学生起業でAIスタートアップを1年間やってみてわかったこと


自己紹介
東京大学大学院在学中で
株式会社Lightblue TechnologyというAIスタートアップの代表取締役をしている園田亜斗夢です。

この記事の目的

起業して1年が経って、起業を考えている友人から相談されることが増えたから。

起業に至った経緯

研究とビジネスの垣根が非常に低いから

大学院では計算社会科学といったデータサイエンス的な研究をしています。特にニュースメディアの推薦システム周りについてやっています。この分野は、企業との共同研究によるデータの提供が非常に重要です。企業でのインターンでやる内容と研究室でやっていることの内容がほとんど変わらなかったりします。
それなら、ビジネスしないのはもったいないと言うわけです。

独立するということ

エンジニアにとって技術に集中できる状況は重要です。財務諸表を作るのは苦手ですし、営業で人に会うのも疲れます。価値が最大化されるのはコーディングしている瞬間だと思います。
しかし、起業すると会社で働くのと違って色々やらないといけないことが増えます。

しくじり

起業したら自由だと思ったら、やらないといけないこと(営業・調達・採用・経理等)が増えて自由な時間が減る

起業当初のサービス

Lightblue TechnologyはもともとBusiness Hubと言う社名でビジネスマッチングサービスを作っていました。
今は辞めてしまった友人と僕、僕がTAしている授業で見つけてきたバイトの3人でKadokawaのやってるコワーキングスペースで、2人にプログラミングを教えながら、目も当てられないデザインのサービスを作り上げました。AIによってマッチングの推薦をするというLinkedinとクラウドワークスを合わせたようなサービスでしたが、ユーザの獲得等をどうしていいか全くわからずwebサービスの難しさを学びました。

しくじり
  • 顧客がいないうちから作り出してしまった
  • デザインへの意識が低く、機能追加を進めていった

起業後半年

それまでは、僕がチャットボットの受託開発などをたまにすることで当面の資金を確保していましたが、
そちらの事業の方が稼げること、クライアントに喜んでもらうのは楽しいこと、ニーズから生まれるサービスの方が当たることに思い当たり、ピボットすることにしました。

調達

やることが決まったので、資金調達することにしました。
資金調達は別記事とするのですが、簡単に言うと出資してくれたGAUSSの副社長に一緒に調達資料を作ってもらうと言う訳わかんない感じで進みました。
pandasは使えてもエクセルは使えないエンジニアは、まずは社会人としてエクセルくらい使えた方がいい気がします。あと、創業メンバーの選択は重要です。スタートアップの失敗原因は資金ショートより不仲の方が多いです。

しくじり
  • 創業者間契約を結ばなかった
  • Excelなんてなくてもpandasがあればなんでもできると思っていた

事業選択

AI開発はこれまでのITシステムよりも汎用性が高いです。
例えば、工場に異常検知センサーを入れる場合ですが、対象が変わっても画像解析のモデルは変更することなく、データを変え再学習するだけで対応することが可能です。このような性質から、従来のベンダーが対応できなかった中小の企業でも費用的に導入することができ、市場が広いです。導入が広がり効率化が進むことで、生産性の問題や省エネなど様々な課題が解決されるはずです。

しくじり

営業資料作りやニーズがわかる人がチームにおらず、適切な提案ができるまでに時間がかかった

採用

通常のSIと違い、AI開発は汎用性が高いため、人手は多くかかりませんが、代わりに優秀な人材が必要です。
僕たちの会社では、大学の友人が多く働いていて、彼らはkaggleと研究と案件の分析を交互にやっています。しかし、それだけではプロダクトとして納品するのが難しいため、社内のエンジニアの育成も必要です。

しくじり

Wantedlyのカスタマーサクセスの言うことを守らず、記事の投稿や募集の投稿を定期的に行わなかった。
これをやるだけで、多くの応募が来ます。弊社にはWantedly経由で慶応のミスコン出身のエンジニアも働いています。

マネジメント

採用ができても、続けてもらう必要があります。そこで、従業員にとって会社にいるメリットを考える必要があります。

しくじりから生まれた社内システム
  • 知識の共有が不十分であった
    • 勉強会の開催
    • コードの社内共有
    • slackのパブリック化
  • 個人へのチャンスの提供が不足していた
    • プロダクトへの個人名記載

最後に

創業メンバーがやめる、キャッシュがなくなる、未払いにあうと言うしくじりはベンチャーをやっていると高確率で起こります。
そういったときに1人で沈んでしまうこともあるのですが、今はコーチングやメンタリングだったりもあるので、必要経費としてそういったサービスを使うのも必要だと思います。

起業回りの知識は、プログラミングや機械学習の知識と同じで、知ってるとなんてことはないのに、知らないと難しい。
一番重要なのは、自分ができないことをできる仲間だと思います。

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またLightblue Technologyに興味があれば焼肉ランチに行きましょう!
ありがとうございました。