金融工学入門(オプションとは何か)


オプションとは何か

オプションとは、あらかじめ決められた日に、決められた価格で、決められた資産を購入ないし売却する権利をいう。権利であるから、オプションの保有者にとって不都合であるなら、この権利を放棄することも可能である。

資産を購入する権利としてのオプションを、コールオプションといい、売る権利としてのオプションを、プットオプションという。

たとえばコールオプションは、1年後に、100円で、トヨタの株を購入する権利、のように設計される。
現時点のトヨタの株価が100円ちょうどだとして、この株が1年後、120円になった場合と80円になった場合に、このコールオプションから得られる利益を考えよう。

株価が120円になった場合、このオプションの保有者は、120円の株をあらかじめ約束した価格100円で購入する権利がある。権利を行使し100円で取得した株を、すぐさま市場で売却することで、オプション保有者は20円の利益を得られる。

一方、株価が80円になった場合、オプションを行使すれば、80円の株を100円出して買うことになってしまう。このような取引は全く合理的でないから、オプション保有者は自らの権利を行使しない。したがって、その場合の利益は0円である。

このように、(コール/プット)オプションの保有者は、株価の変動のうち(アップサイド/ダウンサイド)の利益のみを得ることが出来るのである。

数式を用いて表現してみよう。
あらかじめ決められた日を$T$、決められた価格を$K$とし、時点$t$における株価を$S_t$とすれば、
$Call~Value=Max(S_T-K,0)$
$Put~Value=Max(K-S_T,0)$
と表現できる。

上記のように表現した「時点$T$における」オプションの価値が、「現在」いくらであるかを知るには、更なる議論が必要である。
高名なブラック・ショールズ式による価値の計算はこちらの記事を、近年普及してきたモンテカルロ・シミュレーションによる計算は、こちらの記事を参照されたい。