RPA導入を現場ユーザが実施する場合に必要となるポイント


RPAによる効果を持続させるために

RPA導入後にそのロボの維持管理をしたり、引き継いだり、他の部署のロボ化をスムーズに推進するために筆者が必要だと思う要素を上げる。
SEであれば基本かもしれないが、現場で業務をしている方々がRPA化する場合には意図的にやっていく必要があるものである。

課題・QA管理

ロボ化にあたっては、ロボ実施前後の人間が行う業務の変更になる可能性が高い。
業務そのものを変えることや、それに伴う関係各所との打ち合わせなどが想定される。
後から見て「なぜそうしたのか」が分かるようにどのような議論が交わされたか、は残しておくことが望ましい。

ノウハウの蓄積と共有

細やかなRPAツールの挙動や、例えば「データを絞りたい場合は〇〇すればよい。」や「〇〇の処理を使っていたらロボが途中で止まった。〇〇をしたら回避できた」など。
新しい技術についてはこのようにノウハウを貯めていく活動が欠かせない。同じ社内なのに同じようなところで躓いているのは非常にもったいないとも言える。
まずは困ったらここを見よう、という場所を作ることで新しくロボを導入していく人たちがスムーズにRPA化を進められるようになる。

バージョン管理

バージョン管理とは、ファイルの作成日時、変更日時、変更点などの履歴を保管することである。
どこまで開発が進んでいるバージョンなのかが分かるようにしてあげることである。
バックアップして、XXXXX2019014.xaml みたいにどの日付のものかを管理してあげる必要がある。
これがないと、開発者本人も他の人もどれが最新なのか分からなくなったりどれが動かすべきロボなのかが分からなくなることになる。

ロボの共通部品化

同じシステムへのログイン処理や、起動処理、挙動がおかしいときのエラーハンドリングなど、よく使う機能については
共通部品として再利用してあげることで、ロボの品質担保がしやくなり、開発スピードも上がることになる。

ロボ仕様書(設計書)の作成

こういったものを作らないからこそ、野良ロボが増えるのではないか?筆者は思う。
ロボ作成者がいなくても、ロボ化前にその業務を実施していた人がいなくても業務が回るように
どういう業務をロボ化したのかや、どのシステムに何を入力しているのか程度は残しておくべきである。
ドキュメントが残らないと、EUCと同じようにブラックボックス化を助長してしまうことになる。

メンテナンスしやすいロボを作るために

ロボを見るだけで、ざっくり「何をしているのか?」が分かるようにするといい。
例えば、クリック動作だけでも「〇〇をクリック」の「〇〇」があるとないとでは分かりやすさが大きく違う。
RPAツールが行っている各処理に日本語でコメントを入れて分かりやすくすること。
また変数(値を格納する箱)の利用についてのルールを設けること、などロボの作り方自体を標準化できるとよい。

筆者は特に課題・QA管理については、社会人1年目~3年目の期間で先輩方にビシバシと鍛えていただいた記憶がある。
当時は苦しい思いをしたが今ではその大事さがよく分かる。彼らに感謝したい。