi と BY50S と Ready NAS の連携
Raspberry Pi にNUTをセットアップする
NUT(Network UPS Tools)のmaster・slaveモードでの設定
QNAP TS-251+ の設定(UPSおよび他NASとの連携)
Author And Source
この問題について(UPSを自作する【Anker】), 我々は、より多くの情報をここで見つけました https://qiita.com/tororu/items/3e1be8f4c7bde08e111c著者帰属:元の著者の情報は、元のURLに含まれています。著作権は原作者に属する。
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