「リーダーシップの名著を読む」読書メモ
この書籍について
日本経済新聞社(2015年)
リーダーシップに関する不朽の名著11冊をコンサルタントの解説やケーススタディを交えて紹介している。
第2版 リーダーシップ論
ジョン・コッター著(1999年)
リーダーとマネジャー
- マネージャー:計画を立て、組織を統制する人
- リーダー:ビジョンを示し変革を率いる人
企業を変革する8つのポイント
- 危機意識の浸透
- 強力な推進チームの結成
- ビジョンの策定
- ビジョンの伝達
- 社員のビジョン実現への支援
- 短期的な成果を上げるための計画と実行
- 改善した結果の定着
- 新しいアプローチを組織内に根付かせること
優れたリーダーはよく話す
- 課題づくり⇒本質的な課題を見極めるには情報の量と質が必要
- 人脈づくり⇒様々な人に会うことで変革や課題解決に必要な人脈、協力関係を築く
人を動かす
デール・カーネギー著(1937年)
人を動かす3原則
- 批判も非難もしない。苦情も言わない。…他人のあら探しはなんの役にも立たない
- 率直で、誠実な評価を与える…人を動かすには、相手の欲しがっているものを与えるのが、唯一の方法
- 強い欲求を起こさせる…顧客の立場を考えて売る
人に好かれる6つの原則
- 誠実な関心を寄せる
- 笑顔を忘れない
- 名前を覚える
- 聞き手にまわる
- 相手の関心のありかを見抜き、話題にする
- 心からほめる
人を説得する12原則
- 議論を避ける
- 誤りを指摘しない
- 誤りを認める
- おだやかに話す
- イエスと答えられる問題を選ぶ
- 相手にしゃべらせる
- 思いつかせる
- 人の身になる
- 同情を持つ
- 美しい心情に呼びかける
- 演出を考える
- 対抗意識を刺激する
人を変えるための9原則
- まずほめる
- 遠回しに注意を与える
- 自分のあやまちを話す
- 命令をしない
- 顔をつぶさない
- わずかなことでもほめる
- 期待をかける
- 激励する
- 喜んで協力させる
自助論
サミュエル・スマイルズ著(1859年)
天は自ら助くる者を助く
自助の精神こそが人間が真の成長を遂げるための礎になる
道なくば道を造る
成功に必要なのは「道なくば道を造る」という意思と活力、そして意思に与えられた正しい目的・方向性である
実務能力と日々の節約
物事を運に任せない綿密な「実務能力」のない者に成功はない。
節約は思慮分別の娘であり、節制の姉であり、自由の母である、要するに節約とは自助の精神の最高表現である。
知識と経験
自己修養を通じて得た優れた知識、知恵や理解力は人生の高い目的を追求するための活力源となり、人格や精神を豊かにする。
7つの習慣
スティーブン・コヴィー著(1990年)
- 主体性を発揮すること
- 目的を持って始めること
- 重要事項を優先すること
- Win-Winを考えること
- 理解してから理解されること
- 相乗効果を発揮すること
- 刃を研ぐこと
真の成功とは優れた人格をもつこと
より本質的な成功のために求められるのは「人格の向上」である。
人格の向上に必要なこと
- 私的成功(1〜3の習慣)
- 公的成功(4〜6の習慣)
- 私的成功、公的成功を持続させるために自らの精神や知性を新しい状態にする(7の習慣)
EQ こころの知能指数
ダニエル・ゴールドマン著(1995年)
第2の知性EQ
人生に大きな差を付けるのは、IQより感情をコントロールする自制心や他者に共感し協調する能力⇒多様性の進む現代においてリーダーシップに欠かせない能力
EQの5つの要素
- 自分自身の感情を知る
- 自らの感情を制御する
- 自身を動機づけられる
- 他者の感情を認識する
- 人間関係をうまく処理する
フロー状態
- フロー状態=思考能力や身体能力が最高度に発揮されている状態⇒EQの最高次の発現
- 少し高い目標に挑むことで意識の集中を高め、フロー状態の中で楽しさや効力感を感じ、その楽しさゆえに更に高い目標に挑戦しようと思う好循環が生じる
リーダーシップ アメリカ海軍士官候補生読本
アメリカ海軍協会著(1959年)
人間という要素の重要性
- 武器をとることを専門とする職業には「人間という要素」が重要
- 人間を深く洞察し、部下や組織に対して影響を及ぼす「良きリーダーシップ」が常に要求される
リーダーシップと権限委譲のバランス
リーダーシップは過度に依存することは危険⇒一方的な命令を続けるといざというときに部下が面従背腹で応えるおそれがある⇒適切な権限委譲
他者から学ぶ姿勢の重要性
良きリーダーシップを体得するためには上司、部下、同僚との日々の人間関係に対して地道にリーダーシップの原理を適用し、たえざる研究と実践を重ねていくほかにない。
健全な懐疑主義をもつ
- 経験則に安易に頼らない
- 課題について深く観察し、分析することが重要
