1on1での心理的安全性のアンチパターン


1.概要

はじめに「1on1での心理的安全性の高め方」を記載いたしました。次はそのアンチパターンとなる内容について記載したいと思います。

「1on1がうまくできない」、と思っている方は概ね以下のことを行っているのではないでしょうか?

  • 吊し上げ
  • ダメ出し
  • 説教
  • 事務報告
  • 進捗確認

1on1とは本来、相手の話を聞きながら相手の課題を探す「傾聴」と、どのようにすれば相手が育つのかフォローする「コーチング」を行うことが基本であると考えています。

もし、仮に上記の太字となっている3つのような状況であれば、それは相手を育てているというより、相手を貶めることを実施していることになります。

そんな1on1を実施している場合、当然相手の方から拒否されたり、話が続かなくなったりします。

2.よくあるアンチパターン

1on1でよく失敗している人は「これまでの自分の経験」をもとにして会話を行っていることが多いように見えます。

つまり、「自分はこうやって育ったのだからお前もこうやれば育つ」、という経験側に基づいて実施しているということです。

残念ながら、その人が育つかどうかはきちんとその人を見て判断しないといけません。1人1人が違うように、育ち方も1つにまとめることはできないからです。

もし経験則から実施して失敗した場合、「自分は正しい方法をしているのに失敗するのはお前が悪い」、と考えがちになります。その結果、上記で示した「吊し上げ」「ダメ出し」「説教」といった方向に進んでいきます。

3.1on1のアンチパターン

アンチパターンとなる行動を細かくまとめると以下のようになります。

  • どうしてできていないの、といった説教を行う

相手の能力や状況が見ていない場合、よくある発言です。この場合、どんな回答をしても基本「言い訳するな!」と返されます。
⇒最終的に相手は何も言えなくなります。

  • 私はあなたにこうなってほしいの、といった願望ばかりしゃべる

自分の思いを中心に語る場合、よくあるパターンです。言っている側は良かれと思って発言していますが、相手の課題間とずれていることがほとんどです。
⇒私より自分の意見が大事なんだ、と思われます。

  • 聞きたくない話をされたら、それを聞くな!という

どこまで聞いていいものかわからないため、相手が踏み込んだ意見を言うことがあります。何か地雷であることを示すメッセージを出せばいいのですが、相手が示さない場合が多いです
⇒怒らせないように何も言わなくなります。

  • それはお前が間違っている!と相手を否定する

自分が正しいと思っている場合、よく言ってしまうセリフです。このセリフを言う人は、大抵フィードバックをしないので、相手は何を間違えたのかわかりません
⇒どうすればいいのかわからなくなり、何も言えなくなります。

  • こういったことをお願いします!と依頼があったら拒否する

自分だけではどうしようもない場合、頼りたくもなります。1on1中に頼ってきた場合、「どうしても助けてほしい」、と思っている場合が多いので、それを拒否すると次から依頼が来なくなります。
⇒何をお願いしても無駄なんだな、と思われます。

  • なんでこいつはこうなの?と相手の人格を否定する

相手のことを理解できない場合、言ってしまうセリフです。大抵相手のこと何も聞かない、もしくは知ろうともしないため発生します。
⇒自分自身を守るために、相手は何もしゃべらなくなります。

  • ~という感じです⇒感じってどういう意味?と言葉尻を否定する

相手のちょっとした言動や動作が気になり、細かいことを指摘するパターンです。相手の癖であることが多いので、指摘し始めると粗探しにつながります。
⇒何度も否定されるので、最終的に何もしゃべれなくなります。

  • それは目標ではない、と相手が立てた目標を否定する

1on1中に目標管理の話をすることもあると思いますが、それを全否定するパターンです。相手が目標の立て方をわからないのに実施させ、期待と違うと発生します。
⇒何も目標を立てなくなります。

  • それは我慢しろ!と相手に我慢を強いる

自分は耐えてきたんだから、と思っていると言ってしまうセリフです。自分は耐えたからいいことがあった、という経験側から来ていますが、問題の先送りになっています。
⇒1on1が我慢の時間になります。

4.まとめ

1on1で失敗している人のほとんどは「自分を中心」に行ってい人が多いです。つまり、「自分がこうだからいい」、「自分はこうやって成功した」、「自分の意見に逆らうな!」等…

そして成功している人のほとんどは「相手をきちんと見て」います。つまり、「この人はどういう価値観何だろう」、「どうすればこの人は育つのだろう」、「今どんな問題を抱えているのだろう」等…

ぜひ自分中心の話題から、相手中心の話題に移ってほしいを思います。