既約ユニタリ表現について


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-2019年7月6日:初版

ある論文中に出てきた既約ユニタリ表現という単語の解説に挑む.
詳しい人がいたらご指摘願いたい.

群の表現

これはWikipediaからのパクりである.
群$G$の各元$g$に対して線型空間$V$上の線形変換$T(g)$が対応し,

T(gh)=T(g)T(h)

が成立するとき,$g$を$T(g)$に対応させる写像$T:G\rightarrow GL(V)$を群$G$の線型空間$V$上の表現といい,線型空間$V$を群$G$の表現空間という.すなわち群$G$の表現とは「群$G$から線型空間$V$上の正則な一般線形群への準同型写像」のことである.

表現行列

群$G$に対応して表列の集合

\Gamma=\{T(g)\mid g\in G\}

があり,任意の群の元$g,h$に対して$T(gh)=T(g)T(h)$が成り立つとき,これらの行列を群$G$の表現行列という.

同値な表現

群$G$の二つの表現$(T_1,V)$と$(T_2,W)$が与えられたとき,ある線形同型$S:V\rightarrow W$が存在して,すべての元$g$に対して相似変換

ST_1(g)S^{-1}=T_2(g)

で繋がるならば,表現$T_1$と$T_2$は同型であるという.

既約表現

これもWikipediaからの抜粋.
表現が可約であるとは,その表現の任意の行列を対角化する相似行列$P$による相似変換

D(a)\mapsto P^{-1}D(a)P

によって表現の各行列が同じパターンの対角ブロックに写されることを言う.表現行列が$k$個の行列の直和

D(a)=
\left(\begin{array}{cccc}
D^{(1)}(a) & 0 & \cdots & 0\\
0 & D^{(2)}(a) & \cdots & 0\\
\vdots & \vdots & \ddots & \vdots\\
0 & 0 & \cdots & D^{(k)}(a)
\end{array}\right)=
D^{(1)}(a)\oplus D^{(2)}(a)\oplus\cdots\oplus D^{(k)}(a)

に分解できないとき,その表現は既約であるという.

ユニタリ表現

これもWikipediaから.
群$G$のユニタリ表現とは,複素ヒルベルト空間$V$上の線形表現$\pi$であり,$\pi(g)$が任意の$g\in G$に対してユニタリ作用素となるものである.

ユニタリ作用素

ヒルベルト空間$H$上の有界線形作用素$U:H\rightarrow H$がユニタリ作用素であるとは,

\begin{align}
&・U\text{は全射}\\
&・\langle U_x,U_y \rangle _H=\langle x,y\rangle _H
\end{align}

を満足するときに言う.

具体例

ユークリッド平面$\boldsymbol{R}^2$とガウス平面$\boldsymbol{Z}^2$上での回転操作$R=${$\frac{\pi}{2},\pi,\frac{3\pi}{2},{2\pi}$}を考える.
$\boldsymbol{R}^2$では,

\{
\left(\begin{array}{cc}0 & -1\\1 & 0\end{array}\right),\ 
\left(\begin{array}{cc}-1 & 0\\0 & -1\end{array}\right),\ 
\left(\begin{array}{cc}0 & 1\\-1 & 0\end{array}\right),\ 
\left(\begin{array}{cc}1 & 0\\0 & 1\end{array}\right)
\}

$\boldsymbol{Z}^2$では,

\{i,\ -1,\ -i,\ 1\}

それぞれの表現行列は

\boldsymbol{R}^2:\left(\begin{array}{cc}\cos{r}&-\sin{r}\\\sin{r}&\cos{r}\end{array}\right)\\
\boldsymbol{Z}^2:\cos{r}+i\sin{r}

ただし,$r\in R$である.
これらはいずれも行列式もしくは絶対値が$1$の要素を掛ける操作なので,ユニタリ作用素である.

まとめ

結局Wikipediaをまとめただけだった