聞こえないシステムエンジニアが心がけていること


これは何ですか?

システムエンジニア Advent Calendar 2016の10日目です。
9日目は@kencharosさんのシステム開発のアンチパターンでした。
明日11日目は@tenten0213さんです。

本当はこの投稿は12/10、土曜日なのですが、週末は家族で過ごす時間が多くて書く時間が取れないので12/9、金曜日にアップしちゃいます。

背景

私はSIerで15年働いている、聴覚障害を持つプログラマ兼システムエンジニアです。
プログラミングしているほうが好きなのですが、どうしてもお客様とやり取りし、システムの仕様を話し合って決めないといけない場面が出てきます。
お客様とのやり取りは当然、手話は使えませんので口話、あるいは筆談が主となります。
これを念頭に、以下を読んでいただければと思います。

困ることと、その解決方法

お客様が求めている内容が読み取れない

聴覚障害者といっても人によってレベルの違いがありますが、私は重度の聴覚障害です。
他人の声はほぼ、耳からは聞き取れないと言っていいレベルにあります。
ではどうやって内容を理解しようと努めているのか?それは相手の口の動きを読み取っています。
しかし、お客様全員がわかりやすい口の動きをするとは限りませんし、口の動きに集中するにも限界があります。

解決方法

打ち合わせには、基本、聞こえる同僚と同席し、その方にメモを取っていただく形となります。
そして、そのメモを見せてもらいながら理解を補っていくしかありません。
同席する同僚が、自分の耳についての理解があることも必要です。
もちろん、お客様との最初のご挨拶時に、自分が聞こえないことを明確にお伝えする必要があります。

私がお伝えしたいことが相手に伝わらない

正直、発音が苦手です。
初対面の方には、わかりにくい発音となることも多々あります。

解決方法

可視化できるツールをどんどん使いましょう。
打ち合わせの前に準備できる資料があれば、できる限り用意しましょう。
資料も、もちろん文章だけではなく、図もふんだんに取り入れる必要があります。
また、打ち合わせに行くときは必ず筆記用具を持参しましょう。
手書きする場面が必ず出てきます。
パソコンもあると便利ですが、パソコンでの筆談はお客様との関係次第でやりやすい場合とやりにくい場合があります。

打ち合わせ後の取り組み

議事録

同席していただいた同僚の方に、メモを見せてもらってテキスト形式で文字起こしをしましょう。
同僚によっては、自分で議事録を書いてくれるかもしれません。そのときは積極的にお願いしましょう。

自分なりにまとめる

議事録だけで100%まかなえるとは限りません。
システム設計をするには、プラスアルファの資料が必要になることがあります。
その資料を、図も交えて作成し、同僚に見せて認識合わせを行いましょう。
認識合わせの段階で、自分が誤解していたこと、あるいは同僚が誤解していたことを洗い出せます。

お客様との認識合わせを行う

自分なりにまとめた資料を同僚に確認してもらい、認識合わせが取れたら必要に応じてお客様に見てもらいましょう。
場合によっては、お客様の要望をこのような形で実現出来る、という形の資料となるかもしれません。

仕様策定、仕様書の作成以降

この段階では、聞こえる聞こえないに関係なく、意図を明確にプログラマに伝えないといけないので資料は丁寧に作成しましょう。
文章だらけの仕様書ではなく、必要に応じてフローチャートなど、図解したものも入れましょう。

まとめ

お客様とのやり取りに関しては、聞こえる同僚の力を借りないと絶対無理です。
しかしながら、それ以外の部分に関しては、わかりやすい資料作りを心掛けることで、システムエンジニアとしてやっていける、というのが私の持論です。
資料作成のツールは、おそらくExcel方眼紙が主となってしまうと思います。
それについては、周りのツールに対する理解度も絡むのでやむを得ないでしょう。
正直、ツールは何でもいいのです。
自分がお客様にお伝えしたい、システム設計内容をわかりやすく伝えられるかどうか、を第一に考えます。

聞こえないエンジニアから聞こえるエンジニアへのお願い

おそらく、大半の方はお仕事で聞こえない人と一緒に仕事する機会はほとんどないかと思います。
しかしながら、いつ、新入社員、あるいは中途採用で一緒になるかわかりません。
もし、一緒に仕事することになったときは、その方が出来ることは何か、苦手なことは何か、を話し合って把握していただきたいのです。

懺悔

というポエムに近い文章を、図解なしで書いてしまいました。