標本分散の分散から急に正規分布の話になる理由


教科書を読んでいて、標本平均の期待値・分散、標本分散の期待値までは特定の確率分布に限定しない一般論だったのに、標本分散の分散の話になると急に正規分布に限定されてモヤモヤしたことがあります。

標本平均の期待値・分散、標本分散の期待値までは母平均と母分散で記述されます。平均、分散は初等的な教科書でも触れられるなじみ深い母数です。

では、標本分散の分散はどうでしょう。分散は$E[(X-\bar X)^2]$で計算できます。期待値計算は確率分布関数を乗じて$X$について積分することで行いますので、その結果残るのは確率分布関数を特徴づけるパラメータです。前回の記事でも書きましたが、確率分布関数を特徴づけるパラメータは平均と分散だけではありません。実際、標本分散の分散は4次モーメントが必要になります。初等的な教科書ではこのような馴染みの薄いパラメータを持ち出すことを避けるために正規分布という具体例を出しているのかもしれません。正規分布は独立なパラメータが平均と分散のふたつだけですので、4次モーメントも平均と分散で記述することが出来ます。標本分散の従う確率分布(カイ二乗分布)にまで話を進めている教科書が多いかもしれません。そのせいで余計にモヤモヤしたのですが・・・。

というわけで次回はカイ二乗分布に関する数値実験をしたいと思います。