三菱重工から学ぶ大規模プロジェクトの反省点


三菱重工、豪華客船で払った高すぎる授業料という記事を読んでから撤退の流れを見ると、あまり身にならなかった授業だなと感じます。
http://toyokeizai.net/articles/-/113297

記事を抜粋しつつ、ソフトウェア開発でも学ぶべき反省を並べます。

三菱重工は「飛鳥」など大型客船の建造実績はあったが、欧米向け豪華客船を基本設計から手掛けた経験はなかった。2011年の受注時には「過去の建造実績から何とかできると判断した」(宮永俊一社長)。

受注窓口の営業が製品の完成を約束する事が諸悪の根源という、まさにあるあるネタです。

設計段階からアイーダの承認がなかなか得られず、客室や空調などの仕様の確定作業は難航。大型客船を手掛けるのは約10年ぶりであり、全室Wi-Fi完備に戸惑うなど、最新の客船技術への認識もまた甘かった。

涙なしには読めません。製品の完成を約束した敏腕営業マンは新しい案件を取りに、任された現場が認識合わせに四苦八苦。要件の8割決まったんですけれども、残り2割(全室Wi-fiのくだり)が決まりません。というやり取りが想像出来ます。

(個人の予想ベースですが)学ぶ事としては、以下二点かと思います。
・お客様は神様という認識のもと、承認のフェーズのみ密にやり取りする方式だと失敗する。
→神様との対話は短期的に見るとコストがかかりますが長期的に見てリスク軽減となる。
・要求リストを並べるだけでなくToDoリストも合わせて作成する。
→何を持ってして最新の客船技術の基準を達成出来るのかを明確にする。

遅れたなら、人を集めれば良いじゃないの発想で招いた失敗として下記。

外国人技能者や協力会社など、さまざまな雇用形態の作業員が入り乱れる現場は管理監督が行き届かず、今年に入りぼや騒ぎも3回発生した。

またもやあるあるネタ。管理側の人間を増やさずエンジニアを増やしたパターン。
管理者が出来る人間は絶対数が少ないという悩みが出がちですが、ここが日本の働き方の最大の問題点だと思います。

(個人の予想略)学ぶ事としては、以下だと思います。
・やってほしい事が明確になっていないのに人を追加しても混乱する
→管理コストが出来るだけ抑えられる依頼が出来る体制を作るべき
・管理者の仕事は人を増やす事ではなく、調整する事だと意識する。

こじれすぎると、会議・打ち合わせが多いとかコミュニケーションツールを導入しようとか本質的ではないけれどカイゼンした気になる施策が打たれ始めます。

大事なのは、一つ一つ契約レベルで決めきる事であり、
契約レベルで納得してもらうにはお客様に当事者意識を持って要件を詰めるしかないのかなと思います。