人を育てて、成果を最大にするマネジメント ~HIGH OUTPUT MANAGEMENT~


HIGH OUTPUT MANAGEMENTとは

元インテルCEOのアンドリューグローブによってまとめられた経営書であり、マネージャーの仕事は何かが著者の体験をもとに書かれている。約40年前に書かれたものだが、「マネージメント」や「組織論」を学びたい中間管理職(ミドルマネージャー)が読むべき一冊。ただし、具体的な手法が書かれているわけではなく、マネージメントは状況によって変わってくることは知っておいて欲しい。

マネージャーのアウトプット

HIGH OUTPUT MANAGEMENTではマネージャーのアウトプットを以下のように定義している。

マネージャーのアウトプット=
自分の組織のアウトプット+自分の影響力が及ぶ隣接組織のアウトプット

そしてマネージャーとしてやるべきことは部下の「教育」と「モチベーションの向上」であると述べており、そのための手段としてはミーティングを通じてのみ遂行できるとしている。

ポイント1:インジケーター(指標)で状況を把握しろ

マネージャーが業務をうまく運営する(問題を早く対処する)ためには良いインジケーター、つまりは状況を測定するものが必要である。良いインジケーターは作業単位のアウトプットを測定するものであって、それに含まれる活動だけをみるのではない。そして、マネージャーの仕事とは、これを管理し、問題が発生する前に対策を打つことである。

そこで重要になってくるのは情報収集であり、ミーティングこそマネージャーが仕事を遂行する手段である。ただし、最も役立つ情報はたまたま交わすちょっとした会話にあるという。レポート形式の情報は過去の情報をまとめたものであり、情報はタイムリーであるほうが価値が高いのである。

ポイント2:マネージャーはテコ作用を高めろ

マネージャーアウトプット =
(マネージャーの活動1 ✖ 活動のテコ作用)+ (マネージャーの活動2 ✖ 活動のテコ作用)・・・

アウトプットを高めるには

  • 仕事を遂行する速度を上げる。
  • テコ作用を増加させる。(ex.権限、影響力、行動のタイミングなど)
  • テコ作用の高い活動をする。(ex.教育、適切な評価など)

高いアウトプットを上げるためには、マネージャーが行う活動にどういうテコ作用が働いているのかを敏感に知ることが重要である。

ポイント3:最も重要な仕事は部下から最大の業績を引き出すことだ

経営管理とはチーム活動であり、チームの構成員たちが耐えず最善を尽くそうと努力しないかぎり、すべて無益になる。人が仕事をしないときの理由は2つしかない。能力がないか、意欲がないかのいずれかである。ここでマネージャーとしての取り組み方は2つある。それは「教育」と「モチベーション」である。

■タスク習熟度にあったマネージメント
効果的なマネジメントスタイルを決定する基本的な変動要因は部下のタスク習熟度で決める。タスク習熟度が低い部下には「"何を" "いつ" "どうして"を示す」。タスク習熟度が中の部下には「双方のコミュニケーションによって活動を支援し、お互いの判断を重視する」。タスク習熟度が高い部下は「目標を設定してモニタリングする。(関与を最小限に)」

■ワン・オン・ワンは大きなテコ作用
定期的な上司と部下のミーティングをタスク習熟度にあわせ週1~3週に1回程度で行う。目的は相互の情報交換であり、特定の問題や状況について話すことによってマネージャーはスキルやノウハウを部下に教え、物事のアプローチ方法を伝えることができる。
その際の重点はトラブルの存在を知らせてくれるインジケータに置くべきだとしている。上司と部下の間に共通の情報ができ、類似した物事の取扱処理方法が確立されるため、テコ作用は大きいものになる。