数検1級 (2) 確率統計
問題
$0$ 以上の整数値を取る確率変数 $X$ が、下の確率分布に従うとき、次の問に答えなさい。
$$
\mathrm{P}(X=k) = \frac{3}{8}\cdot \left(\frac{5}{8}\right)^k \;\;\;\;\text{($k$ は$0$以上の整数)}
$$
① $X$ の平均値を求めなさい。
② $X$ の分散を求めなさい。
平均、分散をそれぞれ $\mathrm{E}(X)$, $\mathrm{Var}(X)$ として、 $$\mathrm{E}(X) = \sum_{k} k \cdot \mathrm{P}(X=k)$$ 分散は次の公式でも計算できる(大抵こちらのほうが簡単)。 $$\mathrm{Var}(X) = \mathrm{E} (X^2) - \left[ \mathrm{E}(X) \right]^2$$ 確率変数 $X$ は、「確率 $p=\frac{5}{8}$ で成功する試行を繰り返すとき、はじめて失敗するまでの連続成功回数」と解釈できる。 $p=\frac{5}{8}$ とする。 幾何分布の構造を知っていれば、次のように考えることができる: したがって、平均値 $\mathrm{E}(X)$ は次の関係を満たす。 $$ \mathrm{E}(X) = (1-p) \cdot 0 + p \left[1 + \mathrm{E}(X) \right] $$ これを解いて、 $$\mathrm{E}(X) = \frac{p}{1-p} = \frac{5}{3}.$$ という解法は、後から思いついた。計算ミスのリスクも小さく有効だと思う。ただしこの方法は、幾何分布だと思ってないと思いつきにくいし、分散の計算には使えない。数式のみから計算する方法として、下記がある。 定義より、 無限和の計算なので、礼儀正しい解法は、まず $0$ から $n$ までの和を求めて、$n \to \infty$ の極限を計算することになるが、やや計算が煩雑になる。有限の値に収束することを前提にして、再帰的な構造を利用するのが簡単。 したがって、 $$\mathrm{E}(X) = \frac{p}{1-p} = \frac{5}{3}.$$ 同じく、無限和の収束を前提に、再帰構造を利用する。 これを解くと、 $$ したがって、
知識
平均・分散
$$\mathrm{Var}(X) = \sum_{k} \left[ k - \mathrm{E}(X) \right]^2 \cdot \mathrm{P}(X=k)$$
幾何分布(Geometric Distribution)
解答
① 平均
$$\mathrm{E}(X) = \sum_{k=0}^{\infty} k (1-p) p^k$$\begin{align}
\mathrm{E}(X)
&= \sum_{k=0}^{\infty} k (1-p) p^k \\
&= 0 + \sum_{k=1}^{\infty} k (1-p) p^k \\
&= \sum_{m=0}^{\infty} (m+1) (1-p) p^{m+1} \;\;\;\text{($m\equiv k-1$)}\\
&= p \left\{ \sum_{m=0}^{\infty} m (1-p) p^m + \sum_{m=0}^{\infty} (1-p) p^m \right\} \\
&= p\cdot \mathrm{E}(X) + p \;\;\;\;\;\;\;\;\;\;\;\text{∵ $\sum_{m=0}^{\infty} (1-p) p^m = 1$}
\end{align}
② 分散
\begin{align}
\mathrm{E}(X^2)
&= \sum_{k=0}^{\infty} k^2 (1-p) p^k \\
&= 0 + \sum_{k=1}^{\infty} k^2 (1-p) p^k \\
&= \sum_{m=0}^{\infty} (m+1)^2 (1-p) p^{m+1} \;\;\;\text{($m\equiv k-1$)}\\
&= p \left\{ \sum_{m=0}^{\infty} m^2 (1-p) p^m + \sum_{m=0}^{\infty} 2m (1-p) p^m + \sum_{m=0}^{\infty} (1-p) p^m \right\} \\
&= p \left\{ \mathrm{E}(X^2) + 2\cdot \mathrm{E}(X) + 1 \right\}
\end{align}
\mathrm{E}(X^2) = \frac{2p^2}{(1-p)^2} + \frac{p}{1-p}.
$$\begin{align}
\mathrm{Var}(X)
&= \mathrm{E}(X^2) - \left[ \mathrm{E}(X) \right ] ^2 \\
&= \frac{p^2}{(1-p)^2} + \frac{p}{1-p} \\
&= \frac{25}{9} + \frac{5}{3} \\
&= \frac{40}{9}.
\end{align}
感想
Author And Source
この問題について(数検1級 (2) 確率統計), 我々は、より多くの情報をここで見つけました https://qiita.com/kota9/items/3ec2057884d410fb37f4著者帰属:元の著者の情報は、元のURLに含まれています。著作権は原作者に属する。
Content is automatically searched and collected through network algorithms . If there is a violation . Please contact us . We will adjust (correct author information ,or delete content ) as soon as possible .