JSTQB Advanced Level テストマネージャ学習vol.17


JSTQB ADVANCED LEVEL テストマネージャ試験概要はこちらを参照

3. レビュー

3.1 イントロダクション


レビューは静的テストの一種であるので、テストマネージャは全体的な成功、特にテストウェアプロダクトに関する成功に対して責任を持つ。
レビューを正しく実施すると、全体的な品質に最大限寄与する

レビューリーダ = そのレビューに責任を持つ人

プロジェクト内のレビューには次のようなものがある

  • 契約レビュー = プロジェクトの開始時および主要なプロジェクトマイルストンで開始する
  • 要件レビュー  =要件がレビューのために準備できた際に開始する。理想的には機能要件と非機能要件を網羅する
  • 基本設計レビュー = 全体的なアーキテクチャ設計がレビューのために準備できた際に開始する
  • 詳細設計レビュー = 詳細設計がレビューのために準備できた際に開始する
  • コードレビュー = ソフトウェアの各モジュールが作成された際に実行する。
  • テスト成果物レビュー = テスト計画、テスト条件、品質リスク分析結果、テスト、テストデータ、テスト環境、およびテスト結果を含む場合がある
  • 各テストレベルのテスト開始レビューと終了レビュー = テスト開始前、終了前のチェック
  • 受け入れレビュー = システムに対する顧客またはステークホルダの承認を得るため使用する

レビューリーダは1つのプロダクトに対し、複数のレビューを適用できす。
これらの技法を組み合わせて使用することにより、テストカバレッジが向上し、多くの欠陥を検出できる

レビュータイプ

  • 非公式レビュー
  • ウォークスルー
  • テクニカルレビュー
  • インスペクション

これに加えてテストマネージャは、次のレビューにも関与する

  • マネジメントレビュー
  • 監査

3.2 マネジメントレビューと監査


マネジメントレビューは進捗状況のモニタリング、ステータスの評価、将来の対応の決定を行うために実施する

マネジメントレビューの主な特徴

  • プロジェクトまたはシステムに直接責任をもつマネージャまたは代理によって実施する
  • ステークホルダや意思決定者、またはその代理によって実施する。例えば上位マネージャや部門長など
  • 計画との整合性および逸脱をチェックする
  • マネジメント手順の妥当性をチェックする
  • プロジェクトリスクを評価する
  • アクションの影響と、これらの影響を測定する方法を評価する
  • アクションアイテム、解決すべき課題および行うべき意思決定のリストを作成する

プロジェクトの振り返りなど、プロセスマネジメントレビューはプロセス改善活動の重要な構成要素である

監査は基準(標準、規制、契約義務)に対する準拠を示すために実行する

監査の主な特徴

  • 監査リーダが管理、モデレートする
  • 準拠のエビデンスをヒヤリング、観察、ドキュメントの検査などを通して収集する
  • ドキュメントとしての成果には、観察事項、勧告、是正措置、合否アセスメントを含む

3.3 レビューのマネジメント


レビューは、プロジェクトの区切り、マイルストンで実施する。
通常、要件と設計を定義した後に実施する。
マネジメントレビューは、プロジェクトのマイルストンで、通常テスト実行およびその他の重大なプロジェクトフェーズの前、途中、後の検証活動の一環として行う。

レビューリーダは次の点を考慮する

  • レビュー対象は何か(プロダクト or プロセス)
    • 適切なレビュータイプ(非公式レビュー、ウォークスルー、テクニカルレビュー、インスペクション、2つか3つのタイプの組み合わせ)と公式度合いを決定する
  • 特定のレビューに誰が関与するか
  • カバーすべき関連リスク要因はどれか
 
レビューの投資効果 = レビューを行うためにかかるコスト - レビューを行わずに以降の段階で検出した欠陥に対処するコスト

レビューを実行するための最適なタイミングは次の要素で決められる

  • レビュー対象相手むの体裁面での完成度合い
  • レビューを行うのに適している担当者の参加可能性
  • アイテムの最終版が利用できるタイミング
  • その特定のアイテムのレビュープロセスにかかる時間

テスト計画時にレビューに感して定義しておくもの

  • レビュー評価を行うためのメトリクス
  • レビュープロセスの目的

公式レビューを行う場合、レビューリーダは次の点を確認する

  • 適切な測定指標をレビュー参加者が提供することによりレビューを効率的に行う
  • 将来のレビューの備えてチェックリストを作成
  • レビュー時に発見した問題の重要度と優先度の付け方を定義する

レビュー実施後、レビューリーダは次のことを行う

  • レビューメトリクスを収集。識別された課題がレビューの特定のテスト目的に十分に沿って解決されていることを保証する
  • レビュ0の投資効果(ROI)を決定する際の入力として、レビューメトリクスを使用する
  • フィーどバック情報を関係するステーくホルダに提供する
  • フィードバックをレビュー参加者に提供する

レビューメトリクスを個々のレビューア、開発者に対する賞罰を行うために使用してはならない。
レビューメトリクスは、レビュープロセス自体に焦点をおくべき

3.4 レビューのためのメトリクス

レビューリーダは次のアクションを行うためにメトリクスを使用

  • レビュー対象アイテムの品質を評価
  • レビューを実施するためのコストを評価する
  • レビューを実施したことをによる下流段階への利点を評価する

レビュー対象の各成果物に対して、プロダクト評価に向けて次のメトリクスを測定しレポートする

  • 成果物のサイズ(ページ数、コードの行数など)
  • 準備時間(レビュー前に費やした時間)
  • 欠陥を解決するために再作業時間
  • レビュープロセスの期間
  • 発見した欠陥の数とそれらの重要度
  • 成果物内の欠陥の偏在(欠陥をより高い密度で発見する領域)の識別
  • レビューのタイプ(非公式レビュー、ウォークスルー、テクニカルレビュー、またはインスペクション)
  • 平均欠陥密度(たとえばページ当たり、またはコード1000行当たりの欠陥数など)
  • 推定残存欠陥数(または残存欠陥密度)

レビュー対象の各成果物に対して、プロセス評価に向けて次のメトリクスを測定しレポートする

  • 欠陥検出率(以降のライフサイクルで発見する欠陥を考慮)
  • レビューワプロセスの活動とタイミングの改善
  • 計画した成果物を網羅している割合
  • 発見した欠陥の種類とそれらの重要度
  • レビュープロセスの効果と効率性に関する参加者調査
  • レビューで発見した欠陥と、動向テストおよび運用時に発見した欠陥の比に関する品質メトリクスのコスト
  • レビュー効率の相関関係(レビューのタイプと欠陥検出効率)
  • レビューア数
  • 費やした作業時間あたりの欠陥検出数
  • プロジェクトで節約される推定時間
  • 平均欠陥工数 , 総検出時間 + 総修正時間 / 総欠陥数

3.5 公式レビューのマネジメント

公式レビューを的確に行うため、レビューリーダは、レビュープロセスのステップを確実にする必要がある

公式レビューの特性

  • 定義済みの開始基準と終了基準
  • レビューアが使用すべきチェックリスト
  • レポート、評価シート、他のレビューサマリシートなどの提供物
  • レビューの効果、効率、および進捗をレポートするためのメトリクス

公式レビューの前提条件を満たしてない場合のレビューリーダの対応

  • 目的が変更された場合のレビューの再定義
  • レビューを進めるために必要な是正措置
  • レビューの延期

記事内用語解説

非公式レビュー

公式な(文書化した)処理手続きに基づかないレビュー

ウォークスルー

学習、理解、欠陥を見つける目的のレビュー。
机上でシナリオに沿って行う

インスペクション

目的は欠陥の検出。モデレータを中心に行われる。
チェックリストで進める

公式レビュー

計画 -> キックオフ -> 個々の準備 -> レビューMTG -> 再作業 -> フォローアップ のフローで行われる