- 科学的アプローチも非常に大事
組織文化とリーダーシップ
エドガー・シャイン著(1985年)
組織文化とは
- グループによって学習された、共有される前提認識のパターン
- 問題に接した際、認識し、思考し、感じ取る際の適切と思われている方法
組織文化の形成
- 成功と失敗の体験が組織に強い学習効果をもたらす
- 創業者の価値観が反映されることで前提認識が強固になる
- 「安定」に対する欲求が成功体験のパターン化を促す
組織文化の弊害
- 経営環境が変化すると経営環境と組織文化の間にギャップが生まれる
- 組織文化がその企業の外部環境や内部環境に合ったものであるかどうかが肝心
- 汎用的な「よい組織文化」「わるい組織文化」は存在しない
- 成長にマイナスに作用する場合がある
- 人々に共通の「メンタルマップ(認知や思考の枠組み)」をつくってしまう
経営環境の変化への対応の3つの段階
- 古くなった組織文化を解凍する
- 新たな考え方、やり方を学ぶ
- 新たなやり方を新たな文化として再凍結させる
エクセレント・カンパニー
トム・ピーターズ、ロバート・ウォータマン著(1982年)
超優良企業の8つの条件
- 行動の重視
- 顧客に密着する
- 自主性と企業家精神
- 人を通じての生産性向上
- 価値観に基づく実践
- 基軸から離れない
- 単純な組織・小さな本社
- 厳しさと緩やかさの両面を同時に持つ
企業文化の重要性
きわめて強い拘束力を持っている企業の中で、もっとも高いレベルの自主性が生まれる
なぜ、わかっていても実行できないのか
ジェフリー・フェファー、ロバート・サットン著(2000年)
知識と行動のギャップをなくす
- 本当に実行できる知識は、本を読んだり人に聞いたり、考えたりして学ぶよりも行動から得られる
- 多くの組織が話し合っただけで行動した気になってしまう(計画だけで未来はやってこない)
- 知識もあり、仕事もするリーダーの存在が必要
- 組織に信頼関係と安心感があることが必要
- リーダが率先して自分の失敗を語る
- 行動して成功しなかったことではなく、行動しなかったことを罰するべき
- 成功したければまず行動せよ
- 背景にある考え方を正しく理解する(自らに問いかける姿勢)
- 知識は集めるだけでなく自ら行動することや人に教えることで身につく
- 恐怖心(行動しなくなる)からの開放⇒権力の差、個人としての社内の競争への配慮
- 過去の実績を細かく分析・評価するより、なぜそうなったか、これから何をするか # チーズはどこへ消えた?
スペンサー・ジョンソン著(1998年)
- まずは変化を受け入れる
- チーズが突然なくなるとネズミは次の場所を探すが知性の高いはずの小人は事実を直視できずその場にしがみついてしまう
- 変化を受け入れられない行動
- 予兆的行動(重役出勤、チーズのそばに引っ越し)
- 先送り(明日になったらチーズが戻っている)
- 根拠のない起死回生策(壁の中にチーズが隠されているに違いない)
- 考え込むより行動
- 恐れず行動を起こす
- 行動すると新たな楽しみが生まれる
- 変化の観察は極めて難しい
- 進化し続けたいという姿勢(変わりたくない人には変化は見えない)
- 自分とは異なる世界に身を置く人との接点を持つ
マネー・ボール
マイケル・ルイス著(2003年)
MBLアスレチックスの成功事例
- 戦法とチーム編成の「イノベーション」
- 球団の「組織変革」
⇒ビジネスにも求められる
独自の野球理論
- セイバーメトリクスの活用
- 統計学的分析
- 正しい指標と定義の活用
- 能力の数値化
- エラー数ではなく守備範囲を考慮した失点防止への貢献
- 能力と年俸のバランス
- 模倣困難な戦略による競争優位
- 組織の勝利を最優先
- 埋もれた才能の再発見
- 私情を挟まない選手起用
おわりに
11冊それぞれの重点部分に注目してみると言葉は違えど根底では共通している要素が多いと気付かされる。そしてその共通の要素は、従来からリーダーシップに必要と言われているものだけでなく、近年重要視されている部分にも言及されているように感じた。アジャイルなチームのマネジメントなどにも応用できそうである。
11冊分のリーダーシップ重要要素まとめ
- 真摯さと人間力
- ビジョンを示し変化に対応する組織力の醸成
- 心理的安全性の確保
- 継続的な学習と行動力
Author And Source
この問題について(「リーダーシップの名著を読む」読書メモ), 我々は、より多くの情報をここで見つけました https://qiita.com/radiocat/items/ee49c607f1d221e1ba26著者帰属:元の著者の情報は、元のURLに含まれています。著作権は原作者に属する。
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