JSTQB Advanced Level テストマネージャ学習vol.14


JSTQB ADVANCED LEVEL テストマネージャ試験概要はこちらを参照

2.テストマネジメント

2.5 テストの見積もり

優れた見積もりの特徴

  • 経験を積んだ実務者の英知の結集となり、関係者のサポートも得られる
  • プロジェクトのコスト、リソース、タスク、人について詳細な一覧を提供できる
  • それぞれに活動に対し、もっとも可能性の高いコスト、工数、期間を算出できる

テストの見積もりでは以下のような要素も考慮し、見積もる必要がある

  • システムに求められる品質レベル
  • テスト対象となるシステムのサイズ
  • 過去のテストプロジェクトの履歴データ
  • プロジェクト要因。テスト戦略、開発または保守ライフサイクル及びプロセスの成熟度、プロジェクト見積もりの正確性など
  • 物的要因、テスト自動化およびツール、テスト環境、テストデータ、開発環境、プロジェクトドキュメンテーション(例えば要件、設計など)再利用可能なテスト成果物
  • 人的要因。マネージャおよび技術リーダ、管理職および上級管理職の資格と期待。プロジェクトチームのスキル、経験、態度、プロジェクトチームの安定性、プロジェクトチームの関係、テストとデバック環境サポート、優れた請負業者やコンサルタントの利用可能性、ドメインの知識など
  • プロセス、技術、組織の複雑さ、テストに関わるステークホルダの数、サブチームの構成と場所
  • 著しい人員増によるトレーニングやオリエンテーションの必要性
  • 新しいツール、技術、プロセス、技法、カスタムハードウェア、各種のテストウェアの適用や開発
  • 詳細度合いが高いテスト仕様の作成要求
  • コンポーネントの受け入れが時間的に前後する場合
  • 使える範囲の限られたテストデータ(例えば時間の影響を受けるデータなど)

また、テストに提供されるソフトウェア品質も、テストマネージャが見積もりで考慮すべき大きな要因である

テストの見積もりで使用できる技法

  • 直感、推測、および過去の経験
  • ワークブレークダウンストラクチャ(WBS)
  • チーム見積もりセッション(例えばワイドバンドデルファイ)
  • 企業の標準および基準
  • プロジェクトの総工数またはスタッフ構成の割合(例えばテスト担当者と開発者の割合)
  • 組織のデータ蓄積およびメトリクス(欠陥の数、テストサイクルの数、テストケースの数、各テストの平均工数、関連する回帰テストサイクルの数を見積もるメトリクス抽出モデルを含む)
  • ファンクションポイント、コードの行数、見積もった開発者の工数、他のプロジェクトパラメータなどの業界平均および予測モデル

理想的には最終的なテスト見積もりは、品質、スケジュール、予算、フィーチャの点で、組織とプロジェクトの目標において優れたバランスを表したものとなる

記事内用語解説

ワイドバンドデルファイ(Wide Band Delphi)

専門家によるテスト見積り技法。チームメンバーから
集めた知識を用い、正確な見積りをするもの。

ワークブレークダウンストラクチャ(Work Breakdown Structure)

作業の要素を整理し、それらを
最終プロダクトと関連付けたもの